脂質0、「ノンオイル」のインスタントラーメンを食してみた。
麺にもスープにも油を使わない脂質0のインスタントラーメンのテレビCMを見て、「時代はついに、ここまできたか」と思ったのです。
今までノンフライ麺のインスタントラーメンはありましたが、スープまで油脂を使わずに脂質0(実際は麺に0.9g含有)の商品を、日本で一番ポピュラーなインスタントラーメンメーカーが出したのです。メーカー側の油に対する認識の変化を感じます。
商品名は、「サッポロ一番 グリーンプレミアム0(ゼロ) 醤油ラーメン」。ノンオイルスープ、ノンフライ麺で、コレステロール0を謳い文句としています。醤油のほかに海鮮ラーメンと鴨だしうどんもあるそうです。
従来品の「サッポロ一番 味噌ラーメン」の脂質は17.1g(1袋100g)です。ちなみに「しょうゆ味」の脂質は15.8g。脂質の内訳はラード(豚の背脂)6:パーム油4ですから、脂質0は画期的です。
おかしいと思うのは「コレステロール0」という謳い文句です。新商品で脂質0、コレステロール0を強調していますが、従来品で使っているラードは100g中0.1g、パーム油も100g中0.001gですので、“ほぼ”コレステロール0です。
従来品でもコレステロール0だったのに、新製品で「コレステロール0」と強調するのは、とても不自然です。ことさらコレステロール0を謳うのには、別の理由があるのだと思います。
おそらく、いまだに根強い「コレステロール=悪」という消費者の間違った認識を隠れ蓑にして、危険性が指摘される植物油(本連載記事『日本人が大量摂取のパーム油は超危険!パン、菓子、カップ麺…発がんや糖尿病のリスクも』参照)を密かになくすのが目的だと思われます。つまり、実際に0にしたのは、コレステロールではなくラードとパーム油なのです。
テレビ、新聞などの大手メディアは、サラダ油やパーム油など植物油の毒性を報じませんが、多くの植物油の害を訴える、いわゆる“油本”は書店にコーナーができるほど売れています。こうして、確実に植物油の問題が消費者の間に広まっていることを食品メーカーが知らないはずがありません。
サラダ油の害を指摘する著書が多い山嶋哲盛氏曰く、「植物油の毒性問題が消費者に広まることは、食品加工メーカーにとって死活問題」ですから、どのメーカーにとっても“脱油”がこれからの重要課題です
その先鞭が、このノンオイルラーメンなのだと思います。
●意外と美味。良質な油を足すと良し
前置きが長くなりましたが、実際にどんなものか食べてみましたので、レポートします。
・「サッポロ一番 グリーンプレミアム0(ゼロ) 醤油ラーメン」(ノンオイルスープ、ノンフライ麺、コレステロール0)
・5個入り税込567円(1個当たり114円)
・原材料 めん(小麦粉、食塩)、スープ(しょうゆ<本懐石20%使用>、ポークエキス、たん白加水分解物、チキンエキス、糖類、かつお節エキス、食塩、煮干しエキス、アゴエキス、酵母エキス、香辛料、メンマパウダー、かつお節粉末)、加工でん粉、調味料(無機塩等)、かんすい、酒精、カラメル色素、香料、クチナシ色素、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、(原材料の一部にさば、ゼラチンを含む)
添加物や化学調味料は気になりますが、油の害と添加物の害を天秤にかけた場合、油がないほうがはるかに良いと思いますので、思い切っての試食です。
1.ノンオイルのスープを先に器にあけておきます。
2.袋に書いてある通り茹でると、かなり泡が出ます。少し大きめの鍋のほうが無難です。
3.茹で上がったら煮汁ごと器にあけて出来上がり。
麺は生麺に近くツルツルとした食感、スープはやや甘めですが出汁が利いて思ったよりおいしいです。
手軽に食べられるインスタントラーメンは、いまや日本だけでなく世界中の食生活に浸透しています。それを「直ちにやめなさい」と言ったところで、現実には難しいと思いますので、従来の悪い油のインスタントラーメンを食べるよりは、このノンオイルラーメンはかなりましだと思います。
また、アマニ油やエゴマ油などの良い植物油を足して食べれば、不足しがちなオメガ3脂肪酸の補給になります。アマニ粒をふりかけるのもいいでしょう。
添加物は気になりますが、悪い油を避ける“少油生活”には現実的なアイテムだと思いました。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)
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