嵐の二宮和也が主演を務める連続テレビドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の最終回(第10話)が6月24日に放送され、平均視聴率は前回の16.2%から2.4ポイント上昇の18.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録した。さらに、この数字は今期の民放連ドラではトップであり、まさに有終の美を飾る結果となった。



 しかし、最終回をめぐっては視聴者の間で「真相がわかってスッキリした」「ツッコミどころ満載。設定に無理がありすぎる」と賛否が分かれている。

 ひとつめのツッコミどころは、1時間強の最終回のなかで東城大学医学部付属病院教授の佐伯清剛(内野聖陽)が何度も倒れすぎというものだ。そもそも、手術をした時点で渡海征司郎(二宮)が完全に治療していないというのが問題ではあるが、前回も倒れて手術したのに、今回も会食の場で再び倒れ、患者の処置後に自分が倒れ……と誰がどう見ても絶対安静が必要な状況であるにもかかわらず、取り巻きの医師たちはそれほど教授の体を心配しているようには見えない。心配しているのは、日本外科学会理事長選挙のゆくえだけだ。そんななか、結局は渡海だけが「俺だけが治療できる」と佐伯の病気に言及していたのは皮肉だ。

 2つめは、飯沼達次(山本亨)の胸に取り残されていたペアンの真の目的は止血だったことだ。かつて主治医の佐伯が、オペ室が使えない状況で飯沼を手術する際、苦肉の策としてペアンで出血を止めた状態で閉胸した。その後、佐伯が不在中に再手術を担当した渡海の父・一郎が医療過誤の疑いをかけられ、病院を追われた。しかし、一郎はペアンが置き忘れではなく施術の一環だったことをわかっており、知っていながらあえて口外せずに自分の罪として受け入れたという。

 これについては、「応急処置なら、なぜ隠してた?」「結局は説明不足が原因ってこと?」「そもそも設定自体に無理がある」と、真相に肩透かしをくらった視聴者が多かったようだ。

 しかも、飯沼達次の治療については、渡海が取り出した古いペアンを佐伯が持つブラックペアンに取り換えただけというオチであった。
カーボン製で特注のブラックペアンであればレントゲンには写らず、火葬されれば一緒に燃えるという。

 つまり、それまで胸に入っていたペアンは必要な措置だったということになるが、それなら、なぜ飯沼はあんなに苦しんだり発作を起こしたりしていたのだろうか。仮に心臓のほかの部位に問題があるのであれば、ペアンを取り換えただけで「根本的な治療はまったく行っていないのでは?」という疑問もわいてくる。

 いったい、ペアンの処置をしたのは何年前の話なのか。ここまで隠し通してきて、結局はレントゲンに映らず火葬すれば燃えてしまうブラックペアンに置き換えるくらいなら、その時間でほかの方法を検討するという選択肢もあったはずだ。そもそも、あんなに大きいペアンを使わなくても、止血に有効な処置器具くらいは見つけられたのではないだろうか。

●不自然すぎる佐伯教授の“変貌”ぶり

 そして極めつけは、かたくなに“佐伯式”を自分だけの術式として独占し、理事長選にこだわっていた佐伯が、当選後はあっさりと理事長の座を後任に明け渡し医師育成に力を入れているという展開だ。これは、なんとも不自然すぎる。

 ネット上では、「散々人をだまして、部下を人とも見てないぐらいだったのに、最終回で『実はいい人だった』設定は無理がありすぎる」「佐伯教授が突然ものすごくいい人、いい医者になったのが腑に落ちない。今まで、インパクトファクターを得るために人を陥れるようなパワハラもどきの言動をしてきましたよね」という声があがっている。

 唯一、最終回で合点がいったのは、佐伯に固執する理由のなくなった渡海があっさりと東城大を去ったところだ。

 世間では早くも「渡海ロス」が発生しているようだが、同日放送のラジオ番組『bay storm』(bayfm)では、パーソナリティを務める二宮が「ブラックペアン祭り」と題してリスナーからの感想を募っており、本人もドラマ終了を惜しんでいるようだった。


 最終回の展開についてはTBSと協議することを匂わせていた二宮だったが、このラストは、果たしてどちらが出した答えだったのだろうか。今後の『bay storm』で、その真相が明かされるのかもしれない。
(文=絢友ヨシカ/ライター)

編集部おすすめ