「このウジ虫野郎!」「一滴残らず、地球上から干されて消えろ!」――木曜深夜に放送されている連続テレビドラマ『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)で主演を務める山口紗弥加の迫力ある演技が話題になっている。
山口が演じているのは、仕組まれた不倫スキャンダルによって芸能界を追放された元女優。
芸能界の不倫スキャンダルや枕営業を描き、さらに時事ネタが随所に盛り込まれた展開は、まさに深夜ドラマならではの攻めた内容となっている。同時に注目されているのが、山口は今作が連ドラ初主演という点だ。山口は14歳でドラマデビューを果たすが、一時はバラエティ番組への出演や歌手活動がメインとなり、22歳の頃には引退を決意したこともあったという。
しかし、演出家・野田秀樹の舞台「オイル」への出演が転機となり、女優業に邁進することを決意。出演した連ドラは60本以上を数えるなど、着実にキャリアを重ねた。そして、芸歴24年、38歳にして連ドラ初主演を飾ったというわけだ。山口は、「週刊ポスト」(小学館/2018年11月2日)で主演オファーについて「私のような“古株女優”にそんな話はもうないだろうって、どこか諦めていましたね」「38歳の今だからこその“古漬けの味”を出したいです」と語っている。
●40代でブレイクの吉田羊、朝ドラが転機の尾野
芸能界では、子役出身の芦田愛菜や鈴木梨央のように、早ければ年齢1ケタのうちから人気者となり、ドラマやCMに引っ張りだこになるケースもある。一方で、山口のように遅咲きの女優も少なくない。
近年の代表格が、吉田羊だろう。
吉田は年齢非公表だが、16年の「日本ジュエリーベストドレッサー賞」では40代部門で受賞しており、インターネット上でも「44歳ぐらいでは」とささやかれている。それを前提とすると、『HERO』の時点で40歳ぐらいということになり、40代に入ってからブレイクを果たしたことになる。現在、ドラマ『中学聖日記』(TBS系)に出演しているほか、主演映画『ハナレイ・ベイ』(HIGH BROW CINEMA)も公開中で、まだまだ快進撃は続きそうだ。
また、ファッションモデルから女優に転身したのが吉瀬美智子だ。1995年の芸能活動開始以降、モデルの仕事をメインとしてきた吉瀬だが、2007年の事務所移籍を機に女優業に進出。「32歳の新人女優」として活躍を続け、10年には『ハガネの女』(テレビ朝日系)で連ドラ初主演、『死刑台のエレベーター』(角川映画)で映画初主演を飾る。14年には、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)で不倫に溺れる主婦を演じたことも話題を集めた。現在43歳なので、ブレイクしたのは30代後半からということになる。
現在37歳の尾野真千子も、遅咲きといえるだろう。1997年の映画『萌の朱雀』(ビターズ・エンド)で主演デビューを飾るが、その後は一般的な認知度が高いとはいえない状況が続き、2011年のNHK連続テレビ小説『カーネーション』のヒロインに起用されたことで一気に人気に火がついた。
●『逃げ恥』で再ブレイクした石田ゆり子
前述の4人とは若干意味合いが異なるが、「奇跡のアラフィフ」と呼ばれる石田ゆり子は49歳にしてセカンドブレイクの渦中にいる。1987年のデビュー以降、数々のドラマや映画、CMに出演してきた石田だが、2016年のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)への出演をきっかけにブームともいえる人気を博す。
インスタグラムのフォロワーは170万を超え、人気再燃に伴って、「ヤフオク!」では10代のときの水着写真集『踊ろよ、フィッシュ。』(英知出版)の落札価格が30万円にまで高騰したこともあったという。『逃げ恥』以降はさらにドラマやCMへの出演が相次いでおり、“癒やし系熟女”として確固たる地位を築いたといえる。
生き馬の目を抜くとも評されるほど、移り変わりの激しい芸能界。今後は、どんな遅咲き女優が誕生するのだろうか。
(文=編集部)