10日の桜花賞(G1)より、牡馬牝馬のクラシック戦線が開幕。今年は特にレベルの高いレースが展開されると予想されており、注目度も非常に高い。

日本ダービーを筆頭に、一生に一度しか走れないクラシックを勝つというのは競走馬やその陣営にとって最高の誉れだ。

 とはいえ、クラシックを勝ってその馬の競走馬生活が終わりを告げるわけではない。クラシックは3歳世代。4歳になっても5歳になっても有馬記念や天皇賞など世代の壁を超えたG1があるし、クラシックで強さを見せれば「海外遠征」への夢も膨らむというもの。クラシックは陣営にとって最大の目標にはなるが、あくまでも「通過点」という意味合いも含んでいるのである。逆にいうと、クラシックで活躍した馬には、今後の活躍も必然的に期待されるということだ。

 しかし、クラシックを制した馬のすべてがその後も活躍できるかというと、当然ながらそんなことはない。中には、皐月賞・日本ダービー・菊花賞・桜花賞・オークスというクラシック「5大競走」をそれぞれ制した競走馬のすべてが後に「ダメダメ」なんて世代もある。

 現在の競馬界でいうと5歳世代、「2014年世代」がそれに当たるだろうか。以下が、14年世代のクラシック勝利馬である。

皐月賞・イスラボニータ
日本ダービー・ワンアンドオンリー
菊花賞・トーホウジャッカル
桜花賞・ハープスター(引退)
オークス・ヌーヴォレコルト

 正直、書いているだけでも少し切なくなってくるのだが、14年世代の「クラシック後」の成績はどう見積もっても厳しいものとなっている。

 イスラボニータは皐月賞を余裕で制してダービーも2着。
秋は天皇賞で3歳ながら3着とかなりの成績を残していたが、翌年の中山記念で惨敗してからは歯車が狂い、中距離に専念しても3着がやっとで、今年に入ってからは2戦連続で惨敗となっている。フジキセキ産駒にありがちな早熟が出てしまっているのか......。

 ワンアンドオンリーも安定した末脚でクラシックを走り、ホースマン最大の栄誉であるダービー制覇を成し遂げた。しかし、秋の菊花賞で惨敗してからはもう目も当てられない成績。ドバイ遠征で一度3着に入ったものの、国内では馬券どころか掲示板(5着以内)にすら入れない状況だ。ネットで「弱すぎる」というスレッドが立つほどである。

そのワンアンドオンリーを菊花賞で下したトーホウジャッカルも、その後はケガの影響もあって順調に使うことができず、昨年の宝塚記念で掲示板に入った以外は見せ場なし。桜花賞馬ハープスターは古馬になってから1戦しか戦うことなく引退し、ヌーヴォレコルトも安定した競馬ができるものの勝ちきれず、今年に入って大阪杯を惨敗した。

「今は負けているけど、そのうち勝つかも」という期待感がどうしても沸かないというのが、14年クラシック世代の現状と申し上げる他にない。15年のG1戦線でも「勝利」のイメージを持てたファンは少ないのでは。

 00年世代(アグネスフライト・エアシャカールなど)などがよく比較対象となるが、かといって「世代全体」が弱いというわけではない。14年世代も昨年の年度代表馬モーリスや有馬記念を制したゴールドアクター、海外で羽ばたいたエイシンヒカリなど強豪は多い。
単にクラシック世代の印象が薄いだけである。

 しかし、ファンの中ではやはりクラシック世代がその後も全世代の覇を競い、遅咲きの強豪たちと激戦を繰り広げるのを見たいところ。今年のクラシックは「史上最高」という声もあるが、果たしてどうなるだろうか。

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