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日本では、子供の7人に1人が、貧困家庭で育つと言われている。

MASHING UPが、カンファレンスMASHING UP vol.3MASHING UP SUMMIT 2020の収益から寄付を行った「チャンス・フォー・チルドレン(CFC)」は、そんな経済的に困難を抱える子供たちに塾や習い事で使える「スタディクーポン」を提供する活動をしている。

親の経済力に頼れない子供たちに「学校外教育」の機会を

©Natsuki Yasuda

学校の授業は義務教育だから受けられる。でも放課後や週末に通う場所、となると残念ながら親の経済力で差が出てしまうのが現実だ。裕福な家庭の子は塾にスイミング、そろばんに、と毎日大忙し。でもそうじゃない子供たちは……。学力や体力に差がつき、絵や音楽の才能があっても伸ばすことができず、将来に希望が持てなくなってしまう。

年に15万~30万円ほどのスタディクーポンでは、塾やピアノ、サッカー教室や習字やキャンプなど、協力する事業者の中から子供自身が自分の好きな「学校外教育」のメニューを選んで通うことができる。といっても、どこに通ったらいいか、どう勉強したらいいかわからない子供たちもいるので、そこは大学生のお兄さん、お姉さんたちが「メンター」として付き、あれこれと相談に乗るシステムだ。

©Natsuki Yasuda

スタディクーポンで塾に通い、大学に合格

もともとは2009年に、他のNPOのプロジェクトの一環として始まり、2011年の東日本大震災をきっかけに、被災地の子供たちを対象に一つの独立したNPOとして再スタートした。最初に希望者を募集した2011年9月には、150人の枠に1700人が殺到した。2018年度には500人の子供たちが利用することができた。

被災地に加え、関西でも生活保護世帯の子供たちを対象に事業を行っている。2018年度には44人の子供たちが利用。テレビでクーポンを知って応募したシングルマザー家庭の高校三年生が、塾に通って希望の大学に合格した例もある。活動の財源は、主に財団からの助成や個人寄付でまかなっている。

さらに、自治体にクーポンを制度として行うようにはたらきかける政策提言の活動もしている。すでに大阪市が2012年度から、その後千葉県の南房総市や佐賀県上峰町、そして2019年度から東京都渋谷区や千葉市でも始まった。事業の効果が出ているかどうか、慶応大学の赤林英夫教授らと組んで、検証も行っている。

生まれた環境に関係なく、子供たちが希望を持てる社会を

©Rintaro Kume

代表理事を務める今井悠介さんは、もともと大学時代の不登校の子供たちのキャンプにボランティアとして参加したのがきっかけで、子供の支援に取り組み始めた。「初めはまったく表情がなかった子供たちがやがて口を開き、笑い、表情がどんどん生き生きと変わって、行動もどんどん積極的になっていくんです。それがもう本当にやり甲斐があって」。

大学卒業後、いったんKUMONに就職して企業の教育現場の経験を積んでからNPOを立ち上げた。「子供たちにはクーポンを通じて様々な大人や仲間と出会い、学びや体験の機会を得てほしい。子供たちが生まれた環境に関係なく、希望をもって学び続けられる社会をつくりたいです」という。

MASHING UPは2019年度に開催した、カンファレンス「MASHING UP vol.3
MASHING UP SUMMIT 2020」の収益の一部を、チャンス・フォー・チルドレンに寄付致しました。
ご参加、ご協力いただいた皆様、誠に有り難うございました。

取材・文/MASHING UP編集部

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