8月25日、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で自身のフォトマガジンを制作するための金銭的支援を求める企画を開始。制作したフォトマガジンを冬のコミックマーケットで頒布するという「真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト」を発表し、話題となった女優の真木よう子。



 この発表が猛烈に炎上し、28日には「CAMPFIRE」内で「8月12日の夏のコミケに行って会場を見ただけで、コミックマーケットの昔からのルールや、マナー等、一切勉強をせず安易な気持ちで応募してしまいました」などと謝罪し、フォトマガジンの制作と支援募集は続ける一方で、コミケの頒布を中止することに。その後、真木のTwitterは「????騙された????」という謎のメッセージのみを残し、フォロワーを全削除のうえ名前を変更し、鍵をかけた状態に。

 そして29日、ついに自身のTwitterアカウントを削除。今年6月下旬にTwitterを開始以降、ざっくばらんにフォロワーと交流し、主演の連続テレビドラマ『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)をアピールをしたり、事実と異なっていたらしいスポーツ紙の報道に意見ツイートをしたり、「真木よう子非公式bot」に一生懸命リプライを送る姿がかわいかったりと真木のTwitterは好評で、本人も楽しんでいる様子だっただけにもったいない限り。

 さらに31日付けの一部スポーツ紙で、主演ドラマの撮影をキャンセルしたと報道。31日には『セシルのもくろみ』が次週9月7日放送の第9話で最終回と事実上の打ち切りとなることが明かされ、そして所属事務所「FLYING BOX」の公式サイトに改めて「コミケ騒動」について、コミケ参加者たちにひたすら陳謝を重ねる内容の謝罪文を掲載。この一週間足らずの間に散々な目にあってしまっているが、なぜこの「真木よう子、クラウドファンディングでフォトマガジン制作、コミケ頒布」はここまで炎上してしまったのだろうか。

 もともと「真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト」は、「出版社を挟まず、皆様の御希望の写真、ワタクシの本音。等、多数載せる予定で御座います」とし、撮影=鈴木心、インタビュアー=吉田豪、編集=北尾修一といったクリエーターの名前や、フォトマガジンの体裁なども公開し、支援を呼びかけた。人気女優、しかもかつては過激な水着グラビアも披露していた真木のコミケ参戦とあって、ネット上では「俺の金で真木よう子の写真集がでるとか最高」「おもしろいチャレンジをするなぁ」と歓迎するコメントもそれなりに多かったのだが、好意的な意見をはるかに上回る反発の声があがってしまった。

 そういった反発の声を大雑把にまとめると
・クラウドファンディングを利用しての制作は自費出版が基本のコミケの趣旨と違う
・自分のファンクラブや違うイベント、どうしてもコミケというなら企業ブースでやるべき
・有名人がコミケの場を荒らすな、オタクをバカにしている!
・制作費800万は高額すぎるのでは
・制作費を集めた上で販売。金儲けに走りすぎ!
 といったところ。
3日間で50万人以上もの人が参加、多くの企業も(企業ブースとはいえ)出展し、何百何千万円という売上げをあげる有名サークルも存在する大イベントとなったコミケだが、コミケ参加者たちの多くにとっては趣味を生かした、自費制作した同人誌の即売会であり、お祭り。有名人がコミケを利用して一儲けしようとしている、と受け取られたことが反発を招いてしまったようだ。

「真木さんは漫画好きを公言していて、実際よく読んでいるようです。今回の騒動でも、雑誌の企画で対談した『それでも町は回っている』で知られる漫画家・石黒正数氏が『少なくとも真木よう子さんが漫画好きである事だけは俺からも言わせてもらいたい』とツイートしているほどです。ただ、漫画好きではあってもオタクではなかったんでしょうね。どうすればオタクに受け入れられるのか、何をやったら反発する人が現れるのか、そういうリサーチが彼女にも彼女の周囲にも足りなかったように感じます」(エンタメ誌ライター)

 一連の騒動を受け、ネット上では真木のコミケ出展について「真木よう子のコミケ参戦はコミケの理念に反していない」と擁護するブログも登場。さらに批判者を「そもそもそんなに怒ることか?」「ただの好き嫌いを勝手に善悪や理念にすんなよ」と批判する声もネット上に多数あがるなか、CAMPFIREサイドの責任を問いたり、「黒幕がいるのでは」と指摘する記事やブログエントリも相次ぐなど、混沌とした様相を呈している。

 なお、今夏のコミケには叶姉妹がサークルとして出展し、大好評のうちに用意したグッズを完売させている。2014年には小林幸子も手渡しで自主制作CDを頒布し、話題を集めた。なぜ彼女たちは歓迎されたのに、今回の真木は反発を招いてしまったのだろうか?

「叶姉妹、特に美香さんは漫画好きで知られ、度々コスプレした写真を自身のブログで掲載し続けていましたが、昨年12月にコミケに初参加。参加前にはブログを通じて『コミケの心得』を問い、コミケで注意すべきことやマナーをしっかり学ぼうとしていました。サークルとして参加した今夏のコミケでも、姉妹そろってオリジナルの写真やTシャツを販売しましたが、2000人を超える列のさばき方も実にスムーズでしたし、持ち込んだグッズの完売後も名刺を手渡しで配り続けるなどし、“神対応”と賞賛されていました。


 小林幸子さんは、アニメ『ポケモン』の主題歌を歌ったり、『紅白歌合戦』出場時のド派手な衣装が“ラスボス”と形容されたり、ニコニコ動画に動画を投稿していたりと、コミケに参加する層と親和性が高かったんですよね。14年夏にコミケ参加したときは本人自らブースに立ってミニアルバムCD『さちさちにしてあげる♪』を握手つきで頒布。2者とももともと受け入れられていたうえに、出展までしっかり時間をかけて準備していたことがうかがえます」(エンタメ誌ライター)

『セシルのもくろみ』では一時期に比べて劇的に痩せた姿が話題となった真木。彼女のメンタルが今回の騒動でさらに傷ついていないか心配だが、「真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト」は炎上騒ぎを起こしながらも、発表から数日間で約650万円以上もの支援額を集めるなど(30日に募集は中止)、彼女の「本音」が見ることができるフォトマガジンを求めるファンは多そうだ。

 炎上前のTwitterやCampfire内での当社の発表や謝罪文を見る限り、真木本人は、ただ本人が満足できる写真集を作って、今夏の叶姉妹のように手渡しで販売するなど、自分のファンと身近に接してみたかっただけのようにも見受けられる。ここはしっかりとしたブレーンのもと、本人もファンも満足できるフォトマガジン制作への再出発に期待したい。
(文=編集部)

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