団体職員とは、一般的には非営利組織(NPO)で働く人のことを指します。本記事では、団体職員の役割や給与、仕事内容など基本情報を詳しくまとめました。
併せて、団体職員に必要なスキルや転職方法も紹介しています。転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】「事務職とはどんな仕事? 仕事内容や向いている人、求められるスキルを解説」
1.団体職員とは?
団体職員とは、法律上の定義はありませんが、一般的に非営利組織(NPO)で働く人のことを指します。
具体的には、以下の非営利組織で働く人を表す際に用いられることが多いです。
●防災コミュニティネットワーク(NPO法人)
●東京信用金庫
●社会福祉法人
●医療法人
●学校法人
●財団法人
●社団法人
●宗教法人
●独立行政法人
●国立大学法人
●JA(農業協同組合)
●生活協同組合
公的性格が強いことから、「準公務員」と呼ばれる団体職員もいます。また、保育所や特別養護老人ホームで働く人も団体職員に該当されます。
多くの企業は、利益を求める「営利組織」であるのに対し、NPOの職員は利益のためではなく、社会貢献を目的として働くことが特徴です。
1.1.公務員との違い
団体職員と公務員は、どちらも事業の公共性が高いため混同されやすい傾向にあります。しかし団体職員は、民間の非営利組織であり、公務員ではありません。
団体職員と公務員は、資金源・資格の2点に大きな違いがあるので押さえておきましょう。
資金源公務員試験 公務員 国税・地方税 必要 団体職員 寄付・補助金・助成金・会費収入 不要公務員は、国税・地方税で成り立っていますが、団体職員は寄付金や補助金、助成金、会費収入などで運営されています。
また、公務員は公務員試験の合格が必須であるのに対し、団体職員に必要な資格は特に定められていません。

【関連記事】「【人のためになる仕事がしたい】やりがいを実感しやすい仕事と転職方法」
2.団体職員の仕事内容
団体職員の具体的な仕事内容を非営利組織(NPO)別にご紹介します。
非営利組織(NPO)は、ほかにも宗教法人や農業協同組合、社団法人など複数ありますが、ここでは以下の5つの組織をピックアップしました。
●NPO法人
●社会福祉法人
●医療法人
●商工会
●学校法人
どのような仕事・業務を行うのか、理解した上で団体職員への転職・就職を検討しましょう。
なお、日本銀行は一般的に政府機関(公務員)と思われていますが、特殊法人に該当され、非営利法人・営利法人どちらにも該当しません。
2.1. NPO法人
NPO法人とは、1998年12月に施行された「特定非営利活動促進法」に基づいて運営されている法人のことです。
NPO法人職員は、新規事業の企画立案や、事業運営を行います。
主な活動内容は20種類ほどあり、福祉、教育、まちづくり、環境、国際協力など多岐にわたります。
2.2. 社会福祉法人
社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人のことです。
社会福祉法に基づいて支援施設、児童福祉施設(保育園)、高齢者福祉事業などを運営しています。
社会福祉法人は、事業の幅が広いため一概に仕事内容を解説することが難しいですが、児童福祉施設を例に挙げると、子供を預かり、生活全般のお世話をしたり、行事・イベントの準備をしたりと多岐にわたります。
保育士や介護福祉士など専門的な資格を保有している方は、自分のスキルを活かせる場となるでしょう。
2.3. 医療法人
医療法人とは、医療法に基づき診療所や老人保健施設を運営・設立する法人のことです。
医師や看護師、介護士、薬剤師、事務員などが医療法人で働いています。
そのため仕事内容は、職業によって大きく異なります。例えば、医療事務の仕事内容は受付・会計業務のほか、患者様の対応などを行います。
2.4. 商工会
商工会とは、さまざまな業種の事業者が会員となり、事業や地域の発展のために活動をする団体のことです。
経営全般のアドバイスをもらえたり、幅広い人脈を獲得できたりするので会員になるメリットが大きいと言えるでしょう。ただし、商工会は事業者のみが会員になれる団体で、経営者が加入するものです。
商工会議所であれば、事業者ではなくても働くことができます。主な仕事内容は、経営相談や福利厚生支援、地域復興活動などが挙げられます。
2.5. 学校法人
学校法人とは、私立学校や学習塾、予備校を設立する法人のことです。主な仕事内容は、教育現場のサポートや事務作業を行います。
具体的には、教員のサポートや施設の管理、学生の募集、留学生の受け入れなども行います。
学生の成長を感じながら、教育現場をサポートできるのでやりがいや充実感を得られる人が多いようです。
また、学校法人の場合は夏休み・冬休み・ゴールデンウイークなどの長期休暇を取得しやすいメリットもあります。

