BJ読者の皆さまは今何歳ですか、そして皆さまにとって「懐かしい」とはどんな情景でしょうか。
1970~90年代、家庭の茶の間から学校の放課後。
そして数ある「懐かしい」の中から厳選した記事をお届けするのがこの連載。
忙しい日常にちょっと一息、缶コーヒーでも飲むような気持ちでご覧になっていただけましたら幸いです。
さて、今回はかつてブラウン管の前の私たちにスリルと興奮をもたらした「水曜スペシャル『川口浩探検隊シリーズ』」全45回の秀逸な番組タイトルを分析してみます。
「水曜スペシャル」といえば、テレビ朝日系列で76年4月28日から86年3月26日にかけて、毎週水曜日19時30分から21時まで放送された特番。数多くの娯楽やドキュメンタリー番組が用意されたなかで、とりわけ人気を集めたのが「川口浩探検隊」シリーズでした。その人気ぶりは、毎回20%台の高視聴率を獲得していたことからも明らかでしょう。
恐怖心を煽る音楽、赤く切り裂くようなタイトル文字。そしてラテ欄に躍る驚愕のタイトル。私たちは「水曜スペシャル『川口浩探検隊シリーズ』」を、毎回手に汗握りながら観たことでしょう。
なかでも朝刊のラテ欄。ゴールデンタイムに躍る驚愕のタイトルに私たちは大いなる不安と心配を禁じえず、その日の夜が来るのを緊張の面持ちで待ったものです。
当時は現代と異なり何が待ち受けているのかわからない「南半球の秘境」。果敢に挑む川口浩探検隊の背中を、私たちはただじっと見守るばかりでしたね。
今となっては同番組への評価はさまざまですが、当時私たちの心を鷲掴みにした「水曜スペシャル」タイトルにはこんな言葉が多用されていました。以下、78年3月15日放送回から85年11月20日放送回までの全45回の番組タイトルから頻出する、印象的なワードを見ていきましょう。
「実在した!!/存在した!!」(登場回数:18回)
未開の地を行く探検隊ですから、やはりこの言葉が数多くラテ欄に躍ったのも当然でしょう。
たとえば1981年4月29日放送の「首狩り族か!人食い人種か!?最後の魔境ボルネオ奥地に恐怖のムル族は実在した!!」などはもう、タイトルから身の毛もよだつスリルが伝わってきましたよね。
「追え!!」(登場回数:15回)
緊迫した状況下で探検隊が草木を掻き分けて前進するシーン、ありましたよね。この「追え!!」は全45回の放送回でも、特にシリーズの後半で多用されたワードです。
「見た!!」(登場回数:7回)
「実在した!!」や「追え!!」に比べるとややインパクトの弱い「見た!!」。それでもたとえば78年12月6日放送の「暗黒の魔境アマゾン奥地3000キロに幻の原始裸族を見た!!」などは、十分に惹きつけられてしまうタイトルでしたよね。
「恐怖」(登場回数:17回)
未開の地は無論、恐怖との遭遇に満ちていました。この恐怖に打ち勝ってこその川口浩探検隊であると、当時の私たちは信じて疑いませんでしたね。84年7月4日放送の「恐怖の人食いワニ!オーストラリア魔の河に死神ブラックポロサスを追え!!」などは、まさに死と隣り合わせのスリルを感じずにいられません。
「秘境/魔境」(登場回数:10回)
Google Earthを使えば地球上のあらゆる場所を見ることができてしまう現代、地球上にもはやこのような言葉で表現する場所はほとんどないのかもしれません。しかし当時、未開の地を表す「秘境/魔境」は冒険心を掻き立てるスリルに満ちたワードでした。
「人食い」(登場回数:9回)
虎、サメ、ワニ、ピラニア、大蛇。探検隊の赴く地には人間の侵入を拒む獰猛な獣が多々棲息していましたね。83年6月22日放送「恐怖!ブラジル魔境に人食いピラニア大軍団を追え!逆襲死闘」などは、タイトルから血の匂いがしてきそうな緊迫感でした。
なお川口浩探検隊が赴いた地は主にアマゾン、オーストラリア、東南アジアが多く、今となっては多くの地で謎が解明されています。しかし当時の私たちはこれらの番組タイトルを目にして、川口浩探検隊の行方を、固唾をのんで見守っていたものです。
一方、あまりに矯激に過ぎるタイトルの連発は、放送回の後半においていささか食傷気味な感を与えてしまった印象も否めなかった記憶がありますが……。
しかしながらインターネットが普及した今日。
飛躍的な技術の進化は、私たちがもはや地球の隅々まで現地に赴かずともインターネットを介して知ることを可能にしましたし、時に誇大とも呼べた番組上の演出は現代では格好の炎上の的にもなり得ますから。
その点で「水曜スペシャル『川口浩探検隊シリーズ』」は80年代当時ならではの、痛快なエンターテインメントだったと言えるでしょう。「川口浩探検隊に入隊する!」なんて冒険心に火をつけられた方も多かったのでは?
今回はそんな80年代ならではの番組「水曜スペシャル『川口浩探検隊シリーズ』」にスポットライトを当ててみました。
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、ぜひお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
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