女性の第1位に選出されたのは、まだ31歳のエリザベス・ホームズ。
資産約45億ドルで堂々第1位になったエリザベス・ホームズは異色の経歴の持ち主です。
スタンフォード大学を優秀な成績を収めながらも高い学費を支払うのがもったいない、という理由で中退。その浮いた授業料を元に、ほとんど痛みを伴わず指先からごく少量の血液を採取することで血液検査ができるサービスを起業します。
たしかにアメリカの学費は年間600万円近くかかり非常に高額です。噂によると現ニューヨーク市長も子どもの授業料に助成金をもらうことを考えているのだとか。しかし、学歴社会であるアメリカであっさりそれを捨てるのは、並大抵の人では考えられないチョイス。彼女がいかに常識にとらわれない人物かということを物語っています。
起業の理由は「注射が嫌いだったから」また、起業の理由が「注射がとにかく嫌いだったから」という、そのスケールの大きさに値しない、あまりに可愛らしい答えに拍子抜けしてしまいます。
ただ、そんな注射嫌いの彼女が約10年間かけて生み出した注射針による採血は、アメリカの大手ドラッグストア「ウォルグリーン」との業務提携で、まさに革命といっても良いような変化を起こします。
「ウォルグリーン」は日本のコンビニ感覚でどこにでもあるドラッグストア。近所にあるそこで採血すれば4時間後には結果を得られるという画期的なスピードと手軽さ、さらに低コストまで実現させました。特に将来的には自己負担が大きかった生殖能力検査もコストの面で手軽になり、妊娠にまつわる負担の軽減に一役かってくれる技術であることも、女性として大いに期待できるところです。
なんだか憎めないマニアックなキャラクターそんな将来の発展に夢の膨らむ技術を開発し、まだ31歳と若く前途洋々なエリザベスですが、本人自身もキャラクターの濃さで言ったら注目度大。スティーブ・ジョブズのように常に黒いタートルを着て、10年間ほとんど休みを取らず、きゅうり、セロリ、ケールをすり潰したものしか口にしないとか(そしてシリコンバレーの北部端・パロアルトで一人暮らし中)。
写真で見る彼女はブロンドのなかなかの美人さんですが、そのマニアック女子ぶりが何だか興味をそそられ、これからも目が離せない型破りな億万長者です。
第一線で輝くベテランセレブは納得のランクイン綺羅星のように現れた新星、エリザベスの後には、
2位:建築資材の卸売販売、ABCサプライのコーファウンダーであるダイアン・ヘンドリックス(36億ドル)
3位:「Gap」のコーファウンダーであるドリス・フィッシャー
4位:3位に続いて同じくアパレルで「Forever21」のジン・ソク・チャン(ともに31億ドル)
5位:もはや常連であり、長年TVホストとして活躍後、現在はその枠を超えた存在になったオプラ・ウィンフリー(30億ドル)
が続きます。
音楽界では、マドンナが資産額5.2億ドルで28位に、ビヨンセが2.5億ドルで49位にランクイン。今年のグラミー賞も賑わせた彼女たち。資産額が活躍の度合いにちゃんと比例しているのがたくましく感じます。
また、ファッション・デザイナーとしては、資産額10億ドルで17位のトリー・バーチを筆頭に、4.5億ドルのダナ・キャランとダイアン・フォン・ファステンバーグが同率31位、4億ドルのヴェラ・ウォンが34位に続きます。
世界で活躍する日本人起業家の名もランキングの中には41位に3.3億ドルの資産で日本人、久能祐子さんの名前も。
化学者であり、緑内障の治療に関する創薬の分野で起業家としても成功した女性です。現在は才能ある若手科学者や芸術家を支援する活動もされているとか。自ら大きな成功を収めた人が、次の世代にバトンを渡す作業を積極的に行ってくれるとは、素晴らしいことですね。また、ドイツ留学、日米で起業......と、真の国際人でありながら、成功を収めている人がいるのは同じ日本人として誇るべきことです。
億万長者といっても先祖代々、または親の世代からのお金持ち、と聞くと所詮別世界の話のようで正直、あまり興味を持てません。しかし、このランキングは「セルフメイド」、つまり、自力で築き上げた資産を持つ女性たちのもの。アメリカンドリームさながらに、素晴らしいサクセスを遂げた彼女たちからは学ぶべきことが多くありそうです。
[The New Yorker, GLAMOUR, FORTUNE, MY DOMAINE, Forbes]
photo by Getty Images
(神田朝子)
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