自分の体型が嫌いだった10代から、新しい美を体現するロールモデルへ。

痩せたい、おなかをへこませたい、足がもっと細かったら......。

体型の悩みはほとんどの人が抱えています。でも、悩んだり、変えようと努力したりすることは、自己否定にもつながります。自信のない人は、体重やスリーサイズといった表面的な部分では理想をかなえていても、エネルギーや輝きが感じられないものです。

逆に一般的な基準では太っている人でも、自分の美しさに誇りを持っていると公言するパワフルな女性がいます。世界的なプラスサイズ(日本で言う「大きいサイズ」)モデル、アシュリー・グラハムです。彼女の大きさである「サイズ16」は、日本の基準では19号にあたります。でも彼女は、たしかに大きめかもしれないけれど、美しいオーラを放っています。

アシュリーはそんな美しさや自信をどうやって身に付けたのでしょうか? 今年5月末に公開された彼女のTED Talkから探っていきます。

どん底で不安と向き合って気づいたこと

アシュリーがモデルを始めたのは12歳のとき、地元のネブラスカ州のショッピングモールでスカウトされたのがきっかけでした。当時から何か光るものがあったのでしょう。とはいえ彼女の仕事は、その頃からプラスサイズモデルでした。

「モデルをしている」と他人に言うと意外そうな反応が返ってくるので、いつも「あ、でもプラスサイズモデルだけど」と付け加えてしまう自分に、もやもやを感じていました。

若くしていくつもの海外撮影をこなすなど、大きな仕事をしていても、実は自分の体型にうんざりしていました。

「パーティや男性やお酒に埋もれながら、私は誰かが私のことを認めてくれないかと探し求めていました。でも実際は、私自身が自分を好きになれなかったのです。」

YouTube」より翻訳引用

そんなとき力になったのは、いつも彼女を美しいと言ってくれる母親の存在でした。アシュリーは、「美も自信も、内面から来るものだと母が教えてくれた」と言います。そこから彼女は自分の苦しさと正面から向き合い「私の体とそのイメージを、私自身のものとして取り戻さなければいけない」と気づいたのです。

ロールモデルを目指すことでさらに強く、美しく

自分の体を受け入れることの大事さに気づいたアシュリーは、自らの悩みに答えを出しただけではなく、より大きな使命を見つけます。それは、女性の美を再定義し、過去の自分と同じように悩む若い女性にとってのロールモデルとなることです。

では彼女の考える美とはどんなものでしょうか? もちろん「美とはサイズではない」と断言しています。TED Talkの最後では「Be you. Be real. Be authentic. Be your favorite kind of woman.」(自分自身であれ、リアルであれ、本物であれ、あなたの好きなタイプの女性であれ)と呼びかけています。自分本来のあり方を認め、さらに自身が良いと思える自分を目指すことこそが美しいということでしょう。

彼女の美しさや自信は、こうして世界に呼びかけることで、さらに強化されていくように見えます。古い考えの人たちから多少のジャブを入れられても、それすらエネルギー源になってしまうようです。

「ファッション業界の人には、『あなたは雑誌になんて、まして表紙になんて、載るはずがない』と言われました。でも私はその人たちが間違っていたと証明できたようです。この1年ちょっとで5回、私は表紙に掲載されています。さらにSports Illustratedの水着特集に、プラスサイズ女性として初めて載りました。(会場拍手)「あなたには無理」なんて誰にも言われるべきではありません。私は不可能と思われたことを成し遂げ、今も成し遂げつつあります。」

YouTube」より翻訳引用

アシュリーは、ステレオタイプから外れていても、他人から無理と言われても、自分らしさや信念を追っていくことの大切さを訴えています。それが単なる独りよがりではなく成功しているのは、彼女も指摘するように「流れが変わりつつある」からなのでしょう。

今、ファッションの世界だけでなくあらゆる場面で、古いステレオタイプと新しい「何でもあり」が交錯しています。そこで大事になるのは、アシュリーがしたように自分の感じ方や考え方をきちんと見つめて、周りを見つつも独自の理想を定義し、それを起点に行動していくことなのかもしれません。

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photo by Getty images

(福田ミホ)

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