毎年大みそか恒例の音楽番組『NHK紅白歌合戦』が31日、放送された。今年は特別企画でX JAPANのYOSHIKIらが結成したバンド・THE LAST ROCKSTARSや、桑田佳祐が佐野元春、世良公則、Char、野口五郎と結成したバンド(曲目は「時代遅れのRock’n’Roll Band」)、松任谷由実が出場するほか、37年ぶりの出場となる安全地帯などが目玉として注目されている。

その一方、「なぜこの歌手が出場するのか?」とその出場理由をめぐって疑問が飛び交う例もみられ、国民的番組ゆえに放送前から何かと話題を振りまいていた。

 上記以外では、日本ハムの球団公式チアチーム「ファイターズガール」が話題の「きつねダンス」で山内惠介、日向坂46とコラボする企画や、坂本冬美と東京スカパラダイスオーケストラの共演、恒例となった三山ひろしの「けん玉世界記録挑戦」、氷川きよしの「限界突破×サバイバー」、純烈とダチョウ倶楽部、有吉弘行の共演なども注目されている。

「ここ数年の『紅白』の傾向だが、4時間にわたる長丁場で視聴者を飽きさせないように、いろいろな企画を詰め込んできている印象。また、相変わらず曲順的に演歌歌手とアイドルグループを交互に並べたりと、年齢が離れた視聴者層をとにかくつなぎとめようとしている。家にテレビがないためNHK受信料を払わない20~30代が増えるなか、NHKとしては、そうした人々を自局の番組見逃し配信を提供する『NHKプラス』に加入させる契機として『紅白』を利用することを狙っている。なので若者受けする歌手を入れる一方、『紅白』の主要視聴者層である60代以上にも配慮する必要もあり、結果としてチグハグな出場者の顔ぶれ・曲順になってしまう」(テレビ局関係者)

 多くの人気歌手が出場するなか、前述のとおり出場理由に疑問が持たれる歌手がいるのも事実だ。

「鈴木雅之や篠原涼子、工藤静香あたりがその筆頭といえるが、ジャニーズ事務所だけで6組のグループが出たりと、出場者の人選はNHKの全番組の編成とのからみも影響してくるので、芸能事務所との関係なども考慮され、一筋縄ではいかない。逆にそうした『しがらみ』をまったく抜きにして選ばれる歌手がいるのも事実。たとえば工藤についていえば、50代以上の人々の間では意外と人気が高く、9月にNHKで放送された『SONGS』の工藤の出演回も好評だったため、純粋に目玉として出場が決まったとみられている」(別のテレビ局関係者)

<映るたびに不快だから早く裏に捌けさせて>

 そして東京スカパラダイスオーケストラの演奏による『愛の讃歌』で始まった今年の『紅白』。“事件”はトップバッターのSixTONESの歌唱中、ステージの“後ろ”で起きた。メンバー6人は「Good Luck!」を歌いながらステージを広く使い縦横無尽に動きながらパフォーマンスを展開。その間、彼らの後ろにはこの日に出場する人気アーティストたちがずらりと勢ぞろいし、笑顔でペンライトを振りながらノリノリの様子を見せていたのだが、なぜかKing Gnuの4人だけは無表情で明らかに曲とは合っていないテンポでゆっくりと手拍子。

まるで一本締めをするときのように、大きく手を広げながら「合いの手」を打つかのように手拍子を繰り返し、それが2組目の天童よしみ、3組目の緑黄色社会、4組目の郷ひろみの歌唱中も続いたことから、Twitter上では次のように物議を醸す事態に発展している。

<King gnuさん異様な雰囲気>(原文ママ、以下同)

<冷めた姿にまだまだ若いなあとおもふ>

<わざと周りと外した手拍子してるのなんなん?面白いと思ってやってんの?一緒に盛り上がる気がないなら無理に出場せずに家で寝正月でもしてたら?>

<そういう態度まえから嫌いだわ。映るたびに不快だから早く裏に捌けさせて>

<つまんないなら下がればいいのに>

<違和感しかない>

<King Gnuのみなさんだけ神妙な面持ち>

<誰が歌っとってもペンラも拍手も合わせる気なくて>

<King Gnuが感じ悪く見える>

<死んだ目で裏拍の手拍子してる>

<4人怖すぎないか>

<King Gnuやめれ>

<帰りたいオーラ全開>

<やる気ない拍手>

 一方、以下のように、King Gnuは視聴者を笑わせるために「サービス精神」で意図的にそうした態度を取っていたのではないかという声も多数みられる。

<オープニングをどう乗り切るかメンバーで話し合ってたKing Gnuがちゃんと爪痕残しててエライ>

<クセ爆発してて最高だった>

<ノリ方独特すぎてマジで笑った爆笑>

<井口のノリ方が誰よりもボケてるようにしか見えない>

<一同手拍子がシュールで笑っちゃった、つまり最高です>

<スカしてテキトーな手拍子してる>

 放送を見たテレビ局関係者はいう。

「若い人たちが見れば彼らがウケ狙いでやっているのはすぐわかるし、King GnuはSixTONESに楽曲を提供しているので、トップバッターがジャニーズグループであることに何か思うところがあるわけではないだろう。だが、『紅白』を毎年欠かさず見ているような上の世代の視聴者の目には不遜な態度にしか映らず、『紅白』ファンを不愉快にさせるだけ。また、出演させたNHKにしてみても、せっかくのオープニングの明るいムードを台なしにされたと受け取る。『空気を読めなかった』では済まされないレベル」

 昨年の『紅白』は第1部の平均世帯視聴率は31.5%、第2部は同34.3%と(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)、その前年よりそれぞれ2.7ポイントダウン、6.0ポイントダウンに沈んでおり、今年は視聴率が回復するのかも注目されている。

(文=Business Journal編集部)

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