サントリーホールディングス(HD)は、完全子会社でサンドイッチチェーン「サブウェイ」を運営する日本サブウェイの株式の65%を、世界チェーンを統括するオランダのサブウェイインターナショナルグループに売却する。売却額は数億円とされる。
サントリーHDは1991年に米サブウェイから日本でのサブウェイのフランチャイズ(FC)権を取得。完全子会社の日本サブウェイを通じて店舗を展開してきた。
2016年3月末に日本におけるFC契約が終了するにあたって、サブウェイ本社は日本におけるサブウェイ店舗を直営にすることを提案。両社が協議してきた。
サントリーHDは4月をメドにFC権を返上し、65%の株式を売却することを決めた。サントリーは引き続き35%の株式を保有し、今後も飲料の納入などの関係は続ける。
新社長はサブウェイインターナショナルから出すが、サントリーHDから出向している及川直昭社長は副社長として残り、ほかの出向者も日本サブウェイにとどまる。
サブウェイは潜水艦型のサブマリンサンドイッチを主力商品として、世界110カ国に4万4000店を超える店舗網を持つ世界最大のファストフードチェーンである。
日本サブウェイは当初、米国と同じメニューを提供していたが、売り上げが伸び悩んだことから国内限定のメニューを用意して顧客を獲得してきた。15年末現在全国に448店を展開し、フランチャイズ店を含むチェーン全店売上高は14年実績で200億円規模。日本サブウェイ単体の売上高は同約25億円で、約10億円の累積赤字を抱えている。
サントリーHDは1兆6000億円を投じて米蒸留酒メーカーのビーム(現ビームサントリー)を買収したことに伴い、有利子負債が急増した。
●米スタバが日本スタバを買収、米マックは日本マック株式を売却
かつて多くの外資系外食チェーンが日本に進出してきた。だが、成功したといえるチェーンは多くない。大半が撤退に追いやられるなかで、日本市場で市民権を獲得したのは、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツ、スターバックスコーヒー、そしてサブウェイくらいだ。いずれもフランチャイズ方式を取り、経営は日本企業に委ねた。
これらのチェーン店で最近目立つのが、グループ本社が日本法人を子会社化する動きだ。
日本で1000を超える店舗を展開するスターバックスコーヒージャパンは、米スターバックスの完全子会社になった。米側が1000億円を投じ、日本の共同出資者から株を買い取った。子会社化に伴い15年3月に上場廃止になった。
日本のスタバはデザート飲料フラペチーノの国内独自の味が受けて、15年3月期は4期連続で最高益を更新する見通しだった。米スタバは日本の成長力を取り込み、鈍化傾向にあるグループの収益力を高めるのが狙いだった。
撤退するグループ本社もある。米マクドナルドは約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株のうち、最大33%を売却する。異物混入など品質問題が大打撃となり業績が悪化。株式の一部売却で本社から切り離し、業績の足を引っ張るのを食い止めることにした。
日本サブウェイをグループが買収するのは、スタバのように稼ぎ頭になることを期待しているからではない。そもそも、サブウェイがFC契約を結んで進出したのは日本とロシア、アラブ首長国連邦しかない。基本は本社が店舗と直接契約を結ぶ方式を取ることにしており、日本もこの方式に切り替えるのだ。
日本に進出してきた外資系外食チェーンの日本法人に対する反応はさまざまだ。
(文=編集部)