ピン芸人のキートンが、『R-1ぐらんぷり2019』の審査について、ツイッターで怒りをぶちまけた。

 1月24日にヨシモト∞ホールにて行われた『R-1ぐらんぷり2019』、その3回戦に出場したキートン。

本人としてはかなり手応えがあったようだが、残念ながら準々決勝には進めず、3回戦敗退となってしまった。

 キートンは、この結果に対する自身の思いを手書き画像にしてツイッターに投稿。「その日のベスト5に入る笑いを取っていた」と感じていたにもかかわらず敗退となったことについて、「私は意図的に落とされたと思っている」「審査員が本気で合格にあたいしないと思ったなら審査員のセンスを疑ってしまう。おもしろくねー奴が審査していると思ってしまう」などと、かなり辛辣な意見を述べたのだ。

「実際この日のキートンさんは相当ウケていたようで、少なくとも準々決勝進出は確実といった雰囲気だったはず。これがもしも準決勝であったなら意見も分かれるところかも知れませんが、まだ3回戦なのだから、“ウケているんだから落とす必要はない。とりあえず上に進ませよう”と判断するのが妥当なように思われます。にもかかわらず落とされているんだから、キートンさんが怒りと共に不信感を爆発させるのも当然だと思いますね」(お笑い関係者)

キャリアの長い芸人は落とされる?

 審査方法などについては何かと批判的な意見がぶつけられることが多いお笑い賞レースだが、中でも2002年に開始されたR-1ぐらんぷりについては、「審査基準がおかしいのではないか」との声が以前から多かった。

「ピン芸人日本一を決めるというお題目のわりには、本来はコンビ芸人として活躍している芸人がひとりで出場して決勝に進出してしまう……というケースが多いという点は、よく指摘されています。大会を盛り上げるために注目度が高い芸人を決勝に出したいというテレビ的な事情はわかりますが、あまりにも露骨すぎて、大会の価値を下げかねない。

 また、準決勝以上に進出する芸人の顔ぶれが毎年似通っているという指摘も多い。いうなれば、R-1審査員に“ハマっている”芸人ばかりなんですよ。
その芸人たちがみな確実に笑いを取っていて、しかも人気があるのであれば納得もできますが、必ずしもそうではない。毎年こんな感じだと、ほかの芸人のモチベーションは下がっていくと思いますよ」(前出・お笑い関係者)

 また、こういったお笑い賞レースでは、「キャリアの長短で落としているのではないか」といった疑念が抱かれることも多い。お笑い賞レースの取材をすることが多い芸能記者はこう話す。

「ある程度のキャリアを積んだ芸人については、ネタの内容云々ではなく、“新鮮味がない”といったような理由で上位に進ませないようにしている、と見られている部分はあると思います。賞レースはやはり、ネクストブレイク芸人を発掘する場でもあるわけですから、手には下駄を履かせ、ベテランは逆に減点される……といった操作があるのかもしれない。今回のキートンさんの結果などを見ていると、そういうことがあってもおかしくないなと思わざるを得ません」

在阪のカンテレ制作なので大阪勢に有利?

 たとえばM-1グランプリであれば、「結成15年以内」という出場資格があるが、R-1ぐらんぷりの場合は出場に当たってそのような“キャリア制限”はない。だからこそ、ベテラン芸人が損をすることも多いというのだ。

「そもそもベテランが少ないM-1は、『キャリアで落とす』ということはあまりない。一方R-1はベテラン芸人も多く出場しているので、『キャリアの長さで落とす』ということがあり得るわけです。大会運営サイドのいろんな思惑があるのはわかりますが、出場に当たってのキャリア制限を設けていない以上、本来的にはそれはおかしな話。もし本当に若手を優遇しているのであれば、さすがにフェアじゃないでしょう」(前出・記者)

 R-1の審査基準は公開されていないので、これらの意見はあくまでも推測ではあるが、ウケているにもかかわらず落とされたのだとすれば、それはあまりにも理不尽であろう。

「R-1ぐらんぷりは関西テレビ(カンテレ)とフジテレビの共同制作となっていますが、重心が置かれているのはカンテレ。
大阪ローカルのテレビ局の制作ということは、東京を中心とした“全国区のお笑い界”とは多少温度感が違うということもあり得るでしょう。これは朝日放送テレビ制作のM−1グランプリにも同じことがいえるのですが、どうしても“関西寄り”な芸人が強い傾向があります。また同時に、キートンさんのような“カルト芸人”的な立ち位置の芸人が弱いという傾向もある。そういった先入観を取り払って、それを視聴者の側にも明示して審査をしなくてはいけないはずなのに、それができていないという現状はあると思いますね」(前出・記者)

 R-1ぐらんぷりの審査について、各方面から違和感が指摘されていたことはまぎれもない事実。ゆえに、キートンの怒りをもっともだと思う関係者、ファンも多いだろう。もしそのような、疑念をさしはさむ余地のある審査が今後も繰り返されれば、本当におもしろい芸人を見つけだすことなどできないはず。いったいなんのためにお笑い賞レースが存在するのか、運営サイドはその点を今一度見つめ直す必要があるだろう。

(文=編集部)

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