日航傘下の格安航空会社(LCC)スプリング・ジャパン(成田市)は9日、貨物便の男性機長(51)が乗務前に飲酒し、運航規定に違反するアルコールが検出され、非検知になるまで自主的な検査を繰り返してから乗務する事案があったと発表した。国土交通省は同社を厳重注意とし、30日までに再発防止策を報告するよう求めた。
機長本人は飲酒を否定しているが、解雇処分となった。
 同社と国交省によると、機長は3月18日午前1時38分発の北九州-羽田の貨物便に乗務した。前日午後7時40分ごろ、ホテルで行った自主検査でアルコールが検知され、滞在中に同検査を計16回繰り返した。18日午前0時20分ごろ北九州空港に出勤したが、運航規定で義務付けられている速やかな対面による乗務前検査を受けなかった。
 機長は非検知になるまで自主検査を繰り返し、最終的に乗務前検査でアルコールが出なかったため、ほぼ定刻で同便を出発した。副操縦士と同便の本社担当者は一連の対応に疑念を抱かず、機長の乗務を止めなかったという。
 羽田到着後、同社内で対応が不適切だったとの見解があり、機長をその後の乗務から外したという。機長は聞き取りに「栄養ドリンクの影響」と飲酒を否定。一方、同社は4月22日、自主検査の数値を分析した結果、乗務前12時間以内の飲酒を禁じるなどのルールに抵触する飲酒をしたと認定した。機長は解雇処分となったが、飲酒を認めていないという。
 同社は「二度とこのような事例が発生しないよう、安全に対する意識の再徹底と安全管理システムを継続的に機能させるための改善に取り組み、信頼回復に努める」とした。
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