5月11日、母の日。選手たちはピンクのリストバンドを着用して試合に臨んだ。
毎年、プロ野球では母の日にピンク色のさまざまな特製ギアでプレーする姿を目にする。プロ2年目の寺地隆成捕手もピンクのリストバンドに母への感謝のメッセージを込めた。
 「今日は見に来られませんでしたけど、見に来られる時は観戦に来てくれますよ」と寺地は語る。
 男3人兄弟の末っ子。両親は共に剣道界で活躍するスポーツ一家の中で育った。「小学生の時までは厳しかった。当たり前の事ではありますが、礼儀とかあいさつとか、玄関で靴を脱ぐ時にそろえないとよく怒られた。それはでも、今思うと基本的なことだけれど、とても大事なことで今に生きている。今でも欠かさないように意識をしている」と振り返る。
 両親の影響もあり、野球だけではなく剣道も経験している。剣道で身体を鍛えた時間が今に生きることも多くある。身体が強くなったという。

 「軸というかいわゆる丹田。よく言われた。おへそより少し下。下腹部に力を入れろと。それは剣道だけではなく打撃でも大事だと思う。そこの力が抜けるとすべてのバランスが欠ける感じ。力を入れるというか、そこに軸を入れるイメージ」という。
 寺地は4月18日の仙台でのイーグルス戦でスタメンマスクをかぶると、三回にプロ入り初本塁打を記録。さらに八回にも右中間スタンドに放り込む1試合2発。まだ19歳の若者が大きな存在感を見せた。その後も先発マスクをかぶる機会が増えるなど攻守で存在感を見せ続けている。
 「試合に出る中で自分の至らないところがたくさん見つかっている。
試合に出ていない時もベンチで見ることも勉強になっている。日々学びで、日々成長できたらと思ってやっています」と話す。うれしいことも悔しいことも経験しながら若武者はペナントレースに全力で向き合っている。
 母の日は出番はなかったが、ベンチから大きな声を出して先輩たちばかりのベンチを盛り上げた。母には、5月中旬が誕生日であることから母の日と合わせて、欲しいと言っていたタブレット型端末機をプレゼントするつもりだ。ただ、何よりも喜ぶのは自身の活躍であろう。身体の軸を保ち、力を入れ、強い打球を打ち込む。投手陣を精いっぱい、リードする。背番号「65」の親孝行は始まったばかりだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
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