海上自衛隊厚木航空基地に所属する現職の海上自衛官、山本伸裕容疑者(36)=神奈川県綾瀬市深谷上=が、神奈川県警により6月7日、強姦の疑いで逮捕された。山本容疑者は昨年10月、出勤途中の20代女性に声をかけ、車内に誘い込んだ上で犯行に及んだという。



 山本容疑者は、海上自衛隊の航空部隊(航空機約250機、人員約1万1000名)の頂点に立つ航空集団司令部というエリート部隊に勤務していた。山本容疑者と同じ厚木航空基地に所属する海上自衛官は語る。

「彼の所属部隊は、厚木基地でひときわ目立つ航空集団司令部の地下深くに掘られた作戦室で勤務していました。対潜戦やイエメン沖での海賊対処、尖閣諸島の警戒など、日本の安全保障に直結する情報が集まる場所なので、秘密保護の適格性を確認された者しか立ち入ることが許されません。山本容疑者は、この作戦室で作戦状況を処理するシステムの操作員をしていたようです。作戦室に勤務する隊員は、ICカードの立入許可証を誇らしげに胸に下げていますので、すぐにわかるんですよ。

 実は私、彼と同じ官舎に住んでいるのです。直接話したことはないですが、事件に使われたワンボックスカーで奥さんとお子さんと買い物に行く姿は、何度も見ています。しかし、逮捕後に妻から聞いたところでは、彼は“変な性癖をもった人”として、官舎妻の間では有名だったそうです」

 その癖とは、いったいなんなのだろうか。

「山本容疑者は2008年、下総航空基地に勤務している際に、交際中の女性を暴行して逮捕されています。彼は当時、海士長という階級の任期制隊員で、今は非任期の国家公務員である3等海曹です。3曹への昇任試験は競争率10倍以上の難関なので、婦女暴行で逮捕されたのによく昇任できたなと思いましたが、その時は不起訴になっていたそうです。
官舎妻たちはこの時の話を知っていて、彼には『近づきたくない』と警戒していたようです。

 今回の事件で山本容疑者は、ワンボックスカーに女性を誘い込んだそうですが、彼の車が厚木周辺のひと気のない道によく駐車されていたのを見たという人もおり、『あの時も獲物を狙っていたんだ』と噂されていたようです。被害に遭った女子大生もそうですが、山本容疑者の家族もかわいそうですよね。奥さんが官舎妻たちの警戒を知っていたかはわかりませんが、こうなった以上は針の筵でしょう」(同)

●参院選へも影響か

 今回の事件自体は一公務員の不祥事だが、実は今、防衛省内部にも激震を与えているという。全国紙政治部記者はこう解説する。

「先日、沖縄で起こった米軍属による殺人遺棄事件に続き、現職自衛官が強姦で逮捕されたことを受けて、防衛省首脳は頭を抱えています。特に、自衛官のトップである統合幕僚長の河野克俊海将は“不祥事を呼ぶ男”として有名で、イージス艦『あたご』と漁船の衝突事件、護衛艦や潜水艦乗員の自殺事件、共産党による内部文書暴露事件などは、すべて河野統幕長が責任者の時に起こった事件です。なので、省内では『また河野さんが引き寄せた』などと揶揄されています。

 日本では、米軍関係者の事件が反基地闘争に発展することはあっても、自衛官の事件がそうなることはありません。しかし、今回のような事件があると、マスコミは自衛隊の不祥事を大きく取り上げるようになる。自衛隊は公表したがりませんが、最近は自衛官による強姦や窃盗、傷害、自殺などの事件が頻発しています。こういうことがマスコミで大きく取り上げられるようになると、安保法制定の是非を問う7月の参院選に大きく影響してくる。
こういった懸念で、防衛省は頭を抱えているんです。

 河野統幕長は週1回、安倍晋三首相と顔を合わせていますから、毎朝、新聞を開くのが怖いと思いますよ」

 参院選を前にして、政治的な影響を及ぼしかねない今回の事件。警察当局には厳正公平な捜査を期待したいものだ。
(文=編集部)

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