「ちょっと力みすぎじゃない? もっと楽したらいいのに」

こんなセリフをいわれることはありませんか?

強いストレスを感じているときは、無意識のうちに身体も緊張しています。

かく言うわたしも、誰かに初めて会うときや慣れない仕事をするときは、上記のセリフをいわれることがとても多い人間です。

多忙やストレスによる身体の緊張状態が続くと、不眠症の原因につながることも。そんなときには、身体の緊張をほぐすことが快眠のために有効です。

緊張の解消に働きかける方法として注目されているのが、「筋弛緩法」。ストレスやプレッシャーを感じて眠れない夜を過ごしている人におすすめの方法です。

筋弛緩法でこわばった心と身体をリラックス

身体が緊張しているときは、心や時間に余裕をもてないことがほとんど。そのため、緊張していること自体、自分ではなかなか気がつかないかもしれません。

眠りが浅かったり、寝つきが悪かったりする日が続く場合は、身体が緊張しているかどうかをチェックしてみましょう。

力を抜いた状態で膝に手を置いたら、誰かに手首を胸のあたりまで持ち上げてパッと放してもらいます。このとき、手首がダランと膝まで落ちた方はOKですが、空中で止まってしまった方は身体が緊張している可能性があります。緊張状態だと思われる方は、筋弛緩法で心身のリラックスを図りましょう。

筋弛緩法は不眠症の方でなくても使えるリラックス法。不眠に悩むまでいかなくても、ストレスは感じている、という場合にもおすすめです。

1回15分で! 筋弛緩法の手順

筋弛緩法の基本は、「力を入れてから抜く」こと。この動作を繰り返しながら、力が抜けたときの感覚をつかみます。

筋弛緩法を行う前に、まずは準備を行いましょう。なるべく静かな場所に背もたれのある椅子を置き、アクセサリーやベルト、時計など締め付けるものを外します。服装もくつろぎやすいものがベストです。

ここでチェックしたいのが、筋弛緩法を行うコツ。わたしの愛用している不眠に悩む人が集まるサイト「Fuminners」では、臨床心理士で早稲田大学人間科学学術院助教の岡島義先生によるアドバイスが紹介されています。

「基本姿勢は、背もたれに寄りかからず浅く腰掛けた状態です。足は肩幅程度に開いておきます。膝の角度は90度にし、足の裏全体が床につくように調整しましょう。力を入れたり抜いたりを繰り返していきますが、力を入れる時間は5秒程度、抜いた後の時間は20秒程度が目安です。ただし、時計を見る必要はありません。

頭の中で数えてみてください。力を入れる際は8割程度の力で行い、ゆっくりと、力の入っている部分や力が抜けた時の感覚に集中しながら行いましょう」(岡島先生)

「Fuminners」より引用

準備が整ったら、いざ開始。身体の部分ごとに行うため少し時間がかかりますが、すべての工程を1セットとして15分を目安に行ってみましょう。

手のリラックス

1. 前かがみになり、手のひらをぎゅっと握る
2. ストンと力を抜き、手のひらに感じる感覚に集中する
3. もう一度手のひらを握る。今度は力が入っている感覚に集中
4. ストンと力を抜く
5. 手のひらを目一杯広げ、手のひらが張っている感覚に集中
6. ストンと力を抜く

腕のリラックス

1. こぶしを軽く握り、ひじをぐっと曲げて脇を締める。ひじに力を込め、腕が震えるくらい力む。
2. 太ももにストンと腕を落とす。

首のリラックス

1. 背筋を伸ばし、首をストンと落とし、あごと鎖骨を近づけるようにして下を向く。首の後が伸びているのを感じる
2. 首を傷めないようゆっくりと、正面を向く
3. そのまま頭を後ろに倒し、なるべく後ろの方を見るようにする
4. ゆっくりと正面を向く
5. 肩を動かさず、左肩に左耳を近づけていく。右の首筋が伸びていることを意識する
6. 元に戻し、右肩に右耳を近づけていく。今度は左の首筋が伸びていることを意識する
7. ゆっくりと正面を向く

