PCやスマートフォン(スマホ)を使って、いつでも振込等の処理が行えるインターネットバンキングは、なかなか窓口まで行けない人にとって強い味方だ。最近では、コンビニエンスストアにもATMが設置されて便利にはなったが、ネットバンキングのほうが手数料の面で得だったり、自室で落ち着いて操作できるなどメリットも多い。

それだけに、忙しい人を中心に利用者は多いようだ。

●ネットバンキングは会社員を中心に全体の3割以上が利用

 マーケティングリサーチ機関のMMD研究所の調査がスマホ向けネットリサーチサービス「スマートアンサー」を通して行ったアンケートでは、31.1%の人がネットバンキングを利用していたという。

 細かな内訳を見ると、学生が13.3%にとどまっているのに対して主婦は30.0%、会社員は実に44.6%がネットバンキングを利用していた。

 用途としては「振り込み・送金」が58.3%と最も多く、次いで「口座情報の照会・明細の確認」が50.1%。日常的な銀行利用を手元で済ませる習慣はだいぶ広がっているようだ。

●オークション利用者などを中心に謎の口座凍結

 便利なネットバンキングではあるが、ネットバンクをメイン口座にしないようにすべきだ。

 ネット専業銀行をメインバンクにすることが必ずしも悪いわけではないが、給与振込や公共料金等の引き落としの口座と、日常的なネットショッピングやオークションをはじめとした個人間取引に使う口座は、ぜひ分けておいたほうがよい。

 MMD研究所の調査でも、利用しているサービスの3番目として挙げられていたのが「ネットショッピング・ネットオークションなどの支払い/決済」で、29.9%の人が利用していた。それだけ、ネットバンクの用途としてはメジャーなわけだ。

 しかし、以前から一部の人が声を上げていたが、この夏に大きな問題になった事件がある。それは楽天銀行の口座を凍結された人が多く現れたことだ。

 ブログなどで被害を訴えている人々の主張によると、特に思い当たる理由はないようだ。
悪事を働いて凍結された人はわざわざ情報を発信しないだろうから、心当たりのない人ばかりなのは当たり前のことかもしれない。しかし、その謎の被害に遭った人々が情報交換をするうち、ネットオークションの利用が引き金になっているのではないかということがわかってきた。

 ネットオークションなどで不特定多数の相手と個人間取引を行っている人の口座が凍結されたことから、おそらくやりとりした相手の中に不適切な利用履歴のある人物がいたのだろう、と推測されている。

 公式発表されたものではないため、これはあくまでも推測だ。しかし、確かに不特定多数の相手とやりとりをしていると、なかには偽ブランド品を購入したことがある人や、チケットのやりとりに失敗してチケット詐欺状態になった人なども入っているだろう。犯罪防止のため、疑わしいと思われれば凍結されてしまうこともあるようだ。

●銀行を使い分けて、いざという時に備える

 凍結されても、自分に後ろ暗いところがなければ、最終的には凍結解除してもらえるだろうが、残念ながら電話をかければすぐに解決というわけにはいかないようだ。

 今のところ楽天銀行のユーザーに被害が目立つことから、「楽天銀行の口座を解約しよう」「預金を引き上げよう」という動きも出てきている。しかし取引相手に本当に危ない人が含まれていれば、ほかの銀行でも口座凍結が行われる可能性はあるのではないか。

 そう考えると、やはり給与振込や大きな金額の引き落としに使う銀行と、日常の細かなやりとりを行う銀行や貯金用とは分けておきたい。

 小遣い分や生活費などを移す手間は発生するが、もし凍結されても事態解決までの日常に困らないだけの備えになるはずだ。ネットバンクは便利になり 利用者が増えている分、おかしな事件に巻き込まれる可能性も増えている。
困ったことになる前に、自衛しておきたいところだ。
(文=編集部)

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