2024年7月26日、MASHING UP賛助会員を招き、ランチ勉強会を開催した。第1部では、「両利きの経営から学ぶDEI。
自律的キャリア開発のメリットとデメリットを考える
撮影/中山実華多様性のある社員に「自律的」に働いてもらわなければ、イノベーションは生まれない。
勉強会では、今ここにいることを自らの意志で選択し、コミットすることが「自律」だと踏まえたうえで、「なぜ自律的キャリア開発が必要なのか」について議論を深めていく。一人ひとりが自律的キャリア開発をするメリットとデメリット、それを組織と個人の立場で考えながら、22人の会員は5つのグループに分かれ、ホワイトボードに作成したマトリックスの4枠を埋めていった。
撮影/中山実華最初にフォーカスしたのは「個人」の軸。メリットとしては、「人生の選択肢や可能性を広げられる」、デメリットには「時間のコントロールが必要」や「企業によっては評価されない」「自らアクションを起こせる人とそうでない人との間に差が生まれる」などが挙げられた。
一方、「組織」にとってのメリットは「やらされ感がなくなり、目的が明確になる」「意思決定のスピードが上がり、物事がどんどん進んでいく」など、まさにイノベーションにつながることで、これこそが経営者や株主が望むことといえる。対して、デメリットは「優秀な人から退職してしまう」「コントロールしにくくなる」などの意見もあがったが、これらは実はアンコンシャス・バイアスからくる発想なのではないかと小杉さんは指摘する。
「優秀な人から退職してしまう」は、本当なのか
この「優秀な人から退職してしまう」という意見に関して、小杉さんは実例を踏まえて解説した。とある離職率の高いハウスメーカーで自律型研修を始めたら、退職率が激減したというケースがあり、小杉さん自身もいまだかつて「(以前いた会社が)自律型研修を始めたから辞めた」という人には出会ったことがないという。
また「コントロールしにくくなる」という点に関しては、世界で活躍するプロのトップアスリートを思い浮かべてみるとよい。優秀な選手ほど、チームのためにチームプレーに徹しているはずで、パフォーマンスを高めた一人ひとりが連携することでチームの結果が出ることは、サッカーやバスケットボールなど近年のスポーツ界を見ても明らかであると、小杉さんは語る。
また、「メリットとデメリット」を時間軸で比較すると、個人・組織ともにデメリットが先に出てくるが、「短期的なデメリットを乗り越えた組織は、中長期的に見れば、その後メリットを享受して栄える」ケースを小杉さんは数多く見てきたそうだ。
自律的に動く組織ほど、業績も上がる
撮影/中山実華最後に、「どうすれば自律的キャリアの人材に活躍してもらえるか」を話し合った。各グループで話し合った結果、「管理職が自身のキャリアを理解・承認しないと、メンバーを理解・承認できない」や「コミュニケーションのトレーニングが必要」、そして「パーパスとミッションをつなげることも大事」など、さまざまな意見が出た。
これを受けた小杉さんから、自律型組織を目指し評価制度を変えた企業が、10年の時を経て改善した例が紹介された。自律的に動く組織ほど、イノベーションが生まれ、業績も上がる。最後に、小杉さんは自律的キャリアを推進するには、経営層からコンセンサスを得る重要性や、業績が良い時こそ取り組みやすいと述べて、勉強会を締めくくった。
参加者からは「企業によって課題や取り組みに違いがあって新鮮だった」「DEIには答えがないので、他社の話が聞けて参考になった」「学んだことを確実に持ち帰って、今後に活かしていきたい」という感想が寄せられた。
公募に手を挙げてDEI担当になった人や早期退職プログラムを利用した人など、自律的なキャリア形成を実践している参加者も集まった勉強会は、MASHING UPの賛助会員同士が刺激し合う学びの場となった。
取材・文/ 山本千尋 撮影/中山実華
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