撮影/中山実華

「今日はパワハラをするぞ!」と思って、出勤する人なんていない。にもかかわらず、職場でさまざまなハラスメントが起きてしまうのは、「やってはいけないこと」や「気をつけなければならないこと」を正しく理解できていないからだ。

MASHING UP オンラインセミナー Vol.19「無自覚が生む!? 職場のハラスメント対策」のゲストは、メンタル・リンク代表取締役社長で、公認心理師の宮本剛志さん

企業や組織からの依頼に応え、数々のハラスメント問題を解決に導いてきた宮本さんは、「ハラスメントを気にするあまり、うまくコミュニケーションがとれなくなる〈極論〉や、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまう〈無自覚なハラスメント加害者〉をなくしたい」との思いから、『「ハラスメント」の解剖図鑑』(誠文堂新光社)を上梓した。

ハラスメントを生み出さない組織にするには、どうすればよいのか。無自覚なハラスメント行為者の特徴や、固定観念を払拭する方法について聞いた。

コミュニケーションパターンが単一の人は要注意

撮影/中山実華

無自覚なハラスメント行為者には、3つの特徴がある。研修を実施する企業は増えたが、内容が概念的であったり、誰が見てもNGな例を動画で見せたりするせいで、現場への落とし込みが不十分となり、まず「知識が定着していない」人が多い。

次に、誰でも加害者になり得るのに、自分は大丈夫だと思い込むあまり、「自己理解が不足している」ケース。そして最後は、コミュニケーションパターンが単一な人が、ある日突然、自分がハラスメントの行為者だと通告を受けショックを受けるケースを、宮本さんは何度も目にしてきたという。

「場を盛り上げようと思って『彼氏(彼女)いるの?』と聞いたり、部下や後輩を指導する際に『何やってんだ!』と常に上から目線で発言したりする、コミュニケーションパターンにバリエーションがない人は、要注意です」(宮本さん)

「逆ハラ」対策のため、非管理者にもハラスメント研修を

「これって、ギリ、パワハラじゃないですよね?」

「あの人、セクハラはするけど、仕事はできます」

こうした発言が横行する職場は、組織文化に加害者を生み出してしまう土壌があると考えたほうがよい。1つ目はパワハラという最低ラインのギリギリを狙っている段階で、すでに危険な匂いがぷんぷんするし、2つ目もセクハラする人を「仕事ができる」と評価する時点で、ハラスメントを見過ごす文化が定着してしまっている可能性が高い。「そんな人は仕事ができない」と言い換えなければ、会社の文化や意識は変わっていかない。

また、組織から一度も注意してこなかったのに、いきなり「あなたはハラスメント加害者に認定されました」と通達するのは、「組織の怠慢にほかならない」と宮本さんは指摘する。経営・人事・DEI担当部門、そして働く人が一体となって固定観念を払拭し、意識や言動を変えていかなければ、職場のハラスメントをなくすことはできないのだ。

「最近は、部下から上司、後輩から先輩に対するいじめ・嫌がらせである『逆ハラスメント』のご相談も増えてきています。

非管理者が加害者になるケースもあるので、ハラスメント研修は管理職だけでなく、非管理者にも実施することをおすすめします」(宮本さん)

セミナーでは、このほかにも、

  • 加害者のケアプログラム
  • 逆ハラスメントの事例と対策
  • DEI担当が知っておきたいハラスメント

などのトピックスを紹介。

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