Twitterは誰もが気軽に情報発信できる場だ。140文字という文字数制限があるおかげで、まとまった文章を書くことが苦手でも、気軽に言いたいことが言える。
その代表的なものが「無断転載」だ。他人のツイートを自分の発言のようにツイートする「パクリツイート(パクツイ)」のほか、絵や写真を勝手に自分のツイートに埋め込むものがあるが、どちらも問題がある。
まず、パクツイをする人は、それが悪いとわかっていながらやっていることが多いようだ。人気のツイートをコピーするだけで多くのリツイート(RT)が得られるため、「まるで自分が人気者になったかのように錯覚する」という人もいる。
一方、画像転載は悪気なく行っている人が多いようだ。「宣伝してあげている」といった感じで、さも良いことをしているような態度の人さえいる。また、そもそも是非を考えずに無断転載している若年層やTwitter初心者も少なくない。
そこで今回は、Twitterにおける絵の転載について考えてみたい。
●なぜ無断転載はいけないのか
「無断で転載するのがいけないのであって、断りを入れれば転載をしてもよい」と解釈する人もいるだろうが、後で紹介する場合を除いて、基本的に転載自体がいけないと考えておきたい。
転載してはいけない理由は、まず権利の問題が挙げられる。たとえ落書きのような絵でも、また人気アニメや漫画を模した二次創作作品でも、描かれた絵にはすべて著作権がある。
もう1つの理由は、作者の意図しないかたちで絵が使われかねないという問題だ。例えば、ごく近しい人に見せるつもりでTwitterに上げたところ、それが拡散されてしまうことが考えられる。同じ絵でも、それに添える言葉によって印象は変わるもので、ある事物を褒めるつもりで描いた作品が、批判しているかのように広まってしまうこともあり得る。その結果、対象の人物を怒らせたり、トラブルがあったりした時に作者に責任を求めるのは酷というものだろう。
トラブルがあった際、勝手に転載されていると元の作者がコントロールできなくなる。正しく使われている範囲内であれば、作者が元の絵を削除したり、掲載の許諾を与えた人に掛け合うことで公開を取りやめることができる。しかし転載されてしまうと、そのような対応ができなくなる恐れがある。
●絵にコメントするスマートな方法
純粋に絵を紹介したい、何かコメントして友人にも見せたいという時は、転載ではなく正しい引用をするべきだ。
具体的には、絵そのものをツイートに埋め込むのではなく、絵が掲載されているサイト名やURLを明示し、コメントをすればいい。Twitter上のものならば、元ツイートをRTするか、URLと共にコメントするという方法がある。
「すてき」「かわいい」などの感想を作者に向けてではなく独り言としてつぶやく場合、公式RTした直後に「すてき>RT」とすれば、元の作者に通知が行かない。逆に、URLを添えた場合には、作者に通知が行くので、感想やコメントを届けたい時にはこちらを使うとよいだろう。通知の有無では本文を引用してRTする場合と同じだが、URLだけであれば作者が元の絵を削除した時に絵が拡散され続けることを防げる。
特に気をつけなければならないのは、ツイートではなく画像を使用する時だ。例えば、自分のアイコンやヘッダーに使う場合には、事前に作者の許可を受けなければならない。勝手に使った後で「使わせていただきました」と事後承諾を得ようとするのはルール違反で、相手が承諾しなければ著作権法違反となる危険な行為だ。
使用許可をもらいたい時には、まずTwitterのプロフィールなどに使用条件が書かれていないか確認しよう。「問い合わせをもらっても一切許可はしない」「転載は一切お断り」など意思表示をしている人も少なくない。その場合には、潔くあきらめるべきだ。
また許可を得られた場合でも、加工しない、作者のサインを消さない、利用した場所の近くに作者の名前を添える、など作者への敬意を忘れてはならない。
無断転載をする人が、「自分で絵が描けないから使っている」などと、開き直っているのを見かけることがある。まるで「お金がないから盗んでもいいだろう」と言っているようなもので、理不尽極まりない。
また、イラスト系のクラウドソーシングサイト(特定の業務の受注者を募集するサイト)などを利用すれば、Twitterアイコン程度ならば、かなり安価に描いてくれる人も見つかるはずだ。そこで自分好みの絵を描いてもらうといいだろう。絵を描けない人は、使ってもいい絵を使うか、絵を使うことをあきらめるかのどちらかだということを、よく覚えておきたい。
(文=エースラッシュ)