【関連記事】「「好きなことを仕事にする」メリットは? そのための方法やデメリットも解説」
3. 団体職員の年収はどれくらい?
団体職員は、さまざまな団体・組織のなかで働くため、年収が大きく異なります。
年収が900万~1,000万を超える場合もあれば、一般的な平均年収と同じ300万~500万程度のところもあります。
また、団体職員は社会全体の利益を最優先としており、インセンティブなどが発生しない代わりに収入面が安定していることが多いのも特徴です。

【関連記事】「【天職とは】適職との違いや天職の見つけ方について徹底解説」
4. 団体職員に求められるスキル
団体職員は、働く場所によって求められるものが異なりますが、以下の2つのスキルは共通して必須と言えます。
●コミュニケーションスキル
●PCスキル
4.1. コミュニケーションスキル
団体職員は、人と接する機会が多いので、コミュニケーション能力や協調性のある人が求められます。
利益を最優先にせず、「地域社会に貢献したい」という強い気持ちがある人は、団体職員として活躍できるでしょう。
また、相手の立場で物事を考え、提案や臨機応変な対応ができる人も必要とされます。
4.2. PCスキル
団体職員は、データ入力やリサーチを行ったり、資料・マニュアル作成をしたりするので、WordやExcelなどの基本的なPCスキルが必要です。
例えば、会計業務も行う場合は、会計ソフトや表計算ソフトを使用して入力することが多くなるので、PCを操作できる人が求められます。
文章を書いたり、データを貼り付けたり、簡単な図やグラフを作成できれば問題ありません。

【関連記事】「【職務経歴書のPCスキルの書き方】書き方の例やアピール方法について紹介」
5. 団体職員として働くメリットややりがい
団体職員として働くことで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、団体職員のやりがいとメリットについて詳しくまとめていきます。
5.1. メリット
団体職員は、公益性の高い仕事ですので、景気に左右されにくい点がメリットです。著しい変化が伴う現代で、安定した職業に就けるので大きな安心感を得られます。
また、団体職員は非営利組織に属しているため、納期に追われたり、残業や休日出勤をしたりすることも少ないことが多いです。
安定した職業に就いて、プライベートを充実させたい方に向いている仕事だと言えるでしょう。
5.2. やりがい
団体職員は、人や動物、地域、環境など誰かの役に立つ仕事をしたい人にとって、大きなやりがいを感じられるでしょう。
自分が働くことで、誰かの助けになっていたり、地域が活性化したりすることを肌で感じられるので、社会貢献したいと考えている人におすすめです。
「人の役に立つことが嬉しい」「やりがいのある仕事をしたい」と考えている人は、充実感を得ながら働くことができます。
【関連記事】「【安定した仕事や職業】"安定"の判断基準とメリット、転職方法について」
6. 団体職員になるには?
団体職員になるには、特別な伝手や学歴、スキルが必要なのでは?と考える人も多いようですが、基本的には一般企業と変わりません。しかし、入職先によって、必要なスキルや求められる資格が異なりますので、必ず確認しましょう。
また、各団体の公式サイトや転職・就職活動サイト、ハローワーク経由でエントリーし、書類選考や筆記試験、面接などを経て内定を獲得できます。
入職に迷いがある方は、各団体が実施しているセミナーやイベントに参加してみることをおすすめします。
【関連記事】「【社会人経験とは】雇用形態別の詳細、社会人経験がない場合の対策も解説」
7. まとめ
非営利組織で働く団体職員は、利益だけではなく、人や動物、地域のために活動する仕事です。仕事内容や収入、働く場所は、所属する団体によって大きく異なります。
団体職員になるには、一般的な企業への転職・就職活動と同様の順序を踏みます。特別なスキルや経験などは必要ないので、社会貢献をしたい人は、ぜひ挑戦してみてください。
少しでも転職に不安を感じている場合は、転職支援実績が豊富なマイナビエージェントにぜひご相談ください。