ファンからすれば、ある意味「頂上決戦」といえるのかいえないのか……。

 12日の中央競馬・中山競馬場11RアネモネS。

2着までに牝馬クラシック第1戦の桜花賞への優先出走権が与えられる重要なレースで、競馬ファンが注目せざるを得ない"事件"は起きた。外を回る2頭の馬(5着リボンフラワー・13着クラリティーアイズ)が、最終コーナーで「ぶつかりあった」のだ。

 実際、競走馬がコーナーで外に膨れるというのはよくあることであり、レース後特に制裁などは起きなかったので大した問題ではないのかもしれないが、ファンがネットで話題にしたのは、その"事件"を起こした騎手2人だ。

 その騎手は、三浦皇成騎手と、最近一時的に関東に拠点を移した岩田康誠騎手。なんといってもこの2人、競馬ファンの間では「危険騎乗」のイメージが強い騎手なのである。

 三浦騎手は2010年1月、同じく中山のレースで史上最多となる「9頭」の落馬事故を引き起こした原因となったことがある。事故自体は加害馬のわずかな動作によって引き起こされており、三浦騎手の強く責めるのは酷であるという認識が一般的だが、この事故によって三浦騎手に変なミソがついた部分がある。タレントのほしのあきとの結婚やその後の浮気、「武豊2世」といわれながら成績が伸び悩んでいるところなど、ネットユーザーからすればネタにしやすいということなのかもしれないが……。

 そして岩田騎手は、三浦騎手よりもさらに強引な騎乗のイメージが強いジョッキーである。12年のNHKマイルCで強引な進路取りから後藤浩輝騎手を落馬させ、さらに14年4月にも同じく後藤騎手を落馬させる危険な騎乗をした。それのみならず、12年のジャパンCでは当時の最強牝馬・ジェンティルドンナで3冠馬オルフェーヴルを退けるも、馬体を合わせたジェンティルドンナの"タックル"は大きく取り上げられた。競馬ファンの間では「イワタックル」などと揶揄されている。
15年に後藤騎手が突然の自殺をしてしまったことも、岩田騎手のブラックイメージに拍車をかけた。今年2月の東京新聞杯で浜中俊騎手が落馬した時は、事故には特別関係ないものの近くにいたというだけで岩田騎手が疑われてしまう始末だ。

 そんな2人が12日のアネモネSでぶつかりあったのだから、ネットは当たり前のように騒然となる。ネットユーザーからついて出たのは「また岩田かよ」「もう本能だな」「タックル癖は直らない」という意見。しかし今回に関しては「外の三浦が無理やりインに切れ込んだ」「三浦のほうが悪い。タックルし返したようにも見えるけど」など、三浦騎手にも責任があるという論調だ。どちらも競馬ファンとすれば体のいい「攻撃対象」同士なだけに"炎上"しないというのも皮肉なものだ。

 三浦騎手は今年、現状では思うような数字を残せていない。岩田騎手に関しても、大舞台で見せ続けていた勝負強さは影を潜め、外国人騎手が幅を利かせる関西から関東に活路を見出そうとしているが、現状その効果は出ていない。今後の先行きが不安ではある。
(文=ねある子)

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