「フェイクニュースだろ?」と、こんなにも誰もが疑ったニュースは昨今なかなかなかったのではないだろうか。6月5日、お笑い芸人の山ちゃんこと山里亮太南海キャンディーズ)と女優の蒼井優の結婚報道が日本全土を駆け巡り、誰もがそのニュースをすんなりとは飲み込めず、「大がかりなドッキリ企画?」と疑ってしまう事態に。



 それもそのはず。山里は自他ともに認める“非モテ芸人”であり、正統派美人女優の蒼井との突然の結婚報道など、あまりにも信ぴょう性が低かったからだ。しかし、山里に近いある現役放送作家によると、「山ちゃんの非モテキャラは、いわば“ビジネスキャラ”として作り上げたもの」と断言する。

「テレビとラジオで16本ものレギュラーを抱え、ゲストに呼ばれても必ず結果を出すことで知られている山ちゃん。今もバラエティのキャスティング会議では必ず名前が挙がるひとりですが、まず現時点で高収入であることは間違いない。それに加えて身長は178cmと高身長で、学歴も関西大学法学部出身と関西圏ではなかなかのもの。つまり、実は“三高”物件で結婚相手としてまったく申し分ないわけです。しかし、山ちゃんはそれでは芸人としては売れないと思い、それをひた隠しにしてきました。

実際、ラジオ『JUNK 山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)のリスナーたちは、彼の“非モテキャラ”を信じていたからこそ山ちゃんを応援していたわけですし、だからこそ山ちゃんは、会見翌日のこの番組で結婚について語った際、思わず号泣してしまったわけです。ずっとビジネスブスを演じてきた自分が、トップ女優と幸せになる……。本人は申し訳ない気持ちでいっぱいだったんでしょうね」

●“芸人年表”の通りに出世

 計算高い頭脳派芸人としても知られる山里は、今回の結婚報道が世間にどう受け入れられるか、相当不安だったという。

「本当は、『山里亮太の不毛な議論』で最初に伝えたかったそうなんですが、スポーツ紙に抜かれてしまい、あの記者会見の前に、当日朝の『スッキリ』(日本テレビ系)の“天の声”として、世間への事実上の初報告をする形になってしまったんです。
山ちゃんはもともと本当に計算高いというか、緻密な計算と、それを実行に移すしたたかな行動力で芸能界を生き抜いてきた芸人。彼と親しい関係者に聞いたことがあるのですが、山ちゃんはデビュー当時、自分の“芸人年表”をつくっていたそうなんです。すごいのは、現在の山ちゃんの活躍が、ほぼその年表の通りだっていうこと。つまり、何者でもなかったデビュー当時から今の活躍が見えていたわけで……こんな末恐ろしい芸人はなかなかいないと思いますよ。ただ、トップ女優と結婚するとは、さすがに計算外だったと思いますが(笑)」(前出の放送作家)

●結婚会見を見て号泣する女性ファン

“計算通り”に売れたことで、計算外の幸福な事態に陥ることとなった山里。「美女と野獣」などとも語られがちな今回の結婚報道で、彼の芸人としての評価はうなぎのぼりだという。ある芸能関係者は次のように語る。

「あれだけいろんなイケメン役者さんとの浮名を流してきた蒼井さんが、“あえての芸人”、“あえてのブサイク”を選んだということで、今回の結婚報道は多くの女性の共感を得ています。あの会見で蒼井さんを気遣う山ちゃんの姿も高評価で、特に、蒼井さんの男性遍歴を踏まえた質問を記者がした際の、『一切心配してないです。それは、皆さんの目の前にいる蒼井さんとは違う蒼井さんを、僕は見させていただいているから」と山ちゃんが答えるシーンには、『感動して思わず涙が出てきた』と何度も見返す女性も多いとか。これまで山ちゃんは“男ウケの芸人”という印象でしたが、今回の件で女性票も多く獲得し、今後は山ちゃんを起用したがる番組がさらに増えるとともに、ギャラの面では圧倒的に高待遇のCM仕事も増えていくでしょう。CM出演に当たっては、クリーンなイメージを持っていること、女性人気が高いことは重要な要素ですからね。


 ただし、蒼井さんも“全身女優”みたいな人ですから、いつまでこの結婚が続くのかというと、まるで読めないというのが正直なところ。明石家さんまさんと大竹しのぶさん、陣内智則さんと藤原紀香さん、井戸田潤さんと安達祐実さんのように、芸人×女優は決して“食い合わせ”がいいわけではない。とんねるずのおふたりも奥さんは女優ですが(石橋貴明鈴木保奈美木梨憲武安田成美)、結婚後は奥さんのほうがかなり仕事をセーブしたからこそうまくいった……との評価もあります。蒼井さんの女優業を山ちゃんがどう考えどう計算していくのか、山ちゃんの真価が問われるのは、まさにここからではないでしょうか」

 非モテという“化けの皮”をはがされ、幸せ絶頂キャラへと“確変”してみせた山里亮太。彼の“第二形態”にこれから注目が集まることとなるわけだが、これまで芸能界をサバイブしてきた彼の計算力をもってすれば、芸人としてのこの“難局”もやすやすと切り抜けてくれそうだ。
(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>

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