ところが世の中には、反対のタイプもいます。一般的に若くない年齢に達してから、その才能を開花させる「大器晩成型」の人たちです。
そこで、40歳以降に新たなキャリアをスタートさせ、その名を広く知られることになった女性たちを海外サイト「DailyWorth」から紹介します。
セレブ御用達ウェディング・ドレスのデザイナーにジェニファー・ロペスやマライア・キャリーなどが結婚式でこぞってそのドレスを選び、SATCの中でサラジェシカも身にまとった、ウェディング界を代表するデザイナー、ヴェラ・ウォン。
フィギュア・スケーターだった少女時代を経て、ファッション誌で働いた後、ラルフ・ローレンでキャリアを築いていた彼女に、転機が訪れたのは40歳の時でした。
ブライダル・ブティックをオープンさせるアイデアを思いついたのは、ヴェラが自分自身の結婚式を計画している時でした。花嫁たちに向けたデザインの選択肢が少ないことを不満に思った彼女は、自分でガウンをデザインすることにし、1万ドルをかけて完成させたのです。
「DailyWorth」より引用翻訳
それから1年後に、ニューヨークのホテルに自分のショップを開いた彼女の活躍ぶりは、メディアでも周知の通りです。
ヴェラの転機は、結婚式という大きなイベントに、自分が気に入ったドレスを絶対に着たい!という強い欲求を形にしたことから始まっています。今あるものへの不満を逆転させ、新たなキャリアへと変えて自らの名を世界に知らしめることになった彼女の強い精神力は、若き日のスケーター時代に鍛えられたものかもしれません。
食の格付けガイドブックを生み出した世界70都市のレストランを格付けしたアメリカでナンバーワンのガイドブック『ザガットサーベイ』は、1979年にニューヨークでニーナとティムのザガット夫妻により創刊されました。
共に弁護士だった2人は、食べることが大好きで、レストラン巡りが趣味でした。
「DailyWorth」より引用翻訳
この時のニーナは40歳。今でこそ、インターネット上で多くの美食家がレストランの感想や批評を載せていますが、そういった風潮もツールもなかった当時、食の参考にできるような、総括的かつ信頼できるガイドはなかったのです。
また、食の専門家ではなかった夫妻が趣味を生かし、夫婦間や友人たちとのいわば「内輪ネタ」からこのようなジャンルを生み出し、権威あるガイドとして大評判になったのは、画期的なことでした。
ニーナはその後、
"夫に続き、弁護士事務所を辞めてフルタイムでザガットのビジネスに専念し始めました。彼女は48歳になっていました。"
「DailyWorth」より引用翻訳
ガイドブックが有名になってから8年間も兼業生活を続けた彼女の周到さは、弁護士という職業柄だったのでしょうか。ちなみに、ザガットは2011年に1億2500万ドルでグーグルに買収されました。
遅めのデビューながらノーベル賞作家へアメリカの黒人作家として初のノーベル文学賞を受賞し、現代アメリカ文学を代表する作家トニ・モリスンは、作家になる前は、編集者として、またアカデミアの世界で文学に関わっていました。
彼女が自分の作品を書き始めたきっかけとして「学生に読ませたい小説は?」という質問に答えられず、「それならば自分で書こう」と実行したというエピソードが有名です。
そして生まれた最初の作品『青い眼が欲しい』は、
"1970年、モリスンが39歳の時に出版され、批評家たちには力強い小説として評価されたものの、売り上げはいまいちでした。
「DailyWorth」より引用翻訳
その後は、ピューリッツアー賞やノーベル文学賞を始め、数多く受賞。世界的作家となりましたが、人種差別や性など、タブーに果敢に踏み込む人間描写は、鋭く冴えわたり続けています。
小説を書き出す前も文学と深く関わってきた彼女ですが、自分自身の作品を生み出すには、それなりの時間が必要だったようです。前述のヴェラ・ウォンもそうですが、「世の中に自分の欲しいものがないために自作する」という、人生を変えた最初のきっかけが、その後の長い創作活動を支えるモチベーションにもなっているのでしょう。
自分の情熱に従うことで、新たな道を切り開くさらに特集記事の中では、『ジュリー&ジュリア』で映画化もされたアメリカで最も有名な料理研究家、ジュリア・チャイルドが料理を始めたのはかなり遅く、初の料理本を出版したのが49歳の時である等、興味深い例が紹介されています。
40代といえば、多くの人がこれまでの経験や実績を基にキャリアや生活を継続する時期。そんな中、新たな才能を切り開き、成功を収めた彼女たちの存在には励まされます。
眠っていた才能の水脈を掘り当てるのにかかる時間や人生のタイミングは、人それぞれ。分野は違うものの、上記の女性たちの共通点は、年齢を言い訳にせず挑戦するその心意気です。いくつになっても心をオープンに保ち、自分の興味や情熱が向かう方へと素直に従えば、人は成長し、変化し続けることができるのだと、彼女たちの人生が教えてくれている気がします。
photo by Getty images
(田上晶子)
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