高速道路で後ろからあおったり前に割り込んで減速したりする「あおり運転」が社会問題化している。それに伴って、今注目を浴びているのがドライブレコーダー(ドラレコ)だ。



 ドラレコとは、運転中の映像を録画することができ、あおり運転の被害に遭ったときの証拠や抑止力などとしても役立つ外付けカメラのこと。需要の高まりを受けて、家電量販店には数多くのドラレコが並ぶなど空前の人気になっている。

 しかし、いざ購入しようと思っても、品揃えの多さに「どの製品を選べばいいのかわからない」という人も多いはずだ。そこで、自動車に詳しいライターの呉尾律波氏に「おすすめのドラレコ・ベスト3」を挙げてもらった。

●ドラレコ選びの基準は「画質」と「画角」

 家電量販店に行くと、5000円前後の廉価モデルから5万円台のハイグレードモデルまで、多種多様なドラレコが並んでいる。専門知識を持たないドライバーがそのなかからひとつを選ぶには、なんらかの基準が必要だ。

 呉尾氏は、「まず押さえておく必要があるのは、事故時にしっかり撮影できる最低限の『画質』と『画角』です」と語る。

「画角は広いに越したことはありませんが、目安となるのは水平角度100度以上。画質はフルHD以上のモデルを選んでおけば安心です」(呉尾氏)

 次に考えなければならないのが「付加機能」だ。「走行中の映像を記録する」という基本機能がある程度のレベルに達した最近のドラレコは、各メーカーがさまざまな付加機能に力を入れており、これが価格差を生む理由のひとつとなっている。そのため、賢いドラレコ選びにおいては「付加機能の取捨選択」が重要となるわけだ。

 呉尾氏おすすめの付加機能は「HDR(ハイダイナミックレンジ)」だ。


「HDRとは、撮影動画の明るさを補正する機能です。これがあれば夜間でも鮮明に撮影できますし、トンネルの出入り口などで急に明るさが変化したときでも、明るさの強弱がなくなって白一色となる“白飛び”、逆に黒一色となる“黒つぶれ”を抑制してくれます」(同)

 逆に、必要のない付加機能の筆頭は「運転支援システム」だという。車線からはみ出しそうになったり先行車と衝突しそうになったりするとアラームを鳴らして警告してくれるのだが、実際に使うと誤報も多いそうだ。

「運転支援システムは車線変更するだけでも頻繁に鳴るので、便利さよりもわずらわしさを感じることのほうが多い。GPS機能も必要ないでしょう。現状では、交通事故時の証拠に位置情報は求められていません。そう考えると、これも必要性の低い機能といえます」(同)

●信頼できるのは国内メーカー4社

 もうひとつ、ドラレコ選びで大切なのがメーカーである。

 最近でこそ数多くの製品が店頭に並ぶが、個人向けにドラレコが販売され始めたのは2008年頃と、わずか10年前にすぎない。ドラレコはクルマの装備としてはまだまだ発展途上であり、メーカーも玉石混交なのが実情だ。だからこそ、カタログ上のスペックだけではなく信頼できるメーカーを選ぶことが重要になってくる。

 数多のメーカーのなかから呉尾氏が推すのは、国内メーカーだ。

「海外メーカーのすべてが良くないわけではありませんが、道路環境は国によって違います。
日本で使う以上は国内メーカーのほうが安心感があります。保証などの面を考えても、国内メーカーを選ぶのが無難でしょう。ただ、注意しなければいけないのは、ここ2~3年以内に新規参入した企業が多いこと。そのあたりの見極めが重要ですね」(同)

 呉尾氏が信頼できるメーカーとして挙げるのは、国内市場のトップ3である「ケンウッド」「コムテック」「ユピテル」。これに、老舗メーカーの「アサヒリサーチ」を加えた「4社から選ぶべき」と呉尾氏は断言する。

「特にアサヒリサーチはレンズの質が良く、質実剛健なつくりで人気が高い。その信頼性の高さから、警察車両など官公庁でも採用されるほどです」(同)

●おすすめのドライブレコーダーベスト3!

 これらの要素を踏まえて、「おすすめのドラレコ・ベスト3」を紹介しよう。

【3位】
コムテック「ZDR-015」(参考価格:3万円前後)

「国内メーカーでは数少ない、前方と後方をフルHDで録画できる2カメラタイプ。2台設置を検討中の人にはおすすめです。オプションの配線ユニットを購入すれば、駐停車時でも作動する駐車監視機能を使用できます」(同)

【2位】
アサヒリサーチ「Driveman720α+」(参考価格:1万6000円前後)

「アサヒリサーチのブランド『Driveman (ドライブマン)』の低価格モデル。自然で美しい画質にこだわりを持つメーカーのため、HDR機能はあえて搭載していませんが、補正なしでも鮮明な動画が撮影可能です」(同)

【1位】
ケンウッド「DRV-325」(参考価格:1万5000円前後)

「必要な機能を絞り込んだケンウッドのスタンダードモデル。ボディがコンパクトな上に直感的な操作ができるインターフェイスなので、初めてのドラレコとしては最適です。
1万円台半ばというお手頃の価格も魅力」(同)

 この3モデルより安価なドラレコは数多くあるが、事故時にしっかり撮影できることを重視すると、1万円以下の安すぎる製品は対象外となる。念のためにいうと、高価だからといって事故時の映像に大きく差が出るわけではない。必要な機能を絞り込めば、高性能すぎるドラレコは必要ないのだ。

 あおり運転に限らず、ドラレコはいざというときに身の安全を守ってくれる大切な装備。それだけに、しっかりとした基準をもって選びたいものだ。
(文=鉾木雄哉/清談社)

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