近年、テレビの視聴率が下がり続けている。以前は平均視聴率30%を叩き出す番組も見掛けられ、20%越えの番組は週に何本もあった。
「ゴールデンタイム(19~22時)でいえば、2ケタの視聴率を取れば番組が終わることはまずありません。数年前までは12%が合格かどうかの境目でしたが、さらに下がりました。1ケタでも、長寿番組であったり大物タレントを起用していたりすれば、様子見しようとなります。今、局内で『よくがんばっている』と認められる数字は13.5%以上。15%を越えればヒットと認識され、20%を越えたら大ヒット。寂しいですがこれが現実ですね」
例えば、昨年の連続ドラマ『昼顔』(フジテレビ系)は最終回16.5%と、90年代であれば平凡な数字だったが、大ヒットといわれた。この感覚に違和感を持った視聴者もいるだろう。では、なぜ地上波テレビは観られなくなったのだろうか。
「BSやCSの登場による多チャンネル化、インターネットに時間を奪われているなどの意見が出ていますが、単純にテレビがつまらなくなった。これに尽きると思います。
どのチャンネルをつけても、似たような番組が放送され、出ているタレントも固定されがちなのにはこうした背景が影響しているようだが、同関係者によれば、今のテレビマンの傾向がさらに拍車を掛けていると指摘する。
「1つの番組が流行ると、『あの番組みたいなことをやりたい』と言うプロデューサーが必ず出てきます。プロデューサーになると自分の地位を守りたくなるものでしょうし、冒険するよりも安全策を取りたいのだと思います。かつてのテレビマンは“保身”とは程遠い存在の人が主流派でしたが、今では挑戦しない人のほうが多数派を占めるようになってしまいました。その背景には、昔ほどお金が使えないなどの制約が厳しくなったなどの、さまざま事情もありますが……」(同)
このまま進めば、テレビ業界はさらにシュリンクしていくのみ。テレビ局には、守りの姿勢に入らず、ぜひ攻めの番組づくりをしてほしいものだ。
(文=編集部)