たとえば、禁断の王室ラブロマンスと並行して、保守派貴族たちが牛耳る政治から国を変えようとした志のある侍医と国王の画策、という政治的なテーマ。これも実話だったのかなと思うと、ロマンスとは違う意味で胸が熱くなりました。
舞台は18世紀後半。イギリスからデンマーク王室に嫁いだ王妃カロリーネは、夫であるデンマーク国王クリスチャン7世の奇怪な言動に振り回され、孤独な日々を送ることに。いっぽうで精神を病んだ王の侍医となったドイツ人の医師ストルーエンセは、国王が実は頭脳明晰であることを見抜き、王の唯一の理解者、親友となります。
自由主義を信奉するストルーエンセは、しだいに王や王妃の考え方に影響をあたえ、国王を味方につけることで次々に政治改革を進めるようになる。いっぽうで、自由主義に傾倒する王妃との秘められた恋も芽生えていき......。
この禁断の恋がなければ、デンマークの政治はもっと自由主義的になっていったのか、気になるところでした。政治改革は用意周到に進められるのに、恋愛となると、突っ込みどころ満載の「脇の甘さ」を見せるストルーエンセ。観ているほうにはそのギャップが魅力でしたが。
ストルーエンセを演じたのは、マッツ・ミケルセン。
ストーリーよし、俳優よし、の作品。ぜひスクリーンで堪能してください!
『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』[公式サイト]
監督・脚本:ニコライ・アーセル
出演:マッツ・ミケルセン、アリシア・ヴィカンダー、ミケル・ボー・フォルスガード
制作総指揮:ラース・フォン・トリアー
英題:A Royal Affair
(c) 2012 Zentropa Entertainments28 ApS, Zentropa International Sweden and Sirena Film Prague
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(文/ミヤモトヒロミ)
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