結婚する気がない男女にとって、「婚期が遅れる」なんてどうでもいいこと。しかし結婚願望が強く、かつ婚活にお金をかけている男女にとっては切実な課題だ。

男女ともに、年齢に比例してオファーは減っていくからである。

 自然な出会いでは、大きく年が離れた相手との恋もありうる。だが婚活では年収、年齢、身長と“数字で足切り”されやすい。結婚を望むなら、早めに動いたほうが確率は上がる。

 だが、世には早めに動きだしたにもかかわらず、なかなか成婚しない人がいる。そして、彼ら・彼女らはびっくりするほど普通の男女である。ではいったい何が、すぐに成婚するか、長年婚活するかを分けているのだろうか?

●婚活が長引く男女の特徴は「発言の書き起こし」で見えてくる

 婚活が長引く人は、不潔でもなければブサイクでもない。働いているし、笑顔がステキだ。だから、ぱっと見では何が課題か見えてこない。しかし会話を書き起こすと、その理由が見えてくる。以下は、結婚に苦戦する女性のインタビューを書き起こしたものだ。

――どういう相手と結婚したいですか?

「うーん、優しくて、誠実な人。
年収は1,200万円くらい欲しいですね。前に年収1,000万円だとそこまで裕福じゃないよって言われたので。やっぱり年に一度は海外旅行へ行きたいですし、子どもも私立に行かせたいし」

――確かに、それくらいの年収がないとその暮らしはできなさそうですね。ちなみに、なぜその暮らしをしたいんですか?

「えっと……」

と、高年収でありたい「理由」が出てこない方は多い。高年収の男性は激務であり、家事育児に参加できない人も多い。また、高年収男性へは女性が殺到するため、他の女性に勝るアピール要素をつくらねばならない。

 しかも婚活におけるアピール要素は「顔」「年齢」「親の資産」「自分の年収」など即物的だ。決して、やさしさや癒しなど、ふわふわした要素ではない。「なぜこの条件か」「その条件を叶えるために何をすべきか」まで分析ができている女性は、婚活が長引かない。

 逆に長引く人は、なんとなく年収、身長、誠実さ、貯蓄額、顔、年齢……と条件を列挙すると「ふわふわした条件」が出来上がる。そしてそれは、婚活パーティーでもバレてしまう。

●婚活が長引くのは「人生設計」の甘さから

 たとえば、こんな婚活パーティの会話があった。


男性「どういう感じの結婚をしたいとか、ありますか」

女性「家族で休みに公園で遊べる家庭っていいなって思います。タワマンならパーティールームがありますし」

男性「あ、そういう感じなんですね……(この人、僕の年収でタワマンに住めると思っているんだろうか? それとも無理して住めってこと? 結婚生活への想像力がなさすぎて、怖い)」

 あるいは、こういう事例もある。

女性「結婚後のイメージってどんな感じですか?」

男性「うーん、定年までは仕事に集中したいけど、リタイアしてからは海外移住なんかもいいなって思いますね。共働きなら資産もつくれそうだし」

女性「はあ……(2馬力だけど自分は仕事に集中したいって、家事や育児はやる気ないのかな。それでいて働けってことかな。それに“リタイアしたら海外”って、同時期に親の介護がくるって認識ないのかしら。リアリティのなさが怖い)」

 このような、ふわふわした人生設計を披露すると、婚活では困惑を超えて、恐怖心を抱かせてしまう。まるで結婚を現実のものとしてとらえているように見えないからだ。しかもリアリティのない人生設計は、えてして「伴侶に犠牲を強いる」妄想になりやすい。

 理想の夫がいれば、自分は専業主婦で、週末は家族でバーベキュー、自宅はタワマン、子どもは私立で……という妄想は、男性へ「仕事も、家事・育児も」背負わせている。男性が妄想する「共働きで家事・育児をしてくれる妻」も同じだ。いずれもお見合いの相手にはメリットがない。


 本人は決して「搾取してやろう」「死ぬまでこき使ってやろう」という悪意でこんな結婚を想定しているのではない。ただ、理想の結婚生活の妄想が、ふわふわしすぎて現実に即していないだけである。だが、それに気づくまで5年、10年も婚活に時間を費やすケースが散見される。冒頭で申し上げたとおり、婚活では年齢とともにオファーが減る。その時間は、あまりにもったいない。

●婚活が1年以上長引いたら、FPへ相談しよう

 自分の結婚像がふわふわしていないか――。点検すべきタイミングは、婚活を始めて1年後。もしその段階で特定のパートナーが見つからないなら、人生設計を現実に即してつくってみよう。人生設計は結婚相談所か、ファイナンシャルプランナー(FP)へ相談すると一気に話がまとまりやすい。

 自分に適した婚活サービスを探し、自分が受ける恋愛市場を探すというのは、確かにそれも戦略上大切かもしれない。だがそれ以上に、自分がそもそも結婚したいのか、なぜしたいのか。そしてどういう伴侶との人生がいいのか。
地に足の着いた人生設計を欠くと、婚活は不用意に長引く可能性がある。
(文=トイアンナ/ライター)

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