吉高由里子主演の連続ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)第8話が6月4日に放送され、平均視聴率9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。



 同ドラマの主人公は、「残業ゼロ」「定時で帰る」をモットーにウェブ制作会社・ネットヒーローズの制作4部で働く東山結衣(吉高)。仲の良い先輩・賤ヶ岳八重(内田有紀)や同僚の三谷佳菜子(シシド・カフカ)、また元婚約者・種田晃太郎(向井理)もいる職場で“無理のない働き方”をしつつ、プライベートでは現在の婚約者・諏訪巧(KAT-TUN・中丸雄一)との結婚話も進んでいる。

 インターネット上の評判も良く、ゴールデンウィーク中に放送された第3話は6.5%と低迷したものの、以降は8.4%(第4話)、9.8%(第5話)、10.3%(第6~7話)と順調に推移。現時点での自己最高10.4%(第2話)にも迫る勢いだったが、ここにきて1.2ポイントの後退となった。

 そんな第8話は、部長・福永清次(ユースケ・サンタマリア)のせいで赤字必至の案件が社内審査を通ってしまい、制作4部のメンバーは残業を免れない厳しい予算とスケジュールで作業を進めることに。ディレクターに任命された賤ヶ岳は、夫の陽介(我が家・坪倉由幸)が親の急病で熊本に帰省したため、双子の“ワンオペ育児”も降りかかる。一方、結衣と巧は少しずつ価値観の違いが浮き彫りに。また、巧は結衣の“過去”を知らされていなかったこと、それを種田が知っていることにイラだち、ケンカに発展してしまう……という展開だった。

 今回は冒頭からモヤモヤシーンの連続で、まずは巧の母・治子(ピンクの電話清水よし子)の“過干渉”がネットでも物議を醸した。早朝からどうでもいい連絡で結衣の睡眠を邪魔し、そのやり取りの中で、結衣と巧の新居で使われているベッドカバーも治子から贈られたものだと判明。その後、式場やウエディングドレスのカタログ(治子によるものと思われる付箋つき)を巧経由で渡されたり、急に遊びに来たりとやりたい放題の治子に、多くのネットユーザーが「結婚前から義母がウザい!」と拒否反応を示した。

 さらに、それを“当たり前”としている巧に対しても「なんか『親が~』ばっかり」「結婚決まってからの巧に漂う“地雷”感……」「親を大事にするのはいいことだけど、巧が先すべきは結衣でしょ。
こんなんじゃ先が思いやられる」などと批判が殺到。また、これまでは穏やかなキャラクターとしてネット上でも愛されていた巧が、結衣と種田の件でブチギレたことで「こっちが本性なのかと思うと怖い」「なんか表面上は良い人なのに、実はモラハラ男みたいな感じがする」「結衣はずっと巧が好きって言ってるのに……。勝手にキレて、しかも唐突すぎて恐ろしいわ」「今すぐ婚約破棄したほうがいいレベル」とドン引きする人が続出。

 その一方で、巧を演じる中丸には「普通の演技はヘタだけど、素が優しそうなだけにキレる演技がマジで怖い」「セリフ棒読みで感情が感じられない分、キレてるときは冷たい感じが出るね」「ぎこちない演技からの豹変ぶりが、クレイジーなキャラっぽく見える」といった評価が寄せられた。私としても、これまでのほんわかした巧のキャラが「中丸に合ってる」と思っていたけれど、もしかすると、こういう二面性のあるキャラでこそ中丸は本領発揮するのかもしれない。

 話を元に戻すが、結衣はそんな巧との関係に悩みつつ、職場では福永のせいで仕事に追われる。賤ヶ岳が家族のために休業を選ぶ決断をしたときには、福永がグチグチと責めるような態度を取ったため、結衣はとっさに自分が賤ヶ岳の代わりを務めると申し出た。これに対し、またしても福永が不穏な発言をするという場面で終わったことで視聴者のモヤモヤは解消されず……。

 今までは、問題が生じても、基本的に最後はスッキリ、もしくはほのぼのできるような内容で、だからこそ「見やすいドラマ」だったように思う。それが今後、最終回までモヤモヤする内容が続くのであれば「見るのがしんどいドラマ」となり、視聴率に影響を及ぼす可能性は高い。
(文=美神サチコ/コラムニスト)

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