8月9日、プロ野球の中日ドラゴンズは谷繁元信監督と佐伯貴弘守備コーチの休養を発表、森繁和ヘッドコーチが監督代行を務め、一部コーチ陣の配置転換が明らかになった。

 谷繁監督は2014年から選手兼任監督を務め、今年から専任監督となっていたが、中日は借金15の最下位に沈んでおり、48年ぶりの8カード連続負け越しという記録的な低迷にあえいでいる(休養が発表された8月9日時点。

11日時点で借金は16、連続負け越しは9カードに)。

 球団側から休養を要請された谷繁監督は「寝耳に水」「悔しさもある」と語っており、当初は「4年契約」とされていた谷繁監督の契約について、実際は「単年契約」だったことが明かされるなど、チームと球団の溝も浮き彫りになった。プロ野球を取材するスポーツライターが語る。

「谷繁監督自身が『こういうかたちで去るのは……』と語っているように、『休養』とはいえ、事実上の『解任』です。そもそも、プロ野球の監督が休養する際は『自ら申し出る』というかたちが一般的で、球団側から要請されること自体が異例。谷繁監督は専任になって1年目ですし、本来であれば、もう少し長い目で見る姿勢が必要でした。

 もともと、チーム内での谷繁監督の立場は微妙だった感が否めません。落合博満ゼネラルマネージャー(GM)との不仲がささやかれており、今春のキャンプでは谷繁監督が目をかけていた選手を落合GMが独断で解雇したことで、谷繁監督が激怒したともいわれました。また、落合GMは白井文吾オーナーと蜜月関係にありますが、白井オーナーは今回の件について『(落合GMの)意見は聞いた』『(落合GMがトップを務める)編成面には責任はない』と語っています」

 突然の解任劇の背景には、2人の確執の影響もあったのだろうか。しかし、当然ながら、不振の責任は落合GMも問われるものだろう。現在、後任の人選は小笠原道大2軍監督を軸に進められているというが、「それが、今の中日の闇を表している」と語るのは、前出のスポーツライターだ。

●立浪和義が中日の監督になれないワケ

「小笠原といえば北海道日本ハムファイターズや読売ジャイアンツで活躍していた印象が強く、中日には現役最後の2年間所属していただけで、いわゆる“外様”です。
さらにいえば、今年2軍監督に就任したばかりで、指導者としての手腕は未知数。

 本来、監督候補には実績も知名度も抜群で中日一筋の『ミスタードラゴンズ』と呼ばれる立浪和義氏が挙がってしかるべきなのですが、立浪氏は09年の現役引退後は球団から距離を置かれています。それは、たびたび暴力団関係者との“黒い交際”が取り沙汰されるから。

 昨年から野球賭博問題に揺れている球界は、一連のダーティなイメージを払拭すべく、“浄化”に必死です。そんな中、クリーンな印象とは程遠い立浪氏が監督になる可能性は、現実的に考えて皆無でしょう。

 また、落合監督と谷繁監督の下でヘッドコーチを務めた森監督代行は、いわゆる参謀タイプでリーダーという感じではありません。生え抜きスターとしては、昨年引退した山本昌氏がいますが、監督を軽視するような今回のフロントの対応を見れば、前向きな姿勢は取りづらいでしょう。大ベテランの岩瀬仁紀投手を引退即監督就任させるというウルトラCもありますが、これも現実的ではありません。つまり、中日の監督人事は深刻な人材難なのです」(スポーツライター)

 また、別のスポーツライターは以下のように危惧する。

「8年間で優勝4回、日本一1回を飾った落合監督の後を受けた高木守道監督は明らかな“つなぎ”で、3021試合出場の日本記録保持者である谷繁監督が長期政権を敷くというのが既定路線でした。しかし、谷繁監督がこういったかたちで去ることになった以上、中日は迷走同然の“暗黒時代”に突入するのではないでしょうか」

 球団創設80周年のメモリアルイヤーにもかかわらず、不穏な空気が漂う中日。その前途は厳しいものになりそうだ。

(文=編集部)

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