ライトオン、客数減で閉店ラッシュ…1980円で高品質なジーンズのユニクロ等に客流出

 ライトオンの業績が深刻だ。10月2日発表の2018年8月期連結決算は、売上高が767億円だった。同期から連結決算に移行したため単純比較はできないが、単独決算だった前期に比べ4%減った。純損益は4億円の黒字(前期は44億円の赤字)だった。

 主力のカジュアル衣料品店「ライトオン」の店舗数が1年で18店純減し495店にまで減ったほか、既存店売上高が前期比5.2%減と苦戦したことが影響した。純損益は赤字から黒字に転換したが、閉店店舗と収益性が低下した店舗について3億円超の減損損失を計上したため、低水準にとどまった。

 ライトオンは、客離れが止まらない状況にある。既存店客数は18年8月期が8.9%減、17年8月期が8.3%減と、2年連続で前年を大きく下回った。同社は18年8月期の客数減に関して、天候不順の影響で秋物商品の販売が苦戦したことや、ゴールデンウィークで集客に失敗したことを理由として挙げ、17年8月期は前年の売れ筋商品を踏襲した新鮮味に欠ける品ぞろえになったことやトレンド商品の品ぞろえが不十分だったことを挙げている。

 もっとも、客離れはライトオンに限らずジーンズを売りにしているカジュアル衣料品店の多くで起きている。たとえば、マックハウスは18年2月期の売上高が308億円だったが、10年前と比べ5割近く減っている。最終損益は2億円の赤字に陥った。ジーンズメイトも苦戦している。18年3月期まで10期連続(18年3月期以外はすべて2月期決算)で最終赤字を計上している。売上高は減少が続き、18年3月期は変則決算のため除外するが、17年2月期は91億円で10年前と比べ6割減った。

●低価格ジーンズの台頭で従来のジーンズが苦戦

 若者を中心とした「ジーンズ離れ」が叫ばれて久しい。日本ジーンズ協議会によると、ジーンズなどボトムスの国内生産本数は12年が4650万本と10年前と比べ34%減ったという。13年以降については公表されていないが、良くて横ばいというのが大方の見方だ。

 ボトムスの生産本数が減ったのは、ユニクロ無印良品など低価格のカジュアル衣料品店が台頭したことが大きい。ライトオンが扱うリーバイスやエドウィンなどのブランドジーンズはどれも高額で、1万円を超えるものも少なくない。一方、たとえばユニクロは1990円、2990円、3990円という圧倒的な低価格でジーンズを販売している。両者の価格差は歴然としている。

 もちろん、ファッション性などの品質面において両者の間には開きがあるため、単純な価格比較は意味がない。高価格ジーンズは低価格ジーンズにはない品質がある。だが、たとえばユニクロは、世界に誇る日本のデニム生地メーカーのカイハラと組むなどして品質を高めており、品質の差は縮まっている。そのため、価格と品質のバランスにおいて、ライトオンが扱うジーンズの優位性は低下したといえる。

 低価格ジーンズ市場は活況を呈している。ユニクロの姉妹ブランド「GU(ジーユー)」が990円という圧倒的な低価格ジーンズを09年3月に発売し、大ヒットしたことで市場活況の口火を切った。この成功を知ったイトーヨーカ堂やイオンなど小売各社が、1000円未満の低価格ジーンズを相次いで発売するようになった。同年10月には、ドン・キホーテが「業界最安値」をうたって690円ジーンズを発売したことが大きな話題となった。そして、勢いを増したこれらの低価格ジーンズが、ライトオンから顧客を奪っていった。

 なお、先述した日本ジーンズ協議会発表のボトムスの国内生産本数は、同協議会加盟社の生産本数を合算したもので、ユニクロやイトーヨーカ堂、イオンといった低価格ジーンズを販売する企業はどこも加盟しておらず、これら企業の低価格ジーンズの生産本数が反映されていないことに留意する必要がある。

 同協議会に加盟し生産本数に反映されていたのはリーバイ・ストラウスジャパンやエドウィン、リー・ジャパンのジーンズなどだ。ライトオンはこれらのジーンズを主力商品として扱っていることから、同協議会発表のボトムス生産本数の減少とライトオンの低迷は、密接にリンクしているといえるだろう。

 ライトオンでは、ボトムスは商品部門別販売比率が3割強にも上る主力カテゴリーとなっている。店舗ではボトムスを好ロケーションで展開し、来店客にその存在を強烈にアピールしている。これはジーンズを売りにしているカジュアル衣料品店ならではだ。Tシャツなどのトップスを主力とするユニクロなどがトップスを好ロケーションで展開するのとは対照的といえる。

 このようにライトオンはボトムスが生命線となるわけだが、先述した通り、ライトオンが扱う高価格帯のボトムスは生産が低迷していったため、業績に大きな影響を受けることとなった。

●脱ジーンズの流れが加速か

 こうした流れを受け、ライトオンと同じくボトムスが生命線のジーンズメイトは、18年3月期からボトムスの割合を減らしてトップスや小物の割合を増やす戦略に舵を切った。17年2月期までのボトムスの販売比率は概ね30%程度だったが、18年3月期は26%にまで低下した。トップスや小物の販売を強化することで業績回復を図る考えのようだ。

 これはおそらく、RIZAPグループがジーンズメイトの親会社になったことが影響したのだろう。業績不振に陥っていたジーンズメイトを17年にRIZAPが傘下に収めて経営改革、店舗改革を進めてきたが、そのひとつが非ボトムスカテゴリーの販売を強化することだったとみられる。

 マックハウスは10年代初頭から“脱ジーンズ”に動きだしている。たとえば、12年から、ジーンズが少なくトップスが充実したカジュアル衣料品の新業態「ブルーベリー」の出店を始めた。これは、先述した09年に起きた低価格ジーンズブームを受けてのことだろう。

 ライトオンもトップスの強化が必須といえる。ユニクロなど低価格のカジュアル衣料品チェーンが台頭したことで、ライトオンのトップスは価格と品質の両面において競争優位性が相対的に低下していったわけだが、一方で高価格のジーンズが売れないからこそ伸び代があるトップスの重要性が高まっているといえる。そのため、トップスの優位性低下を放置しておくことはできないだろう。

 そうしたなか、ライトオンは18年8月期下期から、売り場のコンセプトを、陳列量を重視する「ジーンズショップ」から提案型の「ジーンズセレクトショップ」へ転換するという売り場改革を始めた。プライベートブランド(PB)を強化して商品力を高めるとともに、在庫量を抑制し、ブランドやテーマに沿った提案型の売り場に変えていくとしている。

 いずれにしても、ボトムスの販売を増やすにはトップスの充実も欠かせない。トップスが充実すれば、ボトムスとの組み合わせ販売が促進され、トップスだけでなくボトムスの販売も伸びる。そのためにはライトオンが始めた提案型の売り場は大きな役割を果たす。これによりトップスとボトムスのコーディネート提案がしやすくなるだろう。遅きに失した感は否めないが、新たな品揃えと進化した売り場に期待したいところだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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