12月18日放送の漫才日本一を決めるコンテスト『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)。予選を勝ち抜いてきた出場者たちに注目が集まる一方、審査員の1人にお笑いタレント・山田邦子が起用されたことも話題を呼んでいる。

今回の『M-1』審査員は、昨年も務めたダウンタウン・松本人志、中川家・礼二、ナイツ・塙宣之、サンドウィッチマン・富澤たけし、そして落語家・立川志らくに加え、5年ぶりの復帰となる博多華丸・大吉の博多大吉、初参加の山田という7人。審査員決定のニュースが出た際、ネット上では山田に対してさまざまな声が飛び交った。

 というのも、山田の全盛期は1980~90年代初め頃。当時は『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)や『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』(同)などで活躍し、女性芸人として「天下を取った」と称えられたこともあったが、近年、テレビで彼女を見る機会は少ない。そのため、若い世代の間からは「誰?」という声も。さらに、かつての山田の人気ぶりを知っている世代からも、「『M-1』の審査員はなんか違う」「漫才の人じゃないじゃん」などのツッコミが相次いだ。

「落語家の志らくも『M-1』審査員5年目なので、漫才師じゃなくても選ばれることはあるわけです。また、山田は審査員への抜擢が発表された12月12日、自身のYouTubeチャンネルで『学生の時に漫才コンビを組んでいた』と明かしています」(テレビ局関係者)

 本業で漫才の経験がほぼないといっていい山田が審査員に選ばれた理由について、別のテレビ局関係者はいう。

「選考に当たってもっとも重視されたポイントは、昨年まで審査員を務めていた上沼恵美子の『後釜』になり得るかどうかという点だろう。上沼は、その審査が自分の『好き嫌い』で点数をつけているとして批判を浴びることもあった半面、傍若無人な言動が番組を盛り上げる重要な要素にもなっていた。実績面で文句なしのベテラン女性漫才師といえば、宮川大助・花子の花子、ダウンタウンと同期のハイヒール、海原やすよ ともこ、などが浮かぶが、大御所中の大御所である花子は闘病中で、ハイヒールと海原やすよ ともこも、プロの視点で審査はできるだろうが、上沼ほどのハチャメチャさはない。

 一方、山田なら世間からの批判を覚悟で発言して番組を盛り上げてくれるという期待を持てる。

制作サイドとしては『漫才師としての実績』よりも『話題づくり』を優先したということでは」

山田邦子、人気絶頂から露出激減の過去

 一方、ネット上には「山田邦子って、かなりの売れっ子だったけど不倫スキャンダルで失速したんだよね」「不倫報道時の態度も酷かった」「不倫だけでもイメージ悪いのに、マスコミに対する言動のせいでさらに幻滅された」という指摘も。

 人気番組だった『やまだかつてないテレビ』が92年に終了して以降、雲行きが怪しくなった山田。95年にスタートした昼の帯番組『山田邦子のしあわせにしてよ』(TBS系)が低視聴率に悩まされたり、同年のNHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』に徳川吉宗の母・お紋(浄円院)役で出演するも「ミスキャスト」と評価されたりし、好感度が急落していった。さらに、同年12月には山田とテレビ制作会社社長の不倫報道が浮上。この件について会見を開いた山田は、芸能リポーター・井上公造氏から質問を投げかけられた際に「お前モテないだろう」「バカじゃないの」などと暴言を吐き、そのシーンがワイドショーで繰り返し放送されバッシングが加速した。

「暴言騒動以降、山田のテレビ露出は激減した。その不倫相手とは2000年1月に結婚していますが、一般的には受け入れられがたい不倫略奪婚ながら、芸能人を招いて大々的な結婚式を挙げたことでも、世間の顰蹙を買ってしまった」(スポーツ紙記者)

 そんな山田だが、07年に乳がんが発覚し、摘出手術を受けたことを機に、がんに関するNPO法人を結成するといった活動も展開。11年の東日本大震災後は支援活動も継続して行い、13年に岩手県下閉伊郡山田町の「山田町復興ふるさと大使」に任命されている。

 しかし、芸能界では近年も山田のトラブルが報じられた。まず、17年には『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)への出場を表明するも、予選1回戦の時点でキャンセル。山田は同年10月17日付のブログに、『THE W』出場に2000円かかるが優勝賞金以外に番組出演料が出ないこと、ほかの出場者がハッキリしないことを知り、自分の名前が番組の宣伝に使われたと感じて「がっかり」したとつづった。当時、山田が所属していた芸能事務所・太田プロダクションは、マネジメント側による本人への「番組主旨の説明不足」が原因だったと説明していた。

 その太田プロからも、19年には独立。山田は同年4月29日付のブログで、長唄の最大流派・杵勝会の舞台に出演し、名取として『杵屋勝之邦』を襲名したことを報告しつつ、「39年所属しておりました太田プロダクションの事務所スタッフには誰ひとりも観てもらえなかったことがとても残念でした」「この事は新しい令和の年に向けいろいろ整理が付く、出来事にもなりました。残念です」と、事務所サイドへの不満を書き込んでいた。このことが週刊誌でも取り上げられ、独立騒動に発展。結局、同年6月30日をもって太田プロとのマネジメント契約は終了した。

若手芸人とも交流

 芸能人の独立トラブルというと、そのまま「干され状態」になってしまうケースも珍しくない。しかも、山田には不倫の過去があり、それだけでも今のテレビに合わないタレントといえる。だが、山田は今年6月15日放送の人気バラエティ『水曜日のダウンタウン』(TBS系)に出演。番組では「しんどい先輩芸人からYouTubeでコラボしたいと言われた時の断り方ムズい説」を検証する企画を実施し、山田は「しんどい先輩芸人」のポジションで登場したのだ。

 検証のことなど知らず、最後までコラボを嫌がっていたマテンロウ・アントニーは、番組からの罰として実際に山田とコラボレーション。しかしその後、アントニーと山田は普通に仲良くなったようで、再コラボもしている。

 また、『水曜日のダウンタウン』で山田とコラボしたいと言っていたため、企画上は失格となった鬼越トマホークも、後日、番組とは関係なくコラボが実現。

金ちゃんは10月16日放送の『週刊さんまとマツコ』(TBS系)に出演した際、「邦子軍団」を組んで飲みに行く仲になっていることも明かしていた。

「山田は若手芸人とも交流できる感覚の持ち主。そもそもテレビの企画とはいえ『しんどい先輩芸人』役を引き受けられるところにも、笑いに対するプロ意識が感じられる。そういう感覚、意識があるからこそ、『M-1』審査員に選出されたのかもしれない」(週刊誌記者)

 ただ、昨今は特に芸能人の不倫を「許すまじ」という風潮が強い。山田も『M-1』内での発言に気をつけたほうがよさそうだ。

(文=Business Journal編集部)

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