「ハマる人にはハマる」の典型か――。

 芸歴20年超にして、ようやく注目を浴び始めた男がいる。

中年男性なのにサラサラのワンレンヘア、その髪をかき上げながら「ふぅ~」と甲高い声をあげたかと思いきや、「ゴッホより~普通に~ラッセンが好き~!!」と画家のクリスチャン・ラッセンへの思いを絶叫する、そんなシュールなネタで知られる芸人、永野だ。

 長年、その芸風から「地下芸人」として一部で知られた存在だったが、2014年放送の『アメトーーク!』への出演をきっかけに徐々に地上波への露出が増え始め、最近ではゴールデンでその姿をみかけることもしばしば。人気俳優の斎藤工にいたってはすっかり心酔し、公私にわたって交流を持つほどだという。

 1995年に永野の芸名でデビューし、「主に五木ひろしのモノマネをする四木ひろし」を経て、「シュールなお笑いとなった永野おしり」となり、再び「永野」に戻ったという永野。名前ひとつとってもお笑い界のメジャーどころを歩いてこなかったことが伝わってくるが、意外にもデビュー当初は、女優の石原さとみ、深田恭子、優香らも所属する大手芸能事務所、ホリプロに所属していた。

 伝えられるところによると同社から「君の芸風はホリプロではない」として02年にクビになったといわれている。この前後に永野のライブを見たというライターによれば、その芸風とは以下のようなものだったという。

「アングラなイベントがよく行われるライブハウスで『ピルおじさん』というネタを披露していました。志村けんさんの『変なおじさん』のパロディなのですが、ヘラヘラと笑いを浮かべて体を揺らしながら『おーい、おじさんの言うこと聞かん子は~、ピル飲ませっぞー』などと叫ぶ1分程度のひとり芝居が、あまりにシュールすぎて場内は大爆笑でした。ほかにも『合コン中に白人の男が乱入して●●される大学生やりまーす!』と宣言して、攻撃される男子学生のさまを披露していたネタも大きな歓声が上がっていました。いずれも地上波で流すのは絶対無理でしょう」

 現在は諸事情あってか、動画共有サイト「YouTube」からも削除されてしまっているこれらのネタだが、「あと先考えずに生放送でゲリラ的に披露したりしたら、まさにレジェンドだと誰もが認めるでしょう」と先のライターは話す。

 ゴールデンタイムで突如、かつて劇場でやっていたネタを叫びながら披露する永野の映像が映し出され、お茶の間の空気が凍り付く――。
そんな「事件」が起こる日は来るのだろうか。
(文=編集部)

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