昨年は開局以来初の赤字に転落し、年明け早々エースであるカトパンこと加藤綾子アナウンサーも退職を決意するなど、なかなか浮上のきっかけがつかめないフジテレビ。

 最近では、とにかく番組構成の安易さだけが目立っている状況だが、その稚拙といわれても仕方ない管理体制は、何も今に始まったことではない。

過去にも数々の"放送事故"をやらかしているが、今回は中でも視聴者から「地上波で流したらダメなレベル」とまで批判された内容を紹介したい。

 フジテレビといえば長年、民放を代表して競馬中継を行っている。当然ながら、競馬界とは何かと懇意な信頼関係を築き上げてきた。

 ただ、この競馬界のカリスマである武豊の逆鱗に触れるようなフジテレビの大失態には、関係者もさすがに震え上がっただろう。

 昨年、TBS系ドラマ・下町ロケットの後半『下町ロケット2 ガウディ計画』で主人公・佃航平(阿部寛)のライバル・椎名直之役として再注目され、今年になってテレビ東京系『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』では主演を務める小泉孝太郎。

 そして、JRA通算3800勝、国内外のG1を104勝、今年もさっそく重賞を制して30年連続記録を更新......前人未踏の大記録を積み上げ続ける、競馬界のカリスマ・武豊。

 そんな2人が "異色の黄金タッグ"を組んだ番組がかつて放送されていた。2007年の春にフジテレビ系列で放送された『武=(イコール)孝太郎』がそれである。

 武豊とは、芸能界入りした時から知り合いの小泉孝太郎。武豊も小泉孝太郎のことを「(弟の幸四郎と)年も近いし、名前も似てるから弟みたいな感じ」と可愛がっている。「武=(イコール)孝太郎」は、そんな気の合う2人が興味のある人や場所を訪ねるロケ番組だ。

 記念すべき放送第1回は、武豊がレギュラー出演ということもあって、北海道の社台スタリオンステーションで種牡馬生活を送るディープインパクトを訪ねるという内容。
当時は社会現象になっていたディープが"ゲスト出演"ということで、競馬ファンを中心に大きな話題を呼んだ。

 しかし、そんな注目の記念すべき初放送で、あのような目も当てられない"放送事故"が起ころうとは......。

 場面は、武豊がディープインパクトとの感動の再開を果たす"ついで"に、自身が騎乗して1996年の菊花賞(G1)を制したダンスインザダークとの再会を果たしたところだった。

「ああ、ダンスだ。変わってないな」と感慨深げに歩み寄る武豊。「昔から元気過ぎて大変だった」と過去を懐かしむコメントに合わせて、ダンスインザダークが"唯一"のG1勝利を挙げた1996年の菊花賞のレースシーンに画面が切り替わったのだが......。

 その時だ。ダンスインザダークの説明テロップに、何故か「G1を2勝」という表記が......。ん?ダンスってG1・1勝だろ?

 さらにフジテレビの"暴走"は止まらない。同時に流れるナレーションで、画面は菊花賞なのに「1996年の日本ダービー(G1)、桜花賞(G1)と次々とG1を制覇」と、あくまで説明テロップのG1「2勝」を"ゴリ押し"。おいおい、桜花賞? メスだったのか。

 挙句に「桜花賞を制し後、脚の怪我で無念の引退」と堂々と述べられれば、競馬ファンは開いた口が塞がらなかっただろう。


 ダンスインザダークが制したG1は、間違いなく菊花賞の1勝だけ。それも1番人気で挑んだ日本ダービーは、ゴール寸前で伏兵フサイチコンコルドに足をすくわれ2着。当時まだ日本ダービーを勝ったことがなかった武豊にとって、思い出したくもない"ハレ物"レースである。

 もう一つの桜花賞に至っては「牝馬限定戦」であり、牡馬のダンスインザダークには出走する資格すらない。それも4月の「桜花賞を制した後、脚の怪我で無念の引退」した馬が、どうすれば同年6月の日本ダービーを勝てるのだろうか。

 当時のネット上でも、競馬ファンから「1つしか勝ってないから」「これ地上波で流したらダメなレベル」「G1のレース間違えるって......」「フサイチコンコルドに謝れ」など批判が殺到。

「ダンスインザダークの母ダンシングキイの子供たちは、競馬界では『華麗なるダンス一族』として有名です。本馬の姉ダンスパートナーは牝馬のダービーといわれるオークスを勝っていますし、妹のダンスインザムードが桜花賞を勝っているので、それらと間違えたのかもしれません」(競馬記者)

 今更ながら、その時の映像を武豊が見てなくてよかったと改めて思う。しかも、これが数十年の間、民放を代表して数々のG1を始めとした競馬中継を行ってきたフジテレビの失態なのだから、さすがに笑えない。

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