人気ロックバンド・X JAPANのYOSHIKIに3年半にわたり密着取材したドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀 YOSHIKIスペシャル』が20日、放送された。その前週発売の「週刊新潮」(新潮社)は「『X JAPAN』YOSHIKIとToshl“不仲”でNHK困惑の舞台裏」と題する記事内で、NHKが『プロフェッショナル』内でのX JAPANの映像使用の許可をToshl側に申請したが、拒否されたと報道。
番組HP上の告知では、密着取材を担当したディレクターの
「YOSHIKIさんとの時間はこうした『予想がつかない物語』の連続だった」
「僕がこれまでテレビで見てきた『カリスマ・YOSHIKI』のイメージとは全然違いました」
といった声が綴られ、「YOSHIKIの素顔」が見られるのではないかと視聴者の期待も高まっていたが、番組は19年春にアメリカで行われたライブにYOSHIKIが出演する直前の様子からスタート。続いて、オーケストラと共演して『Anniversary』を一曲だけ演奏する東京でのコンサートで、リハーサルで演奏中に近くに立つスタッフに向かって強い語気で「この範囲にいないでくれる? 気が散って」と苦言を呈する様子や、リハーサル終了後も翌日の本番当日朝6時まで一人で黙々とピアノの練習を続ける様子などが映し出された。
そして放送開始から13分が経過したところで、X JAPANのコンサート映像がインサート。そこには『ENDLESS RAIN』や『X』を歌唱するToshlの姿もはっきり映っていた。
YOSHIKIとToshlの間のコミュニケーション不全YOSHIKIとToshlの確執が表面化したのは、これが初めてではない。
1982年に幼稚園時代からの幼馴染だった2人を中心に結成されたX JAPANは、1989年にリリースしたシングルCD「紅」のヒットを機に瞬く間に人気バンドとなり、92年には日本人アーティストとして初となる東京ドーム3日間連続公演を実現。97年にはToshlの脱退の意向を受けてバンドは解散となった。
バンド解散後から徐々に世間を騒がせ始めたのが、Toshlの洗脳騒動だった。Toshlは元妻に誘われて参加した、自称ヒーリングアーティストの男性が主宰するセミナーにのめり込み、セミナーの広告塔に利用され、自身の収入から総額15億円以上ものお金をむしり取られた。のちにToshlはセミナーにのめり込んだ原因として、金儲けのために自分を利用した家族からの裏切りに加え、ボーカルとしてYOSHIKIから要求される高いレベルに応えられない苦しさがあったことを明かしており、バンド脱退の意思を固めるほどYOSHIKIとの関係に苦しんでいたという過去があるのだ。
そんな2人に雪解けが訪れたのは、解散から約10年後のことだった。
再びYOSHIKIとToshlの不仲説が流れるなか、YOSHIKIは先月、L’Arc~en~CielのHYDE、LUNA SEAとX JAPANのSUGIZO、ギタリストのMIYAVIとTHE LAST ROCKSTARSを結成すると発表。今月13日にはTwitterに「XJAPAN は障害だらけ」と投稿したのだが、その日はX JAPANメンバーで1998年に急逝したギタリスト・hideさんの誕生日であったため、さまざまな憶測が飛び交う事態に。そこへ「週刊新潮」による関係悪化報道が加わり、X JAPANの再解散まで取り沙汰され始めているのだ。
「原因はよくわからないが、バンドの映像使用をめぐって弁護士を通じてしかやりとりできないというのは、相当関係が悪化している証拠。2人の付き合いはもう50年以上になるし、強烈な個性と才能を持つスター同士ともなれば、お互いにいろいろと積もり積もった感情があっても不思議ではない。
バンドは07年に再結成したものの、オリジナルアルバムは解散前の『DAHIA』以降、26年間もリリースされておらず、楽曲制作がままならないほどYOSHIKIとToshlの間でコミュニケーションが取れない状況なのだろう。こうしたことからも解散という二文字が現実味を帯びてくる」(音楽業界に詳しいスポーツ紙記者)
気になるのが、X JAPANの今後の動向だが――。
「通常、ドキュメンタリー番組では事前に取材対象者が放送内容をチェックすることはないが、Toshl本人が自分を含めたX JAPANの映像の使用にNGを出していることから、NHKがトラブルを回避するために、YOSHIKIサイドにその旨を伝えたうえで映像を使ってよいか念のため意思確認くらいはしている可能性はある。
最終的な編集権はNHKにあるので、YOSHIKIサイドが難色を示したとしてもX JAPANの映像を本番で流す可能性もゼロではないものの、もしNGと言われれば、さすがにそこは配慮して使用を避けたのではないか。つまり、YOSHIKIサイドはToshlの拒否を認識したうえでGOを出した可能性もある。
(文=Business Journal編集部)