今、高所得者の間で密かに流行っている「節税」方法

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな建物は「木骨モルタル造のもの 住宅用のもの 築20年のもの」です。

“お祭り”(国税局での隠語で「確定申告期間」)が終わりました。確定申告が終わると、税理士さんたちが、「こんな申告があった」「こういう節税が流行っている」と、情報を共有してくれます。お礼に、僕は何度も遊びに行った税務署の情報を彼らと共有して、みんなで知識を高め合っています。

 そんななかで今年もっとも盛り上がったのが、高収入の会社員の節税についてです。

 僕は会ったことがありませんが、世の中には、社長でもないのに給与年収が8000万円を超える会社員の方がいるそうです。その所得税は、およそ3500万円。それを毎月の給与から天引きされているわけですが、それだけ多いと、かなり積極的に節税をするそうです。

 まず、確定申告の基本として、年収2000万円以上であれば確定申告が必要です。そのため、個人事業者でなくても、会社員で副業をしていなくても、医療費控除や住宅ローン控除がなくても、高所得者は確定申告をしなければいけません。

 知り合いの税理士さんは、年収8000万円の高所得者から40万円の報酬をもらって確定申告をしました。どんな申告内容になるかは、前年の所得次第です。申告書を作成する今年2月の時点では、節税のアドバイスは意味をなしません。しかし、申告内容は3000万円ほどの還付になりました。これは税理士さんに特別な能力があったのではなく、預かった資料の通りに申告した結果でした。

 その高所得者は、勤務先からもらっている給与以外に不動産所得がありました。不動産所得というのは、不動産の賃貸を行って得る所得です。身近なところですと、アパートの大家さんや不動産投資を行っている人たちが不動産所得者です。

●中古不動産の購入が節税になるワケ

 ただ、今回の高所得者は、日本国内ではなくアメリカの物件を購入し、賃貸していました。当然、取引書類はすべて英語です。購入時の売買契約書も英語でしょうし、借主との賃貸借契約書も英語です。英語が堪能なのでしょう。

 それがなぜ節税になるのかというと、まず中古の建物を購入し、それを減価償却します。減価償却は、その建物ごとに定められた“耐用年数”というもので、数年から数十年かけて償却しますが、中古の場合は購入時点の経過年数を考慮して、耐用年数を割引きます。つまり、短い期間で減価償却できるのです。

 たとえば、10億円の物件を10年で減価償却するとします。1年で1億円なので、不動産収入を大きく上回るかもしれません。もし、不動産収入より大きければ、不動産所得の赤字を日本でもらっている給与収入から差し引くことができます。

 すると、所得税が還付になります。これは、よくある方法です。副業で不動産賃貸業をやっている人のなかには、所得税の還付を受けている人がいるでしょう。それが正しい方法かどうかは言及しませんが、今回の高所得者が行っている不動産賃貸はもっと高度です。

 不動産所得が赤字ということは、事業としてうまくいっていないことを意味します。所得税の還付を受けても、利益が出ないかもしれません。そこで、購入した物件は5年後に売却します。このときの不動産の売却益は譲渡所得になります。

 譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得があって、5年たってから売却すると長期譲渡所得に該当し、税率が下がります。最近は、日本の不動産でも購入の数年後に購入価格より高く売れることも多いと聞きます。アメリカではそれが顕著なようで、古い物件の価値が高く、ほとんどの場合、購入価格より高く売れるのだそうです。

 年収8000万円のお金持ちは、不動産所得、減価償却、譲渡所得、アメリカの不動産事情を総合的に勘案して、その節税策を用いています。きっと、それらの情報と知識を、対価を払って得ているのでしょう。情報や知識の価値を知っていると、大きな収入を得て、さらに所得も圧縮できるようです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

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