あなたは普段「時間の使い方」について、どのくらい意識をしている人でしょうか。日々の細かな時間の使い方よりも、3年後にどんな自分になっているか、次の5年でどんな成果を出すかといった捉え方をしていたり、1カ月や1年単位での時間の使い方を考えている人も多いでしょう。
まとまった期間から生み出す成果に注目するのは、もちろん大切ですが、今回はあえて一日の時間(=毎日の時間)の使い方について考えてみましょう。
●普段から時間の使い方について考えているか
あなたは自分の時間の使い方に満足している人でしょうか。答えがYesならいいのですが、毎日をもっと有効に使えるはずだとか、もっと生産的になりたい、あるいは、いつも時間が足りないと感じているようなら、時間の使い方について、今よりもよく考察してみましょう。そうすることでクオリティを高めていけるはずです。
時間の使い方について意識を高く持つことは、ほかの例でいえば、食事や栄養についてきちんと考えたり、家計や自分のお金をしっかり管理しようとするのと同じことなのです。
食事については、日頃から口の中に入れるものをよく観察し、カロリー、糖質、添加物などについて気を配っている人もいれば、そうしたことをほとんど気にしない人も多いものです。家計についても、自分の生活費がいくら掛かっているのか、細かく注意している人もいれば、お金についてはなんとなく捉えているだけの人も珍しくありません。たとえば、今年の終わりにいくら貯金ができているのか、具体的に考えていない人もいるでしょう。
時間の使い方も実はまったく同じで、人により意識の持ち方が異なります。そして食事やお金と同じように、少し気をつければ、大きな改善が見込めることでもあるのです。
●有意義な時間はどのくらいあるか
一日の時間は、通勤、仕事、運動、掃除、食事というように分類できます。それぞれにどのくらいの時間を使っているのか、誰にでもわかっているはずですが、あえてもう一度計算し、できれば書き出してみましょう。
さあ、これらの時間のうち「生産的なことができている」「有意義に使えている」と思える時間はどのくらいあるでしょうか。もし、あなたが日頃から「もっと生産的になりたい」と感じているとすれば、そうした時間をもっと増やしたいはずです。
たとえば具体的に、仕事で新規顧客を見つけたいと考えている人は、そのために費やしている時間はどのくらいあるでしょうか。その時間で十分と感じているでしょうか。そう思える人もいれば、不十分だと思う人、こんなに少ない時間で実現できればラッキーと思える人もいるかもしれません。
日々やることが多過ぎて生産的なことに時間が使えないという人も多いでしょう。それを克服するために、ここで「時間の節約」と「ムダな時間を生産的な時間に変える」方法について考えてみましょう。
●「時間の節約」について
時間の節約は、「時間を生産的に使えているか」を細かく検証することからはじめます。
たとえば、会社の昼休みについて考えてみましょう。もしあなたが毎日同僚と昼食に出かけているとします。ぶらぶらと歩いて、店内で注文した料理を待ち、帰りにはコーヒーの1杯も飲んで事務所に戻っています。こうした時間の使い方について、しっかり休んで午後に備えるために必要とか、同僚たちとコミュニケーションを取るのに役立っていると思えるならよいでしょう。
しかし、それが本当に毎日、あるいは週に何度も必要なことなのか、あえて疑ってみましょう。もしかすると、そうした昼食のとり方は週に1、2度にして、他の日はさっと済ませて、ほかのことをしたほうがいいのかもしれません。私たちには、必要に思えていても、実はただの習慣でしかないことは多いものです。
ほかにも、たとえば朝出社してから仕事に取り掛かるまで、あるいは業務終了の定時から実際に事務所を出るまでの時間にも、本当に必要なことをしているのか考えてみましょう。業務時間中に私語をしているか、といったことも合わせて、一度じっくり振り返るだけでも意味があります。
昼休みは、余程のことがない限り仕事はしないと決めて、その代わり朝の定時から夕方の定時までは、一切の私語はなしで働くと決めている人がいます。このスタイルが誰にでも適しているとは限りませんが、このように時間を有効に使うためのポリシーを持っているかどうかで差が生まれるものなのです。
●「ムダな時間を生産的に変える」ことについて
生産的な時間に付随して、どうしても必要になってしまう非生産的な時間があります。
通勤時間は多くの人にとって、そのようなものかもしれません。こうした時間をなんとか生産的な時間に変えられないでしょうか。
通勤時間は毎日あるものです。その時間をたとえば資格試験の勉強に費やすのはどうでしょうか。
こう言うと反発を買うかもしれませんが、電車や地下鉄に乗っているあいだ、ずっとスマホでSNSやゲームをしているのはもったいないものです。もちろんスマホで連絡を取り合うようなことは誰にでも必要ですが、何かを得たければ、目的を持って時間を使うことが大切なのです。
筆者にも経験がありますが、通勤時間に勉強をして資格取得に成功すると、ムダだと思っていた時間が有意義に変わったことに感激するものです。早速、今日か明日の通勤中に、どんな資格が世の中に存在しているのか検索してみてはどうでしょうか。資格に限らず、何かに目的を持って取り組むようになると、そのこと自体が有意義なだけでなく、それによって普段から「時間を貴重に扱うようになる」という効果があります。
最後に、あなたは普段、時間を大切にする人たちと一緒にいるかどうかを考えてみましょう。もし周囲に時間をムダに過ごしても平気な人が多い気がしたら、これからは時間を大切に使う人たちのグループに入ることを心掛けたいものです。
そのためには、やはり自分自身が時間の使い方の意識を高めていくことが必要です。自分の時間から、もっと何かを生み出したいという想いが、時間の使い方や行動、そして共に過ごす人たちさえも変えていくものです。
(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)