2015年11月、タレントのローラがバラエティ番組『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)で、トレードマークの“OKポーズ”を控えていることについて「ちょっと恥ずかしくなった」と発言したことが話題になった。

 これは、父親が逮捕されて有罪判決を受けたことが影響しているとの見方もあるが、女優業への進出や料理本の出版など、マルチな活躍を見せるローラだけに、キャラクターの変更を図っているともいわれる。



 また、09年末に「こりん星のりんごももか姫」というキャラ設定の終了を宣言した小倉優子も、やはり昨年、「素の自分とかけ離れたお姫様キャラを演じ続けることに、ストレスと行き詰まりを感じた」と明かしている。

 こうした芸能人の“キャラ変”の裏側には、どんな事情があるのだろうか。以下に、過去と現在で大きくキャラが変わったタレントたちを紹介しよう。

●キラキラの王子様キャラだったDAIGO

 まずは、女優・北川景子との結婚が話題になり、タレント・ミュージシャンとして活躍するDAIGOだ。今でこそ、革手袋をつけた両手を交差させる“ウィッシュポーズ”や「正直……」から始まる独特の口調で人気だが、デビュー当時は「宇宙から舞い降りたロック王子」という、なんとも恥ずかしいキャッチフレーズだった。音楽誌のライターが語る。

「DAIGOは01~07年まで『DAIGO☆STARDUST』という名前で、ソロ歌手として活動していました。当時のDAIGOは今とは別人で、キラキラのスパンコールに扇状に広がる袖の衣装が代名詞の“王子様キャラ”でした。ファンと触れ合う際には『スペイシー・ハグ』『スペイシー・よちよち』など、自分の動作にすべて『スペイシー』を付け、いちいち声に出してやっていたのです」

 当時のDAIGOは、ライブのMCでは滑舌よく早口で話すなど、話し方も現在とはまったく違っていたという。

●天然ボケでセクハラされるキャラだった篠原涼子

 一方、最初は天然ボケキャラだったのに、いつの間にか「カッコいい女」になっていたのが女優・篠原涼子である。テレビ雑誌の編集者は、昔の篠原についてこう語る。

「今や知らない人も多いと思いますが、もともと篠原はアイドルグループ『東京パフォーマンスドール』の初期メンバーで、コント番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)で知名度を上げました。


 篠原は1991年の放送開始からレギュラー出演しており、当時は完全に“天然キャラ”でした。さらに、アイドルながら毎回のようにタレント・YOUと共にダウンタウンの浜田雅功に胸をもまれ、“鼻フック”されるなどの汚れ役をこなすことで人気者になったのです」

 94年、篠原は小室哲哉プロデュースの『恋しさと せつなさと 心強さと』でソロ歌手デビューを果たし、同曲は200万枚を超える大ヒットを記録した。小室と一緒に音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)にゲスト出演した際には、ダウンタウンの松本人志に『ごっつええ感じ』時代について茶化されたりもしている。

 しかし、その後はヒット曲に恵まれず歌手活動は低迷、00年代からは女優業に移行する。すると、06年スタートの『アンフェア』(フジテレビ系)や07年の『ハケンの品格』(日本テレビ系)といった主演ドラマが高視聴率を記録、演技力への評価もあり、篠原は「カッコいい女」として広く認知されるようになった。

「加えて、最近では胃がんの手術を受けた24歳上の夫・市村正親の健康管理や、長男の小学校受験をサポートするなど、良妻賢母のイメージも定着しています」(前出のテレビ雑誌編集者)

●イケメン選手からおバカキャラになった武田修宏

 逆に、かつてはモテモテのイケメンサッカー選手だったが、現在は“おバカキャラ”として人気を集めるのが武田修宏だ。

 武田といえば、90年代に三浦知良らと共にヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)の中心メンバーとして活躍した人気選手である。スポーツ紙の芸能記者は「01年の現役引退後は解説者となり、夜の街を遊び歩いて女性を口説く姿が目撃されるなど、モテ男キャラを通していました」と語る。

「しかし、ある時期からクイズ番組などでの天然&大ボケ発言が注目を集め、女性に告白してはフラれる“勘違いナルシストのおバカキャラ”に変貌していきました。このキャラ変更に、ヴェルディ時代の盟友・ラモス瑠偉は『ただのお笑い芸人』とあきれ、有吉弘行には『スケベなタラちゃん』とあだ名をつけられています」(スポーツ紙の芸能記者)

●里田まいは、おバカタレントからセレブ妻に変身

 武田と同じおバカキャラから、現在はセレブ妻へと変貌を遂げたのは、里田まいだ。02年にアイドルグループ「カントリー娘。」のメンバーとしてデビュー後は鳴かず飛ばずだったが、クイズバラエティ番組『クイズ!ヘキサゴン2』(フジテレビ系)での天然&珍回答でブレイクする。前出とは別のスポーツ紙の芸能記者が語る。


「『ヘキサゴン』以降、里田は“おバカタレント”の代表格としてバラエティ番組に引っ張りだこになりましたが、同番組の終了と共に人気は下降、09年にはハロー!プロジェクトからも卒業しています。

 そんな中、12年1月に東北楽天ゴールデンイーグルス(当時、現在は米大リーグのニューヨーク・ヤンキース)の田中将大投手との結婚を発表。ジュニア・アスリートフードマイスターの資格を取得して夫の食生活を支えるなど、メディアへの露出を控えて、内助の功を発揮しています。

 さらに、田中投手の15年の年俸は2200万ドル(約26億円)であることから、ニューヨーク住まいのセレブ妻になったともいえます」

●最近の芸能界で増殖する“暴露キャラ”

 こうして見ると、芸能人のキャラ変更には、いくつかのパターンが存在することがわかる。

 例えばDAIGOの場合、当初の設定に無理があったために変更を余儀なくされたが、これは小倉と同じパターンといえる。このパターンをより巧妙にやってのけたのがローラで、タメ口の“不思議キャラ”から女優&マルチタレントという変身は、天然アイドルからカッコいい女に変わった篠原とも共通するところだ。

「里田のように、海外で活躍する有名スポーツ選手と結婚してセレブ妻になるケースも少なくありません。元F1ドライバーのジャン・アレジと結婚、美少女タレントからセレブになった後藤久美子などは、その典型でしょう」(前出のテレビ雑誌編集者)

 例外は、武田のようなパターンだ。ただ、武田の場合は本人および事務所も特に“計算”があるわけではなく、テレビで素をさらけ出すうちに自然に定着した、というところが実際のようだ。

「最近の芸能界で増殖しているのが“暴露キャラ”です。私生活の切り売りや暴露話をすることで注目を集めるタイプですが、浅田舞や浜崎あゆみ、華原朋美などが当てはまるでしょう」(テレビ局関係者)

 競争の激しい芸能界を生き抜く上では、それだけ「キャラ」が重要ということだろう。
(文=古賀サチ子/清談社)

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