インキーリストは米国でのウェブサイトローンチから2年経った2020年9月、8種類のヘアケアコレクションの導入を発表。
スキンケア用品で得た知識をヘアケア分野にも応用
インキーリストの共同設立者でCEOのコレット・ラクストン(Colette Laxton)氏は、ヘアケアアイテムへの進出に関して以下のように語る。
「私たちがヘアケアの分野に進出した理由は、スキンケア分野とまさしく同じ風潮があることを感じたからです。スキンケアについて人々が抱えていた、誤った情報や混乱に関するものと本当に似ていました。また、人々は私たちに『あ、この成分はスクラブ剤で、こちらは酸ですね。これって良い成分、もしくは悪い成分? それを使うべきですか?』といったことをよく聞いてくるんです。ヘアケアのカテゴリーに参入することを検討しはじめたときに非常に興味深いと感じたのは、この分野がスキンケアよりもさらに遅れているということでした」(ラクストン氏)
ジ・オーディナリー(The Ordinary)の人気も表しているように、インキーリストが手掛ける原材料主導型で、かつ購入しやすいという、「スキンケアの民主化」とも言うべきビジネスモデルは近年同市場で大きく成功をおさめている。インキーリストの売上高の伸び率は、2020年には全体で前年比2倍、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響でシャットダウンが始まってからは、3倍になった。ヘアケアの「スキンケア化」の人気が高まるにつれて、同ブランドは消費者への教育を通じて、ヘアケアでも同様のことをしたいと考えている。
このカテゴリーをメジャーなものにするためには、消費者の購買習慣に影響を与えられるかどうかがカギとなる。インキーリストのウェブサイトでは「レシピビルダー」というクイズを通して、顧客が自分の髪のタイプや悩みを入力すると関連商品のレコメンドを受けることができる。
同ブランドのスキンケアレシピビルダーをもとに2020年4月に作成されて以来、80万人が利用しているこのクイズでは、ユーザーはサイト内のライブチャット機能を利用して商品のアドバイスを受けることも可能だ。
インディーズブランドはヘアケア業界に新風をもたらすか
インキーリストは2018年に独占卸売りブランドとしてスタート、初めてのスキンケア製品をイギリスの小売店で販売し、その後2019年にはアメリカにおいてセフォラ(Sephora)での独占販売を開始した。しかし、米国市場でのヘアケア製品に関しては「DTCファースト」のアプローチをとっている。
「消費者への教育という意味で、小売業者ではなく自分たち独自のウェブサイトを立ち上げることが非常に重要なことでした」とラクストン氏。このヘアケアラインは、2020年7月にイギリスで初めてカルトビューティ(Cult Beauty)で独占発売を行い、最近ではブーツ(Boots)とセルフリッジズ(Selfridges)のオンラインにも拡大している。
インキーリストの共同設立者で部門のトップを務めるマーク・カリー(Mark Curry)氏はこう分析する。
「基本的に、スキンケアが変わったのは、スキンケアの分野がインディーズブランドによって牽引されていたからです。ヘアケアの分野はいまだにメジャーなブランドが力を発揮している場ですね。(知名度の高いブランドが)あまりうまくいかなくなってきたのは、おそらく昨年からです」(カリー氏)
また、インキーリストがヘアケアラインをローンチして以来、とりわけ人気があるのがスカルプケア製品で、主に男性からの関心が高まっているという。
「特にサリチル酸のスカルプトリートメントなどは間違いなく男性の興味を引いています」とラクストン氏。ふけに特化したこの製品は、ヘアケアの分野では同ブランドのベストセラーだ。「サリチル酸は、とにかくかなり注目の成分だと断言できますね。私たちのスキンケアでも同様です」(カレー氏)
同ブランドが成長の可能性が高いとみているのは、「スキンタレクチュアル」な層が増加しているオンラインだ。
またDTC主導の戦略は同ブランドにとって新しいものだ。イギリスでは5月に、アメリカでは9月にDTCのEコマースをローンチした。
「DTCについて実際に理解して、実現できるよう助けてくれる適切な人材を確保するまでに2年かかりました。多くのインディーズブランドからすれば、私たちはとても遅れています。しかし自分たちのDTCチャネルをローンチした今、どれほど影響力があるのかを見るのは楽しみですし、顧客へのエデュケーションもコントロールしていきたいです」(ラクストン氏)
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LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida)