元フジテレビ・アナウンサーで、現在はフェリス女学院大学アナウンス講座講師を務めている有賀さつき。2002年に13歳上の同社社員と結婚、一児の母となったが、06年に離婚している。
そもそも有賀は元夫との相性を「水と油」だと思っていたため、一度は別れを決断したという。しかし、その2日後に妊娠が判明したため、「刑務所に入るつもりで」結婚に踏み切ったと語る。その後の夫婦関係を「子育てをするための共同生活みたいだった」と評する有賀は、MCの岡村隆史(ナインティナイン)から“夜の営み”について聞かれると「気持ち悪いこと言わないで」「吐いてもいいですか」などと、元夫への嫌悪感を隠さなかった。
また、同番組内ではタレント・田中律子も、1997年に結婚し12年に離婚した元夫との関係を「仮面夫婦だった」と語った。結婚から1年後に長女が誕生した際、夫から「女として見られなくなった」と通告された田中は、所属事務所に離婚の意思を伝えたという。しかし、田中の持つ良妻賢母のイメージを前提にCMの契約が入っていたため、「CMのために自分のイメージを守った」と、結婚生活を続けた理由を語った。
有賀や田中のこうした告白を受けて、「夫婦間のことを公にするのはルール違反」「離婚から何年もたっているのに、わざわざ言うことではない」「いや、相手にも落ち度があったのでは?」などと賛否両論を呼んでいる。
また、昨年12月に離婚を発表したタレント・新山千春も、バラエティ番組で「家で夫との会話はほとんどなかった」「すごくつらかった」と結婚生活について語るなど、最近は芸能人が離婚相手のプライベートな部分や過去の家庭の内情を暴露するケースが数多く見受けられる。そんな状況について、自らも離婚経験がある30代女性はこう語る。
「お互い何があっても墓場まで持っていくのがルールだと思います。私も元夫について言いたいことはいろいろありますが、自分の親にも必要最低限のことしか話していません。
また、別の30代既婚女性は「ぶっちゃけ話もやむなし」との見方を述べる。
「そもそも、家庭円満ならなんの問題もなかったわけですから、何を言われてもそれは仕方のないことだと思います。もちろん、相手にとって不利な情報だけを一方的に流したり、誇張するのはよくないですが、事実であれば相手にとっても思い当たるふしがあるはずです。それに、有賀さんも田中さんも親権を持ち子供を育てています。離婚と育児が重なったことは相当なストレスだったと思います。思いの丈を吐き出すことでスッキリし、活力に変えているのだとしたら、一概に彼女たちを責めることはできないと思います」
●エンタメの一部である“ぶっちゃけ話”
また、『幸せな離婚 自由に生きるって気持ちいい!』(生活文化出版)の著者で「週刊新潮」(新潮社)などに連載を持つライターの吉田潮氏は、次のように語る。
「テレビはエンタメですから、編集で『面白おかしくキャッチーに』されるのは当たり前。どんなバラエティ番組でも基本的には台本があり、そこで『面白要素の抽出と厳選』が容赦なく行われるわけです。視聴者としては、この壮大なエンタメを『対岸の火事』のごとく、意地悪く眺めて楽しみ、『香ばしい情報をありがとう!』というのが正しい姿勢でしょう。
夫婦のいさかいが微に入り細にわたるほど、つまり、生ごみの出し方だの閨での戯言だのと広がれば広がるほど興味津々になるわけで、そういう意味では、高嶋政伸と美元なんかも長期にわたって香ばしい情報を提供してくれたよね。でも、離婚調停のために盛りすぎたり、あまりにいさかいの頻度が高いと、ありがたみも面白味も薄れる。川崎麻世とカイヤのようなケンカ商法になると、みんな辟易するでしょ」
さらに吉田氏は、芸能人の暴露話の“価値”について、次のように評価する。
「とはいえ、この手の話で視聴者がワイワイ盛り上がれることは確か。芸能界には決して世に出ることのないような裏話もあるのだから、こうやっていろいろと話してくれる芸能人はありがたいですよ、視聴者にとっても制作側にとっても。だから、芸能人のみなさま、どうぞもっとあけっぴろげにお願いします」
有賀や田中のような“仮面夫婦告白”も、実はテレビ界のエンタメの一部として機能しているのかもしれない。私生活を切り売りし、常に自らの存在にバリューを持たせなくてはならない芸能人にとっては、ある意味で仕方のないことともいえるだろう。そして、そういった文脈がある限り、われわれ視聴者は今後も多くのタレントたちの暴露話を耳にすることになりそうだ。
(文=編集部)