いつも食べている食事、タイミングを気にしたことはありますか?

 私たちの体内では、約24時間サイクルで血圧やホルモン分泌、神経の作用などがリズムよく変化しています。これは体内時計によって、調整されています。

2017年にノーベル医学・生理学賞に輝いた“体内時計を生み出す遺伝子機構研究”により、“時間栄養学”、つまり食べる時間や食べるタイミングによっての体への影響も注目されています。

 今回は食べる時間によって影響が異なる食品をご紹介いたします。

●味噌汁は食前or食後or食間?

 日本食の代表でもある味噌汁。定食で出てきた場合、いつ飲みますか?

 食事の最後に口直しとしてゴクッといただく方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 もし減量を考えている方であれば、ぜひ、最初に飲んでいただきたい1品。味噌汁のうま味成分であるグルタミン酸とイノシン酸には、食事の満足感を高める効果があると、英国のサセックス大学の研究でわかっています。

 鰹節や昆布をたっぷり使って出汁をとると、より満腹感が得られやすくなります。また、温かい食べ物が体内に入ると、臓器も温まるため新陳代謝が高まるとともに、消化酵素の分泌がよくなります。そのため、食べたものを消化しやすく、肥満予防につながります。

 具材にごぼうやレンコンといった食物繊維が多いものや、豆腐、油揚げなどたんぱく質が多いものを加えると、より満腹感がアップします。

●フルーツは食前or食後or食間?

 肌のために、ビタミンたっぷりのフルーツを食べている方も多くいます。小腹が空いた時に、スナック菓子やチョコレートなどを食べるよりフルーツのほうが健康的ですよね。


 確かにそうなのですが、フルーツに多く含まれるビタミンCは、体内にとどまっている時間が比較的短い栄養素。空腹時に取ると、満腹の時に比べ、さらにビタミンCが早く排出されてしまいます。そのため、お腹に適度に食べ物が入っているときに食べたほうが効率よくビタミンCを体内にとどめることができますので、食後のデザートとしてフルーツを食べるといいですね。 

●ヨーグルトは食前or食後or食間?

 ヨーグルトもフルーツ同様に食後のデザートとしていただく方も多いのではないでしょうか。しかし、ヨーグルトに多く含まれているカルシウムは、満腹の時より、空腹の時のほうが、吸収率が良いことがわかっています。そのため、カルシウムのことを考えると、お腹が空っぽの食前や、食間に食べるほうがオススメです。

 食前に食べると、その後の食後血糖値の急上昇が抑えられ、肥満予防にもつながります。

●ブームとなっている鯖缶は食前or食後or食間?

 近年ブームとなっている鯖や鮭など魚の缶詰。脳神経に働きかけるDHAや、血液に働きかけるEPAが多く含まれている健康食品ともいえる1品。お酒に合うので、おつまみとしても手軽に食べられますよね。

 しかし、EPAやDHAは、夜よりも朝に食べるほうが体内血中濃度が高くなることがわかっています。さらに、これらの成分は脂溶性なので、油があるほうが、体内に吸収されやすいのです。
食事をすれば、少なからず油が含まれている場合がほとんどなので、食後に食べたほうが効率よく吸収されます。

 DHAやEPAを摂取するためには、鯖缶は朝食後、せめて朝食中に食べるのが効率的です。

 ご紹介したように、同じ食べ物でも時間帯や胃の状態によって吸収率が変わります。せっかく食べるのであれば、吸収率を考えて食べるのも良いですね。ただ、気にしすぎて食事が楽しくなくなると、栄養素の吸収率は低下してしまい本末転倒になってしまいます。適度に意識していきましょう。
(文=望月理恵子/健康検定協会理事長、管理栄養士)

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