「30歳までにこうするべき」「40代はこうあるべき」——。

私たちは、どうしてそんな価値観に縛られてしまうのでしょうか? 2018年11月29日・30日に開催されたMASHING UPでは、年齢に囚われずに自身のキャリアと人生を楽しんでいる、43歳で同い年という女性3人にお話を聞きました。

女性活躍に乗ってしまおう

最近16歳下の男性と結婚したモデルの仁香さん。はじめは年齢に囚われていて、「とんでもない」と結婚をずっと渋っていたとか。

「日本は、颯爽と歩く女性より内股でちょこちょこついてくる女性のほうがよしとされる“カワイイ”文化の国。また、女性は若ければ若いほど値打ちがあるって価値観が当たり前のようにありますよね」。結婚時、年齢について批判的な言葉もあったと、笑顔で話してくれました。

モデルの仁香さん。

若林直子さんは「30歳になったら『なんで結婚しないの』と言われる」「30歳になると転職するのが難しいよね」とさまざまなところで年齢についての女性の「定説」を耳にすると言います。

また甲田恵子さんも、女性が結婚や出産でやめるのが当たり前だった会社員時代、「女性なのにキャリアを築いてどうするの?」と言われたそう。

雑誌「婦人公論」の「女性の100年の在り方年表」を見てみると、普通選挙権の実現や男女雇用機会均等法の制定と、時代は変化しています。なのに、いまだに“年齢に縛られる”価値観は根強く残っています。年齢の暗示は、日本社会の根底にある亡霊のようなもの。ここに新しい歴史を刻めるように私たち世代が変えていかなければいけません。

新しいことにチャレンジするには?

若い時には年齢に囚われていても、変わるきっかけはある、と3人は話します。

「20代後半、ストレスから激太りして3年間モデルを休業した時期がありました。

当時は25歳を過ぎたら結婚もできないっていう “クリスマスケーキ”という言葉もあって、もうお嫁にもいけないのなら、と起業してエステサロンをつくったんです。そこから人生が変わりました」

そう話す仁香さんを、若林さんは「ダイエットしてすぐモデルに戻るんじゃなくて、ビジネスを始められたのが素晴らしい。その行動力が仁香さんの強さになっているんですね」と讃えます。

AsMamaの甲田恵子さん。

また甲田さんは、

「日本の女性って控えめで“私なんて”と謙遜する人が多いけど、世間体に囚われずなりたい自分を発信していった方がいい!」と語気を強くします。

なりたい自分を発信しているうちに、本当に理想の自分になれる、と参加者たちを鼓舞しました。

自分が働いていることがリスクヘッジ⁉

参加者からの質疑応答では、「子育てしながら働いていて、こうなりたいという理想の自分がありながらも、自分をセーブしてしまいます。仕事、母、妻というバランスをどのように調整していますか?」との質問が。

甲田さんは、

「旦那さんに『自分が働いていることがリスクヘッジなんだ』と伝えればいい。『あなたが病気になったらどうするの?』というロジカルな姿勢が男性には有効。周囲に迷惑をかけることもあるけれど、女性らしくにこやかに軽やかに行きましょう」とニッコリ。

「素敵でいるために気をつけていることは?」という質問には、

「年を取るとだんだん無感情になってきて、些細なことでは驚かなくなるので、わざとビックリしたり笑ったりして感情の起伏を思い切り味わうようにしています」(仁香さん)

「若い頃って、人の真似したり、服装をパートナーの好みに合わせたりしがちだけど、もっとシンプルに自分がどうしたいかが重要。年を取って死ぬ時に後悔がないようにしたいですよね」(甲田さん)

ソーシャルピーアール・パートナーズの若林直子さん。

「素敵な女性の本を読んで目標とする生き方を見つけたり、こういった新しい場に積極的に来たりしましょう。するとやりたいことがどんどん出てきて年齢なんか関係なくなります。わたしも50歳になったら海外に留学しようかなと、これからの人生を楽しみにしています」(若林さん)

「何歳でもやりたいと思ったら出来る!」。3人の女性の心強い言葉に、参加者たちもそう確信したセッションだったのではないでしょうか。

甲田恵子さん(AsMama 代表取締役社長)
大阪生まれ。米国留学を経て関西外大卒業後、環境事業団にて役員秘書と国際協力室を併任。2000年ニフティ株式会社に転職し海外渉外担当に就任。在職時にビジネスモデル特許を多数発案。2005年4月に長女出産。復職後は上場・IR主担当を拝命。2007年にベンチャー投資会社ngi group株式会社に転職し、広報・IR室長に就任。会社都合で2009年に同社を退社し、同年11月株式会社AsMamaを創業し代表取締役社長に就任(現任)。

2016年より(社)シェアリングエコノミー協会理事着任。メディア掲載・受賞歴多数。

仁香さん(モデル)
18歳で小学館「CanCam」専属モデルとしてデビューし、 6年間人気カリスマモデルとして活躍。その後、急激な体重増加によりモデル活動を中止。 3年間に及ぶさまざまなダイエットから見事13キロの減量に成功。 現在、小学5年生の息子を持つ一児の母。 2018年10月フォトグラファーの柴田翔平さんと再婚。ウォーキングアドバイザー・姿勢アドバイザーの資格をもち、女性向け講座を開くなど、活躍の場を広げている。 今では仁香メソッドを取り入れた「スリムメソッドパンプス」を通販にて発売している。

若林直子さん(ソーシャルピーアール・パートナーズ 代表取締役)
大手保険会社で法人向け営業を2年担当、2年連続全国第一位(新卒組織)という成績を残す。日経BP社「日経ビジネス編集部」にて編集長・役員付秘書、野村證券金融研究所企業調査部ITチーム所属。株式会社リクルート進学カンパニー大学広報推進部、カンパニー企画室。

企業×NPOのwin-winの関係構築やNPOの広報に興味をもち、認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)に転職。広報兼学校事業部マネージャー。震災後、日本ユニセフ協会東日本大震災緊急支援本部広報官として2年間、宮城県沿岸部で支援活動。日本経済新聞社「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」企画運営、PRを経て、起業。NPOを中心としたPRを手掛ける。

MASHING UP

多様な生き方 - 年齢に縛られない
2018年11月30日@TRUNK(HOTEL)

撮影/俵和彦

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