ブームといえるほどの好評を博した今クール(10~12月期)の連続テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が20日、ついに最終回を迎えた。第1話で平均視聴率10.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)と2ケタに乗って以降、回を重ねるごとに視聴率は上昇し、先週(13日)放送された第10話は同17.1%をマーク。
「夫・津崎平匡(星野源)=雇用主」と、「妻・森山みくり(新垣結衣)=従業員」が“契約結婚”という関係のまま同居を続けるなかで、徐々にお互いのことを本当に好きになっていくという設定の本ドラマ。いい年をした2人の大人の“恋愛ごっこ”的エピソード満載の内容と、随所に散りばめられたさまざまなテレビ番組のパロディが話題を呼んだが、先週の第10話では、ついに津崎が森山に対し正式に結婚のプロポーズを決行。しかし、プロポーズには津崎のリストラが関係していることを知った森山が難色を示し、2人の関係がぎくしゃくし始めてしまうところで終わっていた。
そして20日に迎えた最終回の内容を、『逃げ恥』ファンたちはどのように受け止めたのか。そこで今回は、ファンたちに「最終回でもっとも心に響いたセリフ」を選んでもらいながら、最終回を振り返ってみたい。
●森山「一度出てしまった言葉は、感じてしまったモヤモヤは、なかったことにはできない。お互いに」
これまで森山は、津崎から家事への対価として給料を受け取っていたが、津崎は自身がリストラされたこともあり、森山に給料を支払うのをやめて、その分を2人の貯蓄などに回そうと提案。それがプロポーズの大きな理由だと知った森山が結婚に難色を示し、津崎は森山に「僕のこと、好きではないのですか?」と迫ると、森山は「それは、好きの搾取です!」と反論。この言葉を後悔して森山が心の中でつぶやいた言葉が、これである。30代女性(独身)が語る。
「ケンカしたときやイラッとしたときに、つい口にしてしまった相手を攻撃する言葉は、のちにその相手と仲直りしたとしても、お互いの心の中にずっと残ってしまうものです。
●森山「結婚して専業主婦になるということは、生活費の保障、つまり最低賃金を受け取ることとイコールだと思うのです。でも、最低賃金はあくまで最低賃金、『食わせてやってるんだから、黙って働け』と言われても、限界があります。(略)夫婦の場合、一対一なんです。夫が評価しなければ、妻は誰からも評価されない」
森山が、“副業”として外で働き始め、職業としての“専業主婦”に心の中で感じ始めた“モヤモヤ感”を津崎に説明する際のセリフ。40代女性(既婚)が語る。
「共働きだった頃は夫との関係性も対等だったのですが、妊娠・出産を機に仕事を辞めて主婦になると、だんだん夫の言動の節々に『食わせてやってる』という態度が出てきて、そのたびにイラッとしてしまった時期があります。しかも子供がまだ小さかったので、外部の人との交流もぐっと減り、そうすると夫との関係が占める割合が増え、ストレスを解消できる場所がないことをしんどいと感じるときもありました」
●津崎「愛情があればシステムは必要ないとも思いましたが、そんな簡単なことではなかったようです」
森山が外でも働き出したことで、家事の分担がうまくいかなくなり、2人ともストレスを感じ始めたことを受け、津崎が口にした言葉。30代女性(既婚)が語る。
「特に男性は家事など家のことについて『なんとかなるだろう』と思いがちですが、これが夫婦生活の失敗のもとです。やはりある程度、家事の分担やルールを決めておくことは大切だと思います」
●森山「今日の私は、最低だった。余裕がないと、途端に本性が顔を出す。(略)私は、自分が嫌いだ。
夕食のご飯を炊き忘れていた津崎にキツく当たってしまった後の、森山の心の声。30代女性(既婚)は語る。
「結婚して夫との同居生活がスタートして直後、私も仕事が忙しく、『自分は家事がデキるほうだ』と思っていたのに、全然できないストレスで夫に当たってケンカしてしまい、(森山)みくりのように後悔した当時のことを思い出しました」
●津崎「生きていくのって、面倒くさいんです。それは1人でも2人でも同じで、それぞれ別の面倒くささがあって、どっちにしても面倒くさいんだったら、一緒にいるのも手じゃないでしょうか。話し合ったり、無理なときは時間を置いたり、騙し騙しでも、なんとかやっていけないでしょうか。やってやれないことは、ないんじゃないでしょうか」
前出の「今日の私は、最低だった」と落ち込む森山にかけた、津崎の言葉。40代女性(既婚)が語る。
「結婚して最初の数年は、正直に言って『夫婦って面倒だな』と感じることのほうが多かったのですが、最近やっと、この平匡さんの言葉みたいに思えるようになったかもしれません。ただ、この境地にたどりつくには、平匡さんとみくりのような新婚【編注:劇中内では正確には未婚】では相当難しいと思います。また、こんなセリフを言えるような心の広い男性は、まずいないでしょう。」
●理想の最終回
以上、多くのファンたちの共感を呼んだ最終回は、平均視聴率20.8%の大台を突破したと報じられているが、テレビ局関係者は、こう解説する。
「結末は大方の予想通りハッピーエンドとなりましたが、“視聴者の期待を裏切らないので、安心して観られる”という点も『逃げ恥』の長所。
早くも続編放送への期待の声も多い『逃げ恥』。まさに最終回は“神回”となったようだ。
(文=編集部)