お笑い芸人としてだけでなく、映画監督や小説家などマルチに活躍している爆笑問題の太田光。エンタメ業界で安定した活躍を見せる彼だが、その一方で彼の奇行がクローズアップされることが最近増えている。
3月30日に生放送された『ENGEIグランドスラムLIVE』(フジテレビ系)のエンディングで、はしゃぎすぎた太田が生クリームにすべって床に顔面を強打。放心状態のまま番組が終了したのだが、本人は病院に担ぎ込まれ、翌日の生放送『サンデー・ジャポン』(TBS系)の出演を見合わせることに。検査の結果、異状はなかったものの、一歩間違えれば大惨事ともいえるアクシデントに、番組関係者は息をのんだという。ある放送作家は次のように語る。
「太田さんは、大勢の芸人に囲まれるとテンションが振り切れてしまう“習性”があり、毎年やってる特番『爆笑問題の検索ちゃん』(テレビ朝日系)でも芸人が一堂に会すため、太田さんは収録現場で毎年フルスロットル状態。嬉々としてギャグを連発して話を止めないので、収録はいつも4時間を超えるそうです。これが嫌で出演を断る人気芸人や、途中で別の収録現場へ行かざるを得なくなる芸人もいるとか。昔から仲のいい芸人からすると『またいつもの悪ノリが始まったよ』という感じですが、スタッフや客からすると迷惑でしかない。だって、その悪ノリがたいしておもしろくないし、オンエアにも乗らない内輪ウケでしかないんですよ。これはもはや、完全に奇行ですよね……。
今回の『ENGEIグランドスラムLIVE』も、エンディングでとんねるずの石橋貴明さんが出てきて、出演芸人たちもステージに集合することとなったため、太田さんがスパーク。僕は実際に生放送で見てましたが、本当に頭蓋骨骨折とか脊髄損傷レベルのコケ方でしたよ。
●「ラジオで決着をつけよう」とタイマンを要求
そんな事故の結果、『サンデー・ジャポン』を欠席した翌週のこと。同番組内で今度は、お笑い芸人、ぜんじろうに対して「ぜんじろうは相変わらず厄介だね」と噛みつき、新たなトラブルが勃発。ぜんじろうはツイッターで「後輩の太田くんにサンジャポで『ぜんじろう』呼ばわりされてちょっとだけイラッとする不思議(笑)」と応戦すると、太田は自身のラジオ番組で「てめぇ、いつから俺の先輩になったんだ、ふざけんなよ三流芸人よ」とブチギレ。またしても彼の“奇行”がネット記事に踊ることとなったのである。
「ぜんじろうさんは関西を中心に活動を続ける芸人で、若き日のナインティナインや雨上がり決死隊を擁した“吉本印天然素材”の初期メンバー。1990年代は関西ローカルで人気を博し、『平成の明石家さんま』と言われるまでブレイク。その後東京進出まで果たしましたが、ほどなくして売れなくなり、今は鳴かず飛ばず状態の芸人さんです。今回の騒動に対してナイナイ岡村さんが自身のラジオ番組で、『ぜんじろうさんのほうが絶対に太田より先輩』と、太田さんを呼び捨てにするという小ボケをはさみながらとりなそうとしましたが、それでも太田さんの怒りはおさまらず、『ラジオで決着をつけよう』とまで言い放つ結果に。
芸人の世界では年齢よりも芸歴が優先されるのは当然で、とりわけ吉本ではそれが鉄の掟のようになっています。昔は千原ジュニアさんとナイナイ岡村さんも先輩後輩で揉めたことがあり、美談というか笑い話になってますが、太田さんにとっては、今のぜんじろうさんと揉めるメリットがまるでない。太田さんもそれに気づいたのか、『一日中ぜんじろうのことを考えていて、いい加減ノイローゼ。終わりにしたい』と弱音を吐き始めましたが、ここまでくるともう、奇行としかいえませんよね(笑)」(前出の放送作家)
●吉本芸人への憧れにも似た怒り
ほかにも、「園子温と打ち上げ会場で大ゲンカした」という報道や、さらに過去をさかのぼれば、「ダウンタウンの悪口を言って松本人志に恫喝され、干された」といった逸話も。
「太田さんは、“昔ながらの芸人さん”への憧れが強く、“破天荒こそ芸人”だと思っている人。しかし、コンプライアンスが叫ばれて久しい今の芸能界では、どうしてもその破天荒さは奇行に映ってしまう。最悪、『危なっかしくて使えない』と思われても仕方ありません。
しかし一方で、番組内でミニコントを繰り広げて笑いを取る吉本芸人に対して太田さんが、決して認めたくはない、憧れにも似た感情を持っているのも事実。要は、噛みつきたいだけでなく、同時にじゃれ合いたくもあるんですよ。それなのにじゃれあい方がわからないから、いつも騒動になって奇行だと思われてしまう。スタッフや演者から総スカンを喰らう前に、ほどほどのじゃれあい方をマスターすべきだと思いますね」
お騒がせ芸人・太田光の奇行から見えてきた、彼の哀愁溢れる素顔。知的な笑いに定評がある彼だからこそ、今後は“アカデミックな奇行”を期待したい。
(文=藤原三星)
●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。