8月23日、強姦致傷容疑で逮捕された俳優の高畑裕太容疑者。一夜明けた24日、テレビのワイドショーなどは一斉に事件を報じたが、そのほとんどが出演ドラマの撮り直しなどに関する「第三者への迷惑」を論じており、「強姦」という行為の卑劣さについて語る番組は少なかった。



 高畑容疑者ほどの有名人が強姦事件を起こすなど、前代未聞である。にもかかわらず、強姦という行為について深く語られない背景には、不特定多数の視聴者が存在するテレビでは難しいという事情があるのだろう。

「強姦は本当につまらない性行為だよ。なぜなら、セックスの楽しさ、面白さを理解していない行為であり、相手の女性を尊重する、愛するという、人間として当たり前の気持ちを軽んじるからこそ起こすんだ」

 こう語るのは、当サイト6月22日付記事『妻にバレずに20年間不倫、私はこうやって楽しんできた!』で不倫について論じたライターの稲垣浩生氏だ。

 稲垣氏の強姦嫌いは、筋金入りだ。今から数年前、出演女性を集団で水責めやアルコール責めするなど“レイプもの”を売りにしたバッキービジュアルプランニングというAVプロダクションがあり、一連の強姦致傷事件は「バッキー事件」と呼ばれた。女性を人間とも思わぬやり方に憤慨した稲垣氏は、いくつかの雑誌誌上でバッキーを糾弾。その甲斐もあり、同社の代表らは逮捕されている。

 そんな稲垣氏が、「強姦のつまらなさ」を論じる。

「セックスって、相手の女性と一緒に気持ちよくなるものだよね。一緒に気持ちよくなるためには、相手の“喜怒哀楽のツボ”を理解することが肝心なんだ。なぜなら、相手を喜ばせる行為や言動って、性的エネルギーを沸き起こすスタートだからね。


『この人いいな』という感情が沸き起こると、女性って相手に好意を持つし、その気持ちが高まればセックスしたくなり、ベッドを共にして感じるよな。けれど、強姦はそうしたプロセスを一切無視して、自分の欲求のために、相手の感情など無視する行為だからね。最低の行為だよ」

 稲垣氏が続ける。

「そもそも、嫌がる女性を無理やりやって面白いかな。だって、そうでしょ。服なんか脱いでくれないし、キスしようとしたって口を閉ざされるし、胸や股間に手を伸ばそうとしても拒否されるんだよ。その行為をエキサイティングに感じて興奮したとしたら、変態、いや性的異常者だよ」

●「バカとしかいいようがない」高畑容疑者

 ちなみに強姦致傷における法定刑は「無期または5年以上の懲役刑」と定められている。想像以上に罪が重いのは、強姦という行為が悪質であるからであり、また、強姦致傷は非親告罪なので示談が成立しても起訴される可能性がある。今回の事件についても、高畑容疑者は実刑の可能性もささやかれており、ドラマや映画などの撮り直しに対する違約金は「億単位」ともいわれている。

「風俗嬢に処理してもらえば高くても10万円だし、自分でしたらタダなのに。売れたくても売れないタレント志望者が大勢いる中、せっかく売れてきたのに、バカとしかいいようがないね」(稲垣氏)

 女優の梅宮アンナが高畑容疑者について「空気が読めない」と語っていたが、「相手の気持ちなどどうでもいい、関係ない」と思うからこそ、「空気を読む」という脳内回路が壊れていたのだろう。

 息子を育てながら苦労して売れっ子女優となった母・高畑淳子が気の毒でならない。

(文=後藤豊/フリーライター)

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