「草食男子」の名付け親としても知られるコラムニストの深澤真紀さん。時代を象徴するキーワードに敏感な深澤さんが今注目しているという「免疫美人」という生き方について、解説していただきました。

今の時代にマッチするのは「免疫」のある「美人」

「女子力」という言葉が女性誌で躍るようになって久しく、そのブームは続いています。「女子会」「美魔女」など、年齢を問わず「女子力」を上げようとする熱気がそこかしこで立ち込めている世の中です。

しかし私は、「女子会に出ても、自慢と自虐の繰り返しでかえって疲れてしまうのでは」「女子力も年中高めていたら、どこまでいってしまうんだろう」と心配になってしまいます。

とくに、経験による知恵を身につけてきたカフェグローブ読者である大人の女性たちは、"自分の内側にある力"を活かす生き方のほうが合っているはずだと思うのです。そんなときに出会ったのが「免疫美人」というキーワードです。

広辞苑によると、「免疫」とは「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象」。つまり、「免疫」のある「美人」とは、外部からのマイナスな刺激に強く、自分を適切に守れる力を備えている女性ということでしょうか。今の時代にとても合っているキーワードだと思います。

では、「免疫美人」な生き方とはどんなものなのか。考えてみると、5つのポイントが見えてきました。

(1)へこまないための方法を知っている「生命力のある女」

1つ目は「生命力のある女」です。生命力というと、元気ハツラツでエネルギーが溢れるというイメージが強いかもしれませんが、免疫美人が持つ生命力とは、"防御力"のことです。

傷つくような言葉を言われても上手に受け流したり、ダメな自分を笑って受け止められたり。負の感情をため込むことをしないから、かつての女性のように会社のトイレでしくしく泣いたりはしません。「へこまない」ための方法を知っているということですね。 

(2)自分の居場所を保てる「空気になれる女」

2つ目のポイントは、「空気になれる女」であるということ。他人に振り回されずに、空気のように落ち着いて存在できる。相手を言い負かして優位に立とうとしたり、不確定な情報を拡散したりすることもしない。他人との距離感を適切に保って、自分の居場所を一定に保つことができる女性のことです。

(3)いつも機嫌よく過ごせる「切り分ける女」

3つ目の「切り分ける女」というのも重要です。オンとオフを切り分けられず仕事が遅い人に限って、「昨日も徹夜しちゃったわ~」とワーカホリックぶりを自慢しがちですが、免疫美人は休むのも上手です。「よく働き、よく食べる」よりも、「よく眠り、よく出す」ことの大切さを知っていて、心も体も健康な生活を自己管理できます。結果、いつでも機嫌よく暮らしていける。

この「機嫌よく生きる」は「幸せに生きる」よりもずっと賢い生き方です。

「幸せ」は他者との比較による相対評価ですが、「機嫌よく」は自分自身が満足すればかなう絶対評価だからです。

(4)不要な情報と距離を置く「ミュートする女」

4つ目は、「ミュートする女」。FacebookやTwitterなどSNS上でのコミュニケーションが普及している今の時代、不要な情報から距離を置きつつ、適度な人間関係は維持できる力が求められています。

例えばTwitterのミュート機能(フォローしている相手のツイートを見ない機能で、フォローを外すわけにいかないときに使うと便利)など、"大人のお付き合い"の助けになる技を賢く取り入れられるのが免疫美人でしょう。

そして仕事でトラブルが起きたときに、余計な犯人捜しはせずに、次に進める意識も大切です。「どうしてこんなことになっちゃったんですか? あの時、部長が新人のAさんに任せるっていったからじゃないですか? そもそも、なんであの子を採用したんですか?」とどこまでも掘り下げて追及する女性、いませんか? 付き合っていてとても疲れますし、そこから何も生まれません。

免疫美人は「自分探し」もしません。自分を知る答えは自分の中にあるのですから、弱点を克服するための「自分のトリセツ」を考えます。

一人で過ごす時間をいちいち「ぼっち」とネガティブに考えもせず、「おひとりさま」とポジティブに捉えることもなく、「一人でごはん食っていますけど、何か?」と自然と受け入れることもできます。

"自分を癒やす"こともしません。むしろ、自宅で海外ドラマに没頭するなど、お金をかけずに"自分を充電する"方法を知っています。

(5)現実を知っていて「ありもので生きる女」

最後のポイントは「ありもので生きる女」。

自分自身が持っている長所も短所もよく理解して、最大限に生かしている女性です。

私が2006年に命名した「草食男子」はネガティブな意味に誤読されていますが、命名当初に私が込めた意味は、「見栄を張るための恋愛や消費、就職をせず、家族や地元を大切にする古くて新しい世代」という肯定的なものでした。

同様に免疫美人も、見栄恋愛や見栄消費をしない、自分にとって本当に大事なものがわかっている女性です。

いい意味で"現実を知っている"ので「私には無限の可能性がある」という幻想は抱かず、「有限の可能性の中でできることは何か」と考えます。

「できること」を活かせる場所を求め、「できないこと」は上手に他者に頼る術も身につけられる。つまり、自分のありものも他人のありものも使う知恵を備えている女性です。

深澤真紀が「免疫美人」に会いに行く

免疫美人とは、「ありものを使って機嫌よく生きられる女性」のこと。この考えると、免疫美人というキーワードは、私が日頃「この人は素敵だな」と感じる女性たちにも共通する資質にとても近いものなのかもしれません。

これから始まる新連載「深澤真紀が『免疫美人』に会いに行く」では、私が気になる女性たちに会いに行きます。 

「成功したところ」や「素敵なところ」だけを伺う対談ではなく、その方の弱さや短所は何なのか、それをどのように生かして成功を引き寄せたのかといった点など、読者にとっても具体的に参考にできるヒントを伺いたいと思っています。

(文/宮本恵理子)

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