今年のゴールデンウィークには、多数の外国人観光客(インバウンド)が日本に押し寄せた。ひときわ多かったのが、大阪・ミナミの繁華街として知られる心斎橋筋である。
心斎橋商店街で、門前市をなす賑わいを見せているのがドラッグストアだ。中国人の“爆買い”が話題になった時は、炊飯器、魔法瓶、温水洗浄便座、セラミック包丁が「四宝」と呼ばれたが、化粧品と大衆薬が取って代わった。リップクリームや目薬なども大人気だ。
心斎橋商店街には全国のドラッグストア各社が出店している。「“中国人御用達”ドラッグストア商店街に名前を変更したほうがいいのではないか」と皮肉る向きもある。
このようにドラッグストアは元気だ。日本チェーンドラッグストア協会の2017年版「日本のドラッグストア実態調査」によると、全国の総店舗数は1万9534店。M&A(合併・買収)によって企業数は減少傾向が続いているが、直近の2年間で1000店以上が新たに出店した。
2017年(暦年)の推定売上高は6兆8504億円。前年比5.5%増の大きな伸びとなった。売上高が6兆円を割った百貨店を上回る。
●ドラッグストアの代名詞、マツキヨが首位から陥落
【ドラッグストア主要5社の17年度の連結業績】
※以下、社名(決算期)…売上高、営業利益(前期比の伸び率、▲はマイナス)
・ウエルシアHD(2月決算)…6952億円(11.6%)、288億円(19.7%)
・ツルハHD(5月期予想)…6700億円(16.1%)、399億円(13.1%)
・サンドラッグ(3月決算)…5642億円(6.8%)、360億円(5.9%)
・マツモトキヨシHD(3月決算)…5588億円(4.4%)、335億円(18.1%)
・コスモス薬品(5月期予想)…5524億円(9.9%)、200億円(▲10.1%)
ドラッグストア業界は、M&A旋風によって群雄割拠の戦国乱世時代の終わりを迎えつつある。
2017年、22年ぶりに首位が入れ替った。17年の売り上げでイオン系のウエルシアHDがマツモトキヨシHDを上回った。
ドラッグストアの代名詞的存在だったマツモトキヨシHDは、さらに順位が後退する。18年3月期の連結売上高は5558億円。売上規模では業界4位となり、5位のコスモス薬品に猛追されている。5位転落の危機といっていい状況だ。
マツキヨの業績が悪化したわけではない。都市部の店舗が多いことから訪日外国人観光客の消費が好調で3期連続で最高益を更新した。ただ、競合他社のようにM&A路線を採っていないため、売り上げで追い越されていったのだ。ドラッグストアの王者・マツキヨが、いつM&Aの封印を解くかが注目されている。
イオン系のウエルシアHDは、16年9月にイオン傘下のウエルシア薬局とCFSコーポレーションが合併して首位に躍り出た。18年2月期の連結売上高は6952億円で、2年連続首位を堅持。青森県の丸大サクラヰ薬局を17年9月に子会社にしたことから売り上げが拡大した。
2位はツルハHDで、18年5月期の連結売上高は6700億円の見込み。ウエルシアHDの背中が見えてきた。北海道からM&Aで南進中だ。17年9月に静岡の杏林堂薬局を子会社にしたほか、18年5月には愛知県のビー・アンド・ディーHDを子会社にした。
ツルハHDは石川県のクスリのアオキHDに出資。イオンはツルハとクスリのアオキの両方に出資しており、ウエルシアを含めてイオンのドラッグストア連合「ハピコム」を形成している。
3位はサンドラッグ。18年3月期の連結売上高は5642億円。首都圏でライバル関係にあるマツモトキヨシHDを抜いて3位に浮上した。
5位は九州から東進中のコスモス薬品。18年5月期の連結売上高は5524億円を予想。M&A戦略は採らず、人口1万の小商圏に出店し、売り上げ規模でマツキヨに並んだ。
大手5社の売上高は5000億円以上。この下に2000~5000億円が7社ひしめき合う。これまでは大手による地方のドラッグストアのM&Aが中心だったが、これからは業界10位以内の大手同士の統合が本格化することになるとみられている。
M&Aでは、イオン系が一歩先行している。
●食品スーパー、コンビニの領域に攻め込む
ドラッグストアは粗利益率の高い大衆医薬品や化粧品で収益を確保し、日用品などを安値で販売する手法で成長してきた。各社とも食品は成長分野とみて取り扱いを増やしている。
九州地盤のコスモス薬品は売り上げの55.9%が食品だ。
トップのウエルシアHDは、コンビニの業務領域だった公共料金などを受け付ける収納代行サービスを全店で始める。おにぎりや弁当、総菜を販売する店舗もある。ドラッグストアは、食品スーパーやコンビニから顧客を奪って成長してきた。
株式市場のドラッグストア各社の評価はどうか。連休明けの5月11日の終値での時価総額のランキングは次のとおり。
1位はツルハHD(時価総額8018億円)、2位はサンドラッグ(同7482億円)、3位はウエルシアHD(同6194億円)、4位はマツモトキヨシHD(同5791億円)、5位はコスモス薬品(同5022億円)だった。
株式市場の評価はツルハHD、サンドラッグのほうがウエルシアHDより高いのだ。
(文=編集部)
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