竹内結子が主演を務める連続テレビドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)の第9話が3月7日に放送され、平均視聴率は前回より0.5ポイントアップの6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。最終回を前にしても視聴率は大きく上昇せず大コケ確定が目に見えているが、今回はかなり見ごたえのある回だった。

裏を返せば、今までのような実話を皮肉った内容ではなく、最初からこの路線で展開させていれば、ここまで大惨敗することもなかったのかもしれない。

 第9話では、政治家・吾妻涼介(山本耕史)の元秘書を使った政治資金スキャンダルが報じられ、その元秘書が氷見江(竹内)だということも明るみになり、さらに氷見と吾妻の不倫スキャンダルにも発展。第8話で、氷見は与田知恵(水川あさみ)からクライアントを吾妻のために利用していると疑われていたが、スキャンダル報道が出たとき、氷見はすでに鈴木法律事務所を退職していた。

 氷見がいなくなり対応に追われる事務所に、吾妻が林光蔵総務大臣(山田明郷)と共にクライアントとして訪れる。実は、吾妻と事務所副所長の鈴木太郎(バカリズム)と氷見の3人は大学の同期生だったようだ。そして、5年前に氷見がなんらかの死亡事故に巻き込まれた後に吾妻の秘書を辞め、行く当てのなかった氷見を鈴木が事務所に招いたということも明らかになった。

 ここから話はさらに展開するのだが、第9話では、5年前に氷見の目の前で死んでいた男は氷見が殺したのか、それとも歩道橋の上でおびえるように現場を見ていた吾妻の妻・美咲(山崎紘菜)が犯人なのか、まったく別の第三者がかかわっているのか、犯人が明らかになることはなかった。

 いずれにせよ、今までの軽いノリから一転して急に重い雰囲気に包まれたことで、インターネット上では早い段階から「どうにも意味がわからない」「思わせぶりの展開が多すぎる」「話についていけない」などの声が多く上がっていた。とはいえ、長すぎる序章からやっと抜け出し、ようやく本題に入ったということで「やっとおもしろくなってきた」という声もみられた。

 話をドラマの内容に戻すと、与田は吾妻に妻同伴でスキャンダルの釈明会見を開かせ、イメージ回復を図る。同時に、事務員の真野聖子(斉藤由貴)にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で氷見の黒い噂を拡散させるように指示し、クライアントを救う代わりに氷見を追い詰めていく。

 吾妻の会見を見た氷見は、ネットに「氷見江怒りの告発動画」というタイトルの動画を公開。
あくまでも合法の範囲で献金の斡旋をしたと語った上で、吾妻の会見について「策略です」「先生がそのような対応をされるのであれば、私にも考えがございます」と宣戦布告した。

 その後、与田と真野らは5年前のとある死亡事故に氷見が関与していることを突き止め、事務所のメンバーは再び何かを仕掛けるかのように意味深に動きだす……という内容だった。

 事件の裏に政治がらみの何かがからんでおり、仮に氷見が政治家の誰かにハメられていたのだとしたら、現在放送中の弁護士ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)とかなり似ている展開だ。だが、『グッドワイフ』は視聴率で苦戦しているとはいえ、内容的にはかなり高い評価を受けている。

 放送開始前は『QUEEN』『グッドワイフ』『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)という弁護士ドラマの三つ巴が期待されていたが、現状では『QUEEN』の完全敗北といったところだ。おもしろくなってきたと思ったら次回で最終回を迎えてしまうが、最後くらいは今までの思わせぶりな展開をすべて回収してすっきりと終わらせてほしいものだ。
(文=絢友ヨシカ/ライター)

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