肩と上半身のリラックス

1. 肩をすくめるようにして肩を上げる
2. ストンと力を抜く
3. こぶしを握り、腕をぐっと曲げて脇を締め、肩をすくめる。
4. 太ももにストンと腕を落とす

背中とお腹のリラックス

1. 腕を垂らし、そのまま後ろに引いていく。

同時に、胸とお腹を前に突き出す
2. ストンと力を抜く
3. 両手を重ね、丹田(おへその下)に当てる。
4. 息を口から「ふ~っ」と吐き出し、鼻から吸う。
5. 息を止め、手でお腹を押していく。その手を跳ね返すように、腹筋に力を入れる。
6. 苦しくなってきたら、息を口から「ふ~っ」と吐くのと同時に力を抜く

脚のリラックス

1. 腰を傷めないよう背もたれに寄りかかるよう深く腰かける
2. ひざをくっつけて脚を伸ばす
3. つま先を手前(身体の側)に向ける。ふくらはぎが張るように
4. 脚からストンと力を抜く

全身のリラックス

1. 背もたれに寄りかかるように座る。
2. こぶしを握り、腕をぐっと曲げて脇を締め、肩を上げて、ひざをくっつけて脚を伸ばし、つま先を身体の側に向ける。
3. ストンと全ての力を抜く。

最後に1分間、全身のリラックスを感じる時間をとる

「Fuminners」より引用

これらの動作はなるべくセットで行うことが重要だそう。うまく力を抜けない場合は、それぞれ2回程度繰り返してもOKとのこと。

締め切りに追われて3時間睡眠だったわたしが試したところ、「首のリラックス」で早くもウトウトしてしまいました。その後、なんとか最後まで行ってみると、終了後は全身から力が抜け、心身がリラックスしたことを強く実感できました。

わたしは窓を開けて行ったところ、澄み渡った空気に涼しい風や鳥のさえずりが心地よく感じられました。テレビを見たり、音楽を聴いたりしながら行うのはNGとのことなので、自然の心地よさを感じるためにもぜひ静かな空間で行ってみてください。

長期的に実践することで緊張しにくい身体に

ただ力を入れて抜くだけの筋弛緩法ですが、その効果はわたしにとって想像以上。しかも、行った直後だけでなく、長期にわたって継続するとだんだん緊張しにくい身体になっていくそう。

時間がないときは、一部だけ行ってもよいとのこと。どの部分で行っても同じ効果が得られるそうなので、自分でやってみて効果を感じやすい部分を選んでください。

筋弛緩法はリラックスだけでなく、落ち着きを取り戻したり、精神を集中させて判断力が得られたりするので、トラブルで焦っているときにも役立ちそうです。

メリットが豊富な筋弛緩法ですが、すぐに効果が感じられる人ばかりではないようです。不眠症で緊張の強い方ほど効果を実感しにくい傾向がありますが、焦らず毎日継続することが大切。

毎日15分の投資で、快眠と心身のリラックスを

忙しいキャリア女性にとって、1日15分の習慣でも取り入れるのは大変に感じるかもしれません。

しかし、あなたの1日にもきっと工夫できる時間があるはず。テレビをなんとなく見ている時間、SNSに割いている時間は本当に必要ですか? あなたの身体と心を本当の意味で満たすものは、心身の健康であるはずです。

不眠は身体からのSOS。眠れない身体をおざなりにしては女性がすたります。

眠れずに苦しむ時間が少しでも減るのであれば、わずか15分の投資は安いものです。SOSに応えて自分の身体と向き合うことで、快適な眠りにたどり着けるかもしれないのですから。まずは1週間、試してみてはいかがでしょうか。

[Fuminners]

image via Shutterstock

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