でも、不思議なもので、仕事って忙しい人になぜか集まり続けるもの。難儀なもので、私たち大人女性には量も質もと、いろいろなものをもとめられがちです。年の瀬のこのときに、超高速で仕事を進めて質も量もともなわせる、そんな手法をご紹介します。質と量はスピードによって相乗効果で高められる
なぜ、このようにスピーディーに仕事を広げ、数多くのプロジェクトをこなし、一定の評価をいただくことができているのか――その理由は、私が仕事において「スピード」を非常に重視していることにこそあると思っています。(中略)
実際にスピードを重視すると、不思議なほど仕事の質が高まります。しかも予定よりも早く仕事を仕上げると関係者に喜んでいただけるため、依頼がどんどん増えていきます。すると手がける仕事の幅が広がっていくので、ますます経験値が上がっていきます。そして、さらにスピードもアップし、自分も成長していく――という、驚くような正のスパイラルが起きるのです。10~11ページより引用
若いうちは質より量をこなすことに意識していましたが、今はどちらかといえば質を高めなくてはと思う節がありました。でも、そもそも質と量をともなわせるには、案外スピード感が鍵なのかもしれません。
自分事だと分かりにくいですが、部下のことだと思えば見えてくるものが。量をこなす中にいろいろなケースを体験して知恵を得る。そして、得た知恵をベースにして次第にスピードがあがり質も上がる。たしかに......納得のロジックです。
そもそも、私たちは自分の考え方における質と量の定義を、少し見直す必要がありそうです。同事処理能力の磨き方は、いわば筋トレと同じ
確かに、スキルを身につけたり特別なノウハウを得たりすれば、人の2倍や3倍のスピードで手を動かすことはできそうです。でも、これが5倍、10倍となると物理的に無理が生じるでしょう。ではどうやって仕事の速度を上げるのかといえば、それは「いかに並行して仕事を進められるか」にかかっています。たとえ手を動かす速度が速くなくても、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できていれば、結果的に仕事を超高速でこなしていることになるわけです。私がいう「スピード」とは純粋な処理速度ではなく、「同時に処理する能力」に近いのではないかと思います。
21ページより引用
会社組織に在籍していた頃、ある時ふと、我ながら同事処理能力がピークに達したと感じた瞬間がありました。あのまま続けていたら、もっと伸びる瞬間があったのかもしれません。
しかし、基本的には毎日のダイエットや筋トレのように努力で培われていくもののように感じます。毎日毎日、磨いているうちに研ぎ澄まされてきて、ふっと現状から抜け出すような。でも、それは極度なストイックさになりすぎない程度に。いいバランスで同事処理能力を高めていきたいものです。アイデアの発想は一刻も早く表に出す
アイデアの発想は、たとえていえば算数の問題を解くようなものです。1週間かけて解いても5分で解いても答えが同じなら、5分で解いたほうがいいに決まっています。かけた時間によって、答えの質が変わるわけではありません。ものづくりのプロセス全体に戻って考えると、試作品をつくる回数を増やしてさまざまな面からじっくり検証したり、職人さんが時間をかけて仕上げたりすれば、その分だけ商品の質は高まります。仮にプロジェクトの期間が20日間あったとして、アイデアの発想に1週間かかったら、試作や仕上げにかけられる期間は残り13日しかありません。
一方、5分でアイデアを思いつけば、19日と23時間55分をあてられることになります。122ページより引用
「そのアイデアが出ないから困っているんです」という考え方も無きにしもあらずですが......。かつて商品開発に携わっていた私の経験値でいえば、アイデア出しは千本ノックのようなものと感じます。平凡なものからヒット案まで、何が化けるかわからないものですので、まずは表に出していくことで次の展開が始まるような。渾身のアイデアを温めすぎていて、最終的にそれがかすりもしなかった場合、時間のなさもあいまって悲惨極まらない状況になることもよくある話。
全体像を俯瞰した上で、どこに時間をかけるべきかを見極めなくてはなりません。そういう意味でもアイデアは最初の入り口だとしたら、日頃の情報収集にこそ時間をかけておいて、一刻も早く発想するべきものかもしれません。
著者:佐藤ナオキ
発行:幻冬舎
定価:1,200円(税別)