画像提供/リアン・ロバース

She Loves Tech共同創業者のリアン・ロバースさんにインタビュー。前半では同社の過去から現在に至るまでの活動を紹介した。

後半では、ロバースさんの起業家としての原点やリーダーシップについて聞いた。

起業家に不可欠な熱意とハッスル

「振り返ると、小さい時から起業家のまねごとをして遊んでいました。キャンディーを買ってパッケージに包んで友だちに売ったりしていました。大学入学前には、テレビ局を説得して新番組のローンチパーティーを開催したりもしましたね」。笑いながら過去を振り返り、このように続ける。

「起業家に必要なのは、アイデアを昇華させる力だと思います。今までの4つのビジネスのうち、どれも私のアイデアではありません。しかし、私がCEO、また共同創業者として行ってきたのは、元々のアイデアを発展させ新たな事業を生み出すということ。たとえば『Girls Love Tech』もその一つ。起業家とは、成長し、スケールしていく事業やプロダクトを提供することです」(ロバースさん)

もう一つ、起業家として重要なのはレジリエンスだ、とロバースさん。

「私は起業家として活動するなかで、体調を崩して入退院を繰り返した時期もありました。でも、どうしても世の中の課題を解決したい気持ちがあった。起業家としての精神が私を突き動かしました。

起業家になるには、ある種の特性が必要。それは、問題を解決しようとする情熱に溢れ、熱意を持っていることです非常に大きな勇気とレジリエンス、ハッスルが必要なのです

心理的安全性とはオープンで健全な対話ができること

多くの起業家は、強さやレジリエンスを備えているように見える。しかし内面では不安や苦しみと戦い、自信を失くしてしまうこともある。こうした課題に対し、She Loves Techでは、起業家が成長していくための精神面のサポートを目的とした『起業家心理学コース』を導入している

また、起業家だけでなく共に働くメンバーに対しても、心のサポートを積極的に行っている。何がうまくいったか、何をどう改善できるかを積極的にヒアリングすることはもちろん、個別の面談ではロバースさん自身に対するフィードバックも受け取るようにしている。これは、定期的なフィードバックをもらうことで、自分自身のコミュニケーション方法を見つめ直すためだ。

「過去に、メンバーから『私のことを責めているような言い方をされた』と言われたことがあり、伝え方や話し方を改めなければ、と感じました。リーダーとして時に困難な決断をしなければならない時もある。でも、それは組織のために最善を尽くしたいから。私は常に『優しいリーダー』ではないかもしれないけれど、チームのベストをいつも考える、情の熱いリーダーだと思いたい」(ロバースさん)

さらに、社内の心理的安全性については、チームのレベルを高く保ちながら、オープンで健全な対話ができることが重要だとし、このように説明する。

「『良い雰囲気』を作ることは本質的ではありません。

入社時期、年齢問わず、誰もが安心して自分の考えを述べられなければならない。失敗した時に非難するのではなく、話し合うことができ、率直で透明な環境、メンバーがベストを尽くすことができる環境が、心理的安全性の高い職場です」

最も勇敢な行為は「ただ始めること」。小さなステップを大胆に

画像提供/リアン・ロバース

パワフルさと聡明さ。2つを持ち合わせたロバースさんは、困難をどのように乗り越えるのだろうか。

「まず、第一に自分の内面を見つめること。感情は自分に関するさまざまなことを教えてくれます。なぜ今自分はこのような感情を抱いているのか、その根源はどこにあるのか──原因を理解してから問題を改めて考えるのです

その上で、自分だけの力で解決できるか、他の人を巻き込んだ方がスムーズなのか、誰に相談することができるかを考えていく。「私は夫に相談する時もあります。彼は、常に“鏡”を持って、私を映してくれます」

最後に、女性起業家ややりたいことに進むすべての人に向けて、こんなメッセージを伝えた。

「前に進む足枷となるのは、能力やスキルの欠如ではなく“恐れ”です。チャンスに飛び込んで、やりたいことをスタートすれば、自分の最大限のポテンシャルを引き出すことができます。恐れに屈せず、小さなステップを大胆に踏んでください。

もっとも勇敢な行為は、ただはじめること」(ロバースさん)

ロバースさんには、「情熱」という言葉がよく似合う。信念を貫き、課題に向き合う姿に、数えきれないほどの女性起業家が魅了され、影響を受け、力をもらったことだろう。